(承前)
「街の中心部」
大江正美「札幌風景」(34年ごろ)。左には旧大通郵便局と、豊平館(ほうへいかん)附近の緑が、右手には札幌のランドマークだった消防の望楼と、今もある石造りの教会が見えている。制作年が34年ごろとなっているのは、同題の絵が35年の国画会展に出品していることが判明しているため。
おそらくこの画家は、長野県の「無言館」に「白い家」が収蔵されている、戦歿者ではないか。
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「札幌のピューリタニズム、小樽のリアリズム、函館のロマンティシズム」という亀井勝一郎のことばがある由だが、かつての札幌は、洋館が立ち並び、異国情緒ただよう街だったらしい。
らしい、というのは、筆者はリアルタイムでその時代を知らないからで、かつての雰囲気は、わずかに黒澤明監督の「白痴」や、札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)の常設展などでしか、今となっては . . . 本文を読む