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■朝日章個展 #画欲 「川の音」 (2024年3月6~10日、札幌)

2024年03月13日 23時45分06秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 朝日章さんですが筆者は2007年、今はなきアートスペース201の全5室で開かれたグループ展「FIVE ENERGY」で、高層集合住宅を批判的なまなざしでとらえた作品を見たのが最後で、じつに17年ぶりに作品を拝見しました(その間も発表はしていたようですが、筆者は札幌にいなかった時期と思われます)。
 
 
 今回の会場には、すべてF6のキャンバスに描かれた335点が並び、壁に掛けきれない大量の作品が床の上に立てかけてありました。
 さらに控え室にも40枚ほどが積まれていましたから、大変な量の制作です。
 
 要は絵画なのですが、朝日さんはどうやら、いわゆる絵画にくくられるのがあまり好きではないようです。
 ご本人は「もう絵は描きたくない。絵の具で遊びたくなった」と言うのです。

「画面がまとまったら壊したくなる。安定すると、ヤバいでしょ」
 
 
 たしかに、一点一点の完成度を高めていく一般的なタブローのあり方からはどこまでも逸脱していくような画面ではあります。
 かといって、単なる即興性に淫しているのとも異なり、なにか微妙な地点で作品が成立しているといえます。

 展覧会タイトルの「川の音」は、朝日さんが札幌市南区の、豊平川の支流の近くに住んでいて、家と川の間の土地で制作をしていることに由来します。
 室内ではあまり制作したくないとのこと。
 

 
 もちろん額縁はなく、サインも入れられていません。
 そのため、天地左右、どの向きに壁に掛けても大丈夫のようです。
 下地は漆喰で、ネオカラー(水性ペイント)で描かれているので、全体的にたいへんカラッと明るい印象を受けます。

 自分というものを画面に出したくない、とも話しており、とにかく近代主義的な芸術のあり方からは距離を置きたいようです。

 
 とはいえ、5枚目の、つまり最後に上げた画像で、いちばん左端にある絵はことし元日に描いたそうで、能登地震と飛行機事故という相次ぐ大ニュースに動揺した心性がうかがえます。
 こういう情緒を排したいというのが作者の気持ちなのでしょう。
 なんとなくわかる気がします。
 
 近年はおもに写真投稿SNSの Instagram(インスタグラム)に
#画欲
#写欲
というハッシュタグをつけて、絵画やスナップ写真を投稿しているそうです。

 朝日章さんは1980~90年代に開かれた現代美術の各種グループ展に出品していました。 
 1995年に、アートスペース201の全5室を用いて開かれた「オープンアート5人展」では
「木炭、アルミ、ガラスを天井まで積み上げた」
と、当時の北海道新聞に紹介されています。ちなみに、他の4人は、のちにゴッホを巡る書籍が売れた小林英樹、写真の前沢良彰、喜多村俊、金子辰哉の各氏です。
 何度か開催された「抽象の現在展」にも、同年に出品していました。
 

2024年3月6日(火)~10日(日)午前10時30分~午後6時30分(最終日~5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)

Instagram
asahi.akira

過去の関連記事へのリンク
FIVE ENERGY (2007)
朝日章個展 (2004、画像なし)

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