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■藤野千鶴子展 (2013年10月28日~11月2日、札幌)

2013年10月30日 01時01分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 プライヴァシーに属することだからあまり詳細に書かないほうがいいのかもしれないが、ギャラリーを訪れて、びっくりした。
 最初、藤野さんご本人がいらっしゃらないのかとばかり思っていたほどだ。
 藤野さんによると、この夏、東京の病院に入院して、30キロやせたとのことだった。

 この件がなければ、今回も、「いつもの個展」だと受け止めていたはずだと思う。
 先月の美術文化北海道支部展に出した「宙」のほか、小品が30点ほど。いつものように、まばゆく鮮やかな(しかし、生っぽくはない)色の上に、軽快な線が躍る。
 「宙」は、同支部展の際に若干加筆して、色を落ち着かせているとのこと。
「ピンクは、病を癒やす色だと知りました」




 こちらは、曼珠沙華まんじゅしゃ げ の花を描いたシリーズ。
 北海道ではなじみがないが、本州では、晩夏に赤い、線香花火のような花弁で土手やあぜ道などに咲き乱れる、印象深い花だ。
 盆の季節に墓参りなどに行くとよく咲いているので、生と死のドラマの表象でもある。


 それにしても、退院して1カ月余り、どうやってこの個展に間に合わせたのだろう。すごい力だ。
 藤野さんはもう来年の時計台ギャラリーでの個展をどうするか、頭をめぐらせていた。
 彼女は毎年このギャラリーで個展を開いているが、1年おきに、A室での大規模な展覧と、3階の小さな部屋での小品展を繰り返すというパターンを、長いこと繰り返しており、今年は3階、来年はA室なのだ。
 あまりムリはなさらないでほしいのだが、しかし、絵描きの生きるバイタリティーは、この「次の個展はどうしよう」という思いから生まれているのも確かなことで、どうか彼女のバイタリティーが病魔を完全に吹き飛ばしてほしいものだと思う。


2013年10月28日(月)~11月2日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)



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