白州にログハウスを持っているリンボウさんのエッセイ集。一つ一つの文章は、文庫本の1,2ページで短かく、読みやすい。
その中の「ガーデニングの本質」から、
一口にイングリッシュガーデンというが、それには次のような側面がある。
第1にイギリスの庭園は産業革命により荒廃させられた自然の回復である
第2にイギリスの庭には、単なる花とは別に、生活の場としてのキッチンガーデンを併設している
第3にイギリスの庭園は個人の所有物だが、なおかつパブリックな性格を併せ持っている。しかも、庭園を公開してその入場料を社会福祉事業の基金にしている。
第4に「人生としての庭園」。イギリス人は功なり、名を遂げたのち何をしたいかと問うと、圧倒的に「田園への回帰」を揚げる。ゆったりと散歩と読書に過ごしながら、晴耕雨読的にガーデニングをする。そこに人生の最終目標として見定められた「庭」がある。
「ゆめゆめ、ただ美しく咲いている表層だけを能天気に眺めていてはいけない。それでは、この国の庭の文化は決して見えてこないのだということを、どうかどうか肝に銘じてもらいたいものである。」
日本では、「イングリッシュガーデン」と称して、社会福祉事業をはおろか、金儲けの場にしている、ところがあるが、なんとも日本的ではある。