静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

アーク溶接実習

2016年06月23日 13時26分19秒 | 実習

ガス溶接に続き、再び清水テクノカレッジに出かけて、アーク溶接(電気溶接)の実習です。
3日間の講習ですが、ガス溶接と同じで座学からスタート。
アーク溶接は高温で、強い光が出るのでガス溶接と違った注意が必要です。
理論や注意点をしっかり頭に入れてもらいます。

講師の先生が手取り足取りという感じで親切に指導してくださいました。

きれいに出来たでしょうか?

これは何て書いたの?

最後に修了試験です。全員合格できたのでしょうか?

学園に戻ってきてから、47期生で唯一の中学卒の生徒が、カタカナで自分の名前を書き込んだプレートを嬉しそうに見せてくれました。友達に自分がやっている実習のことを紹介するそうです。

アーク溶接は放電により火花を作るため、一定の間隔を保つ必要があります。
それがガス溶接より難しいと言われていますが、生徒に聞いたらガス溶接の方が難しかったそうです。
人それぞれなんでしょうか?

【木から鉄】
漁船の最先端で、遠洋漁業の時代を開いた水産技術研究所の「富士丸」も昭和2年に作られてた第3世から、ようやく鋼船になりました。
ほんの100年前まで、ほとんどの漁船は木造だったことになります。
三保造船所の見学でも、多量の鉄が使われていることを書きましたが、構造体が鉄になることで、巨大な船を作ることが可能になりました。
それを支えた技術の一つが溶接です。

しかし、木は錆びません。
小さな漁港にある数十年前の木造の漁具倉庫が朽ち果てずに残っているのを良く目にします。
エンジンもついていない木造船は塗装無しでも何十年も使えますから、海で使う場合の木材はすごいですね。今は小型漁船もFRPが主流で、木造船はほとんどなくなりつつあります。
私のように漁村出身者には、ちょっと寂しいですね。

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実習船しろちどり見学

2016年06月22日 07時26分46秒 | 研修・見学

昨日ご紹介したように、卒業生の見送りに行ったのですが
漁港内に三重県立水産高等学校の実習船「しろちどり」が停泊してるのを発見!
船長のご厚意で見学させていただきました。
「しろちどり」は平成12年3月に竣工。カツオ一本釣りができる499トンの実習船です。

スタッフの方が、ブリッジ、機関など丁寧に説明してくださいました。

 

これは海水から真水を作るろ過装置です。
焼津漁港内の駿河湾深層水供給施設でも、焼津市がこれの大きい装置で塩分を除去した「駿河純水」を作って販売しています。

後ほど昼食で、前に座った生徒に感想を聞きましたが
「船室が狭かった..」
とのこと。
漁船の居住空間は、実際に広いとは言えないと思いますが、それでも新しい船ほど広くなっています。
昨年、竣工した最新のカツオ一本釣り船を船主にお願いして、生徒に見学させてもらおうと思います。

【識別信号  Call sign】
上から2枚目の写真で、JHQAの4文字が分かりますか?
遠洋カツオ船などにも大きくこの様に4文字が書かれています。
これは、無線局の識別信号。
ワタクシ、実は知りませんでした...
なんか「どの船にも書いてあるなあ」と最近、気になっていました。

日本では無線電信を有する船舶にはJAAA - JSZZ、7JAA - 7NZZ、8JAA - 8NZZの4文字の信号符字を点附するそうです。

ん?なんで、漁船は大きく表示されているんですかね?
商船や貨物船は違う気が?
調べてもはっきりしませんでした...
分かったら、ご紹介しますね。

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遠洋竿釣り船の見送り

2016年06月21日 14時40分02秒 | 卒業生の活躍

第45期生が乗る遠洋竿釣り船が焼津漁港から出航するのを見送りに行きました。
卒業生を見送ることで、出漁する気持ちを分かってもらえればと思います。
あまり時間はなかったですが、乗組員の方とお話もさせてもらいました。

出航したI君ですが、前日に学園に来てくれました。
仕事については、
「最初は力仕事でつらかったが、半年を過ぎると慣れてくる」
「後輩には優しくしている」
などを語ってくれました。
また、人間関係は、船によって独特の苦労があるようです。

船の人間関係の話を聞くと、学園での寮生活の重要性が分かります。
今年の生徒も15歳から30歳までと年齢が異なるし、県外生が10人もいます。
このような状況で寝食を共にする訳です。
自然に回りへの配慮ができる生徒ばかりではありません。
集団の中で大事にされる人材になるよう、寮生活は1年掛けての実習の刃です。
寮生活で仲間を大事にすることを学び、巣立ちに備えて欲しいと思います。

I君に優しくされている後輩ですが、きっと自分に後輩ができても優しく接することでしょう。

【遠洋竿釣り】
カツオの一本釣りは有名ですが、カツオだけでなくビンナガなどの小型マグロも漁獲対象です。
遠洋カツオ一本釣りの仕事については次の「漁師jp」のページで紹介されています。
http://www.ryoushi.jp/gyogyou/okiai_enyou/enyou/01.html

このページには
「指導者・管理者のポジションを目指す国内の若い人材が必要とされている」
と書かれています。まさに、学園で要請しようとしている人材です。

外国人船員が増加する中、日本人のリーダーが求められているのです。
高校卒業後に学園に来た場合、まじめに学習すれば海技士4級の筆記試験合格は高いハードルではありません。4級海技士があれば、多くの遠洋漁船で一等航海士、一等機関長になることが可能です。多くありませんが、学園在学中に3級海技士の筆記合格をする生徒もいます。

海技士の資格がなく、遠洋漁船に就職する人もいますが、ゼロから仕事の合間に独学を重ねるのは大変な苦労があると思います。
漁師を目指す方は、当学園のような専門の学校を経て、就業するのが幹部漁船員になる近道です。

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カッター遠漕(カッター訓練5)

2016年06月20日 08時22分00秒 | 実習

さて、カッター訓練もいよいよフィニッシュ!
静岡市は用宗漁港までの遠漕です。
あいにくの曇天でしたが、暑すぎず良かったかも。

8:45、元気に焼津漁港をスタートです。

2艇とも元気にカッターを進めます。
べた凪です!

途中、給水休憩をはさみ、10:20に用宗漁港に着。
先日お世話になったシラス漁船に手を振りました。

みんな、漕ぐのがうまくなりました。
午後の授業は、ぐったりでしたが...
達成感はあったんじゃないかな?

YouTubeにアップした動画もご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=aGGLhvnHqxc

https://www.youtube.com/watch?v=M-POZtdhVcg

これで終わるのがもったいない!とも思いましたが、
「この暑いのにカッター漕いでられねー」との生徒の要望にお応えし、
これから水泳実習が始まります。
まずはプールで練習ですが、カメラを持ち込めないのでお知らせできるかなぁ。


【国立清水海上技術短期大学校との違い】

先日、来年度入学希望者の保護者の方から、息子さんの進学先として国立清水海上技術短期大学校とどちらが

良いか質問がありました。
このブログをご覧の方も、同じような疑問があるかもしれないので、ちょっと書いておきます。
当学園も入学生の多くが高校卒業生になっていることや、授業内容も共通点が多くあります。

共通点
 海技士(航海、機関)を取得するための授業がある
 ロープワーク、カッター訓練、水泳などの実習
 遠洋航海実習がある
 船に乗る仕事に就く

違う点
 短期大学校は2年制で内航の貨物船などに就職です。特に2年次は9ヶ月間の乗船があり、卒業時には海技

士の資格が取れます。
 学園は1年制で漁船に就職。海技士は筆記試験を合格し、就職後に乗船実績をつけます。

 やはり、最大の違いは「漁師になるか」どうかです。
 同じ船でも、貨物船や客船は荷物や人を運ぶのが目的です。
 漁船はまず漁をしなくてはなりません。魚を捕るのが漁船の目的です。
 ですから、同じ船員でも漁船員は漁を取るための技術や体力が必要です。
 そのためのロープワークであったり、カッター訓練だったりします。
 加えて、学園には生徒数を上回る求人があります。

先日のお問い合わせにも、このような回答をさせていただきました。
漁師になりたいということであれば、当学園にぜひ来てください。

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シラス漁の見学

2016年06月17日 09時58分56秒 | 研修・見学

しらす船曳網漁業組合のご厚意で、静岡市は用宗のシラス漁を見学させていただきました。用宗漁港は学園からはクルマで約20分です。

実は天候不順で実施が1日延びたのですが、この日も晴天の予報と違い、曇り空。
前日までの雨で、シラスが獲れるか心配でしたが...

5班に分かれて、別の漁船に乗せていただきました。


ブリッジ内で、計器の説明や、魚探に現れるシラスの群れも教えてもらいました。

網の投入から、網を引き上げ、魚箱に入れて氷で冷やすところまで、つぶさに見学できました。

漁師さんから「食べてみな」と言っていただき、獲れたてのシラスを堪能。
生徒たちの表情から、どんな味がしたかは伝わると思います。この味が楽しめるが漁師の醍醐味です。

市場に水揚げするまで見学です。

漁協に戻ると、しらす船曳網漁業組合の斉藤組合長さんがシラス漁の就業説明をしてくれました。就業時間、休暇など詳しく教えていただきました。

昼食を挟んで、「まるかい」さんでシラス加工の見学をしました。
副社長さんから県のシラス漁や、釜揚げ加工の話をしてもらいました。

そのあと、加工場も見せていただきましたが、あいにく教務職員が入れなかったので写真がご紹介できません...

漁業の現場は、参考になりますし、得るところが大きいと思います。しらす船曳組合の皆様、まるかいさん、お世話になりました。

遠洋漁業の現場にも連れて行きたいですが、さすがに簡単にはできません。遠洋漁業は別の醍醐味や楽しさ、そして苦労があります。11月の遠洋航海実習で、その一端を知ってもらいます。

【静岡県のシラス漁】
静岡県はシラスの水揚げも全国トップクラスです。
静岡市から浜松市に掛けての、県の中西部域では沿岸漁業の主役です。
シラス漁は県の中西部では2船びき、東部では1船びきになります。
1船びきでは、シラスを見つけるとカーテンのように網をまきます。
こんな感じですが、1船でやります。(まき網の説明図ですが、イメージは伝わるかと...)

一方、2船びきはこんな感じ。

2船びきの方がたくさん獲れます。上にある写真でも、船が並んでいるのがわかると思いますが、用宗は2船びきです。
さらに、用宗では別の運搬船があり、獲れたシラスをすぐに市場に運びます。

1船びきでは、網を引っ張らないので痛にみくく、質の良いシラスが漁獲できます。
漁獲量が少ないので、自分で釜揚げ加工や販売をして利益を上げます。

用宗漁港と田子の浦港では、漁協直営のシラス丼の店があります。
新鮮がシラスを味わいたい方にお勧めします。

用宗漁港 どんぶりハウス

http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-420/guide/donburi.html

田子の浦港 田子の浦漁協食堂

http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-420/guide/gtagonoura.html

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