新しい年を迎えるには最低限の掃除をしなければならぬ。
ラックを移動させようとて 中の荷物を抜きトンボと両端を持ちあげます。
そのときの段取りが悪い とえらそうに言うので いえ 妻じゃなくてトンボが言うの。
その前から 洋裁道具の広げっぱなしを注意され イライラしていた妻はプチンと切れて
「 結婚は失敗やったね なんで嫁にきてくれ言うた! 」 大昔のことを言わんでもええのに
「 おおっ オレもあのときは若すぎて人を見る目がなかった 若気の至りじゃ! 」
敵もさる者負けてはおらんね。
こうしてラックは通路に置きっぱなしで トンボはゴルフ練習場に行きました。
妻はふてくされ 部屋いっぱいに洋裁道具を広げて いえ 別に洋裁はしないけれど
嫌がらせです。
はて 何時間経ったのか コトコトという音に目が覚めると 毛布が掛けられておりました。
卵焼きと干物を焼いたにおいがします。
「 食べるかね? 」 と聞くので 食べると答え 慌てて広げた洋裁道具を片付け
何事もなかったようにご飯を食べたのであります。
人さまが要らない割れ鍋にも それに見合うとじ蓋があるものでございます。
まあ それでもええではないか‥‥とは思ったものの
ミシンの件を切り出すチャンスがまた遅れたのであります。