いよいよ操業実習が始まりましたが、初日はなぶら(魚の群れ)が見つからなかったようです。
主直日誌を見ると、学園生徒はもちろん、専攻科生もカツオを釣り上げるのを楽しみにしているのが伝わってきます。
写真は餌のイワシに給餌しているところかな。
それでは、専攻科生の主直日誌を紹介します。
それでは、専攻科生の主直日誌を紹介します。
【12月1日 主直日誌】
鹿児島出港から2日が経ち、今日から調査が始まりました。午前中に1丁釣り用の竿を整備しました。手床と呼ばれる竿を握る部分を持ちやすくするために糸を巻く作業をしました。力を入れ続けながら巻いていくので手がどんどん疲れてきました。しかし、竿は一番大切な商売道具なので整備を怠ったり、粗末な扱いをすると折れたりしてしまうため、手を抜かずにやりました。また、自分が使いやすい道具を選ぶのはスポーツと一緒でここぞという時に道具で釣る量が変わるのは悔しいので私は毎航海きちんと整備しています。整備をする度に自分の道具に愛着が湧き、これからも大切に使っていこうと思います。
今日はまだ漁場よりやや遠いのか魚の姿を見ることが出来ませんでした。私は一本釣り船を希望しているので初日に釣れなかったのは残念です。しかし民間のカツオ船でも毎日釣れる訳ではないのでこういう日があってもしょうがないと思いました。
夕食後、私の中で日課にしている筋トレをしました。船内生活は体を動かすことが少ないので、体がなまるのを防ぐためと重い魚をたくさん釣るための筋力と持久力を付けるためにしています。これからも続けて周りの人に負けない力を付けたいと思います。
乗船実習では実技を学ぶことも大事ですが、私達は3級海技士の筆記合格を目指して座学にも励んでいます。課業では試験で出てきそうな問題を中心に試験対策を進めています。やればやるほど合格できるか不安になりますが何が何でも合格するという強い意志を持って空き時間も勉強し試験に備えていきたいと思います。
先生の報告書から
・本日午後から当直見張りによる調査が開始されたが、特に群れは見らなかった。気を取り直し明日以降に期待する。
・専攻科NE三級海技士2月定期の筆記試験に向け、課業に熱が入る。
なお「主直日誌」については25日のブログをご参照ください。
【海事教育機関】
海事教育機関は、海技士を有した海技従事者を養成するための学校です。
焼津水産高校もそのひとつ。
他に、商船・水産系大学、商船高等専門学校、海上技術短期大学校、海上技術学校などがあります。
海技士になるには筆記試験合格、乗船履歴、口述試験合格の3点セットが必要です。
これらの学校を卒業すると、筆記試験と乗船履歴が免除されます。
指定自動車学校を卒業すると技能試験が免除されるのと同じです。
水産高校の専攻科を卒業すると内燃機関、あるいは航海の3級筆記試験と乗船履歴が免除になります。
では、上の日誌にあるように3級海技士の筆記試験を受験するのはなぜか?
専攻科の先生に伺ったら、習熟度を上げるために、あえて筆記試験を受験するとのこと。
機関の場合は内燃機関限定でない3級機関を取得する目的もあるそうです。
学園生の場合、就学中に3級まで筆記試験を合格する人もいますが、乗船履歴は漁船に乗ってからになります。
ただし!水産高校では本科と専攻科で3年掛かりますが、学園は1年。
乗船履歴がつく頃には、いっぱしの漁師です。
園長のつぶやき
「でもしか先生」って聞いたことがありますか?
戦後に教員採用が急増し、安易に教員になれた時期がありました。
「他にやりたい仕事がないから先生でもやろう」
「特別な技能がないから先生にしかなれない」
と、志がなく教師になった人を揶揄する言葉です。
ご存じのとおり、今や教員採用は狭き門。「でもしか先生」も死語です。
しかし、
「でもしか漁師」
と感じることがあります。
皆さん、お分かりになりますか?
(明日に続く...)