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カサグランデ&リンターラ建築事務所「ポチョムキン」●大地の芸術祭2024への旅(10)

2024年09月26日 07時58分59秒 | 越後妻有・大地の芸術祭2006/2024
(承前。末尾に追記あり)

 中里エリアの倉俣地区にある「N019」。
 カサグランデ&リンターラの作品を見るのは2002年に帯広で開かれた現代アート展「デメーテル」以来で、とても懐かしいです。

ポチョムキン - 作品|大地の芸術祭

カサグランテ&リンターラ建築事務所, ポチョムキン, 私にとってポチョムキンは、革命の出発点だ。ポチョムキンが頭から離れることはないし、この革命が私をどこへ向かわせ...

大地の芸術祭

 


 近くで見ると、めちゃくちゃ威圧感・圧迫感のある作品です。
 おだやかな水田と、重々しい鉄の壁との対比が、ものすごいです。

 鉄の壁の内側は、子どもの遊び場になっています。

 言うまでもないことですが、ポチョムキンは、エイゼンシュタイン監督がロシア革命を賛美した、映画史に残る作品「戦艦ポチョムキン」から来ているのでしょう。

 理想郷を目指した革命はアンチユートピアを現出させ、ポチョムキン号の水平たちが起こした叛乱の意義も宙に浮かんでいるようです。
 おまけに、映画で描かれたオデッサの階段は、新たな悲劇の舞台になっています。

 自然と文明。
 伝統と革命。
 さまざまなことを考えさせられる作品でした。

(「考えさせられる」で締めくくるのは一種の逃げなのですが、でも、オール・オア・ナッシングで片が付く話でもないですよね…)












 あたりはセミが鳴いていました。
 
 山々を見渡すと、この地域はどこに行っても、送電線鉄塔が連なっています。
 豊富な水資源からつくられる電力が、首都圏の生活を支えています。



(9月26日午前追記。「ポチョムキン」という名がロシア革命の暗喩とすれば、絶えずソヴィエトの圧迫を感じてきた隣国フィンランドの作家による作品と思うと、この圧迫感が何に由来するか、筆者の胸の痛むところです)


過去の関連記事へのリンク
デメーテル (2002)





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