■「越冬」山本純一写真展(1月24日まで)

　じつは先週、おなじ会場で、山本純一さんに指導を受けている写真教室展がありまして、なかなか良いネイチャーフォトが多く
「こりゃ、先生はヘタな写真を出品できないな」
などとよけいな心配をしていたのですが、はっきりいって、杞憂でした。すばらしい！　これぞ、ネイチャーフォトです。
　冬をテーマにしたのも、焦点がしぼられていて、好感がもてました。　

　筆者は1枚目の「黎明」に心打たれました。
　流氷の浮かぶ海のかなた、東の空がわずかに明るみ、藍色の空にはカシオペヤの光跡がはっきりと見えます。
　肉眼ではわからないほどのわずかな薄明の時間に撮影するのがコツなんだそうです。
「もともと星の写真を撮るのが好きだから、いつ撮ればいいかはわかってるんですよ」
と山本さん。
　つぎの「昇陽」は、野付半島でとらえた真四角な太陽。
　「厳寒の朝」も、この鶴居村(釧路管内)のスポットで三脚をかまえる人は大勢いるでしょうけど、ここまでみごとにタンチョウの着地があざやかにキマッテいる写真は、そうそう撮れないはずです。

　「警戒」を見ていると、山本さんが写真の世界に入るきっかけになった星野道夫さんの、カリブーの大旅行の写真を思い出します。
　もちろん、あれにくらべると、はるかに規模は小さいのですが、われらが北海道でも、シカは冷たい大地をはるかに旅しているのだなあと思うと、なんだかしみじみとしてきます。

　このほか、ハクチョウや猛禽類が、きびしい環境の中で懸命に生きる姿も、胸を打ちます。
　25点のうち、デジタルが3枚。のこりは大半がフジクロームベルビアです。

　出品作は次のとおり。
「黎明」(野付半島)
「昇陽」(同)
「飛翔」(十勝川)
「氷海」（大津海岸)
「凍光」(十勝川)
「格闘」(同)
「目覚め」(同)
「炎流」(同)
「雪日」(阿寒町)
「厳寒の舞」（鶴居村)
「悠久の刻」(阿寒町)
「降臨」(本別海)
「静寂」(羅臼町)
「闇へ」(野付半島)
「烈風」(更別村)
「凍壁」(広尾町)
「氷海の覇者」（羅臼町)
「東雲」(羅臼沖)
「越冬」(知床半島)
「争奪」(羅臼沖)
「警戒」(走古丹)
「帰路」(同)
「風の記憶」(野付半島)
「落陽」(走古丹)
「輪廻転生」(ウトロ海岸)


1月19日(金)－24日(水)10：00－18：30
富士フォトサロン（中央区北2西4、札幌三井ビル別館 地図A)

　昨年秋の東京展のようすがこちらのblogにちらっと出ています。
http://tsumuraya.exblog.jp/4216413/