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宮西詔路さんのこと

2012年04月21日 08時07分37秒 | 新聞などのニュースから

 きのう(2012年4月20日)の北海道新聞夕刊文化面の、春の公募展を紹介する記事で、春陽展の会場に、八木伸子さん、宮西詔路さん、崎山かづこさんの会員3人の遺作が展示されていることを知った。
 八木さんの訃報は新聞にも載っていたが、宮西さんと崎山さんが亡くなられたことは知らなかった。

 おふたりのうち、崎山さんについては、会員になられたのが近年ということもあり、また個人的にお会いしたこともないので、取り立てて思い出というほどのものはないが、宮西さんは、筆者がギャラリーをまわり始めた1995年ごろ、すでに春陽の会員であった。この時点での道内の会員は、八木さん、谷口一芳さん、宮西さん、安田完さんの4人で、その顔ぶれは10年以上変わらなかった(言いかえれば、会員昇格が長い間なかったということになる)。

 宮西さんは函館在住で、すでにかなりのお年であった。そのこともあるのだろう、健康状態がすぐれず、毎年札幌時計台ギャラリーで開かれる春陽の北海道展には出品していないこともあった。
 また、札幌で個展を見たことはない。函館での開催があるかどうかは、手元に資料がなく、はっきりしたことはわからない。
 ご本人の印象は、口数の少ない、物静かな方であったように思う。

 宮西さんといえば、馬の絵である。
 それも、写実的に描写するのではなく、青い空間にぼうと浮かび上がるように馬を描く、どちらかといえば幻想的ともいえる画風であった。
 ほとんど抽象画に近く、青い画面の中にかろうじて馬の姿が判別できるときもあれば、フォルムがわりあいはっきりと描かれるときもあった。

 写実的でない馬の絵といえば、誰しも思い起こすのが坂本繁二郎であろう。黒田清輝と同郷、福岡県久留米市の生まれであるこの画家は、黒田のように画壇に君臨することなく、寡作であったが、後年まで根強い人気を保った。
 もちろん、画風自体は、宮西さんとはかなり異なるのだが、マイナーポエット的な存在感、自己主張をしない控えめな画面といった点では、このふたりの画家に何がしか共通するものがあるような気がしてならない。

 ご冥福をお祈りします。


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