事故より隠ぺいのほうが問題、というのはまだまだ徹底していないようです。
飲酒事故の元警視、直前にも事故 20万円渡し口止めか
(2009年4月20日3時10分 朝日新聞)
栃木県警の元警視で、県交通安全協会の滝田幸夫・元交通安全実技指導室長(62)が飲酒運転で物損事故を起こした問題で、元室長が物損事故直前、別の乗用車と衝突事故を起こしていたことが19日、捜査関係者への取材でわかった。元室長は相手の男性に「迷惑料」として現金20万円を渡し、警察への通報はしていなかった。 県警によると、衝突事故を起こした場合、道路交通法の規定で警察へ通報する義務があるが、現金を受け取った男性の協力が得られないなどとして、道交法違反(事故不申告)容疑での立件はしない方針という。
元警視は、スーパーの駐車場で事故を起こした後、被害者の男性を乗せて近くのコンビニで20万円を引き出して渡したあと、元のスーパーの駐車場に男性を送り届けています(これ自体も飲酒運転ですね。)。
そしてその後自宅に帰ろうとして運転を誤り、金属製フェンスを突き破って約1.8メートル下の市道に落下し、駆け付けた警察官の検査で酒気帯びが発覚したそうです。
同署は16日、フェンスを突き破った事故について、道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで元室長を書類送検した。
とのことですが、最後にフェンスを破らなければもみ消すことができた、ということなんですね。
飲酒運転の罰金は、
酒酔い 運転者 100万円以下 同乗者50万円以下
酒気帯び 運転者 50万円以下 同乗者30万円以下
なので、20万円でもみ消せるのであれば十分元が取れます。
ケンカでの暴行や器物損壊などでは「示談が成立すれば立件しない」という取り扱いもあるかもしれませんが、飲酒運転による事故も示談が成立すればお咎めなしになると厳罰化の趣旨は損なわれてしまいます。
もしこれが事実だとすれば、取り締まるべき立場にあり、同時に「こうやればもみ消せる」ということ詳しい警察官の行為としては最悪なので、刑事法上は技術的に立件は難しいのかもしれませんが、厳しい懲戒処分に処すべきだと思います。