汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

みやすけの詩 哀しみの音楽

2011年03月04日 | 初期中期の詩
この穹には幾つもの指紋が付いている
その指紋一つ一つに 紅い沁みが沁み込み
この空虚な悪戯を愉しんでいる
それぞれに人格を宿しているその指紋
口は裂け 滴り落ちる言葉の数々は 幼子の涙に似ている
それは擦れ違いざまに見えた 女の表情
選別された魂が 嘘を吐く理由

人さらいが言っていた
「この世界には新たなモノは無い」と
全ては循環していて 終わる事を知らない
全てが潤沢に成っていて それは煌めいている
地上に於ける寂しさという記号を持ち合わせている女
その唇には幾層にも分かれた 男の唾液が折り重なっている
「また深みにはまってしまった。ここから出たいのに出られない」
羞恥に頬を染める女は そう言って再び微笑んだ
力の無い微笑み 其処に通じるのは「果て」への憧れ
涙に滲む夕空に 女に悲壮を埋め合わせる
千切れ去った身体に纏わり付いている虫の吐息は
この宙に抱かれ 何時までも夢から覚めようとしなかった

女に着せられた罪という名の束縛
苦渋は舐めるほどに味わいを増して行き
彼女の皮膚から 血と成って滴り落ちる
恐怖だけが波の様に揺れている 何時になく暗い太陽
高速道路に横たわっているのは彼女の亡骸
蠅に愛撫され 心地の良い快楽に浸っている 
哀しみの音楽
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