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地球の自転がぶれるので、次のうるう秒が分からない

2019-02-18 | 天文
 現在の世界の標準時刻である協定世界時(UTC)は原子時計で算出して決めている。だが、本来の時刻は地球の自転や公転に基づいて天文学的に決めている。この時刻を世界時(UT)という。地球の自転周期は潮の満ち引きなどの影響でわずかながらぶれるため、規則正しく動き続ける原子時計との間にずれが少しずつ生じてしまう。ずれが大きくなると、太陽に合わせて暮らしている人間の生活に影響が出る恐れがある。
 そこで、UTとUTCの間のずれが0.9秒を超えそうになったときに、UTCを1秒ずらして調整するようにした。これが、うるう秒である。
 うるう秒が導入されたのは1972年。この時点で既に存在した「10秒」のずれはそのままにして、これまでの間に27回のうるう秒による調整が行われた。これで、現在のUTとUTCのずれは37秒になっている。なお、これまでの27回は全て、うるう秒を追加する調整であった。
 〇これまでの実施
 回数 年 月 日  うるう秒  協定世界時-国際原子時
 27  2017年1月1日 +1秒   -37秒
 26  2015年7月1日 +1秒   -36秒
 25  2012年7月1日 +1秒   -35秒
 24  2009年1月1日 +1秒   -34秒
 23  2006年1月1日 +1秒   -33秒
 22  1999年1月1日 +1秒   -32秒
 21  1997年7月1日 +1秒   -31秒
 20  1996年1月1日 +1秒   -30秒
 表に示すように、うるう秒実施日には規則性がない。これは、自然環境の影響などで地球の自転がぶれている故である。
 ◆全地球測位システム(GPS)の時刻
 GPSも、時刻を活用している。地球を回るGPS衛星は原子時計を搭載しており、この衛星からの時刻情報で自分の位置を測定する。
 地上約2万kmの軌道上を30基以上のGPS衛星が飛んでいる。GPS衛星からの信号には、発信した時刻と位置(軌道)の情報が含まれている。この信号の発信時刻と自分が受信した時刻との差で、衛星からの距離を算出する。地表では同時に6~10基のGPS衛星から信号を受信できる。これらの衛星からの距離情報を組み合わせることで、受信機が地表上のどの位置にいるのかを測定できる。
 GPSが送ってくる時刻は、「GPS時刻」と呼ばれる独自のもの。原子時計を基準として、うるう秒による調整はしないため、うるう秒があるごとに1秒ずつUTCとずれる。18年6月時点でGPS時間が18秒進んでいる。この時刻のずれに関する情報もGPS衛星からの信号に含まれているので、受信機側で補正して正しいUTCに変換する。
 GPS時刻の基となるのは米海軍天文台(USNO)が決めている標準時「UTC(USNO)」。これをGPS衛星へ定期的に送信して、衛星が搭載する原子時計から配信している。
 ◆調整の理由
 地球は太陽を1年で回り(公転)、自らも回転(自転)している。
 1日は地球の自転を基本として24時間(24X60X60=86400秒)と定めていた。しかし、1958年より極めて精度の高いセシウム(133Cs)原子時計を用いて計測すると、地球の自転は一定でない事が判明した。これより、1秒の定義を地球の自転を基本とせず、極めて一定精度の高い原子時計での定義とした。
 1秒は、「セシウム133原子の基底状態の二つの超微細準位間の遷移に対応する放射の周期の9192631770倍の継続周期」となった。この定義での秒で計測すると、1日は年々長くなっている事が判った。長くなった分を入れる事・・閏秒(うるうびょう)の挿入である。
 地球の自転速度が遅くなる理由は、地球の中心部が液体である、潮の干満と海底との摩擦などと考えられている。1958年から1972年まで35秒遅くなっている。将来はもっと遅くなるかもしれないとの予測。

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