フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

明珠在掌

2010-01-05 | 日記

 庭に水仙が咲き始めた。日本水仙の小さな花である。「水仙は八重より一重孤に徹す」<西嶋あさ子>越前海岸では1500万株の日本水仙が咲いているという。「寒さにむかって清々しく咲く水仙は人を励ます」とある。

 アメリカ人東洋文化研究者アレックス・カーさんの好きな言葉。「明珠在掌」(宝物は実は自分の手のひらにある)。戦後の日本は「古いもの=文明ではない」「自然=危険」として、古い街並みを壊し、山を真っ平らにし土手をコンクリートに変えた。日本人の誇りの欠如、古いものを残しつつモダンにする技術がこれまでの日本には無かった。自分たちの「明珠」を官民が探がしはじめようとしている、これまでの開発から取り残された地域にこそ希望がある、として長崎県五島列島の過疎の島のエコツアーに光を当てている。

欧米の先進文明に追いつけ追い越せと日本人的勤勉さで開発してきた日本人が欧米に行って見てくるものは、美しい古い街並みだ。イギリス人園芸家のポール・スミザーは言う、日本人が憧れているイングリッシュ・ガーデンなんていうものは、ないんですね、と。日本の自然、この<つまらなく見える>田舎の里山こそが「明珠」と感じられる日を夢見ている。