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【告知】鉄と人 鈴木久雄・多和圭三展-彫刻の領域2-(2012年6月2日~8月5日、旭川。6月3日シンポジウム)

2012年05月31日 22時34分04秒 | 展覧会等の予告
 旭川駅構内にオープンしたステーションギャラリー。
 中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館が大規模な改修工事をしているので、その間だけでも、収蔵品を展示しておこうか…という程度のスペースかと思っていたら、その予想はいい意味で裏切られました。
 なかなか硬派な企画の登場です。

 鈴木久雄さん、多和圭三さんの2人展で、鈴木さんは1946年生まれで、第35回中原悌二郎賞を受賞した武蔵野美術大教授、多和さんは1952年生まれで、第33回の同賞を受けた多摩美大教授。

 そのふたりを交えたシンポジウム「彫刻の領域 素材とわざ」も、6月3日(日)午後1時から3時半まで、おなじ会場で開かれます。
 「素材と技法の側面から現代彫刻について考える」という内容で、パネリストはほかに、佐藤淳一武蔵野美術大教授、濱下昌宏神戸女学院大名誉教授・西宮市大谷記念美術館理事、松本透東京国立近代美術館副館長ほか。
 …って、どうしてこれだけの顔ぶれが一度に旭川に集まるんでしょうか??

 シンポジウムは定員40人で、無料。
 申し込みは彫刻美術館0166・52・0033へ。


 チラシに書かれたテキストも、北海道の美術館のものとしては、かなり読みごたえがあるものとなっています。
 引用します。

彫刻は実在する「もの」で表現される芸術の領域です。彫刻家は石や木、粘土や鉄、ポリエステル、布など様々な素材を用いて、自身の考えをかたちにしていきます。本展で展示される作品群は、「鉄と人」という展覧会タイトルが示すとおり、鉄材と彫刻家との深い関わりの結果立ち現れたものです。

 鈴木久雄はステンレス鋼の小片を鍛造し六角形に溶接したパーツを無数に繋ぎ合わせ、巨大な作品を造りあげます。緻密 ち みつで膨大な作業の末に完成した作品は、彫刻が本来的に備える「距離」「大きさ」といった空間のダイナミズムを観るものに強く訴えかけます。鈴木の作品を仰ぎ見、くぐり抜けながら全身で体感することで、私たちは空間の新たな側面を目の当たりにするのです。

 多和圭三は重さ数百キロ、時には1トンを超える無垢の鉄塊を手製の玄能で叩き続けるという、一般的な彫刻の技法の範疇はんちゅうには無い手法で作品を造りあげます。作品の表面に残る無数の槌跡は、鉄に沈潜する命の蠢動しゅんどうを感じさせ、静かにたたずむ作品は圧倒的な存在感をたたえています。また、近年は細長い鉄に無数の線状を刻み、フレーム状に溶接した作品を発表するなど、多和の制作は新たな展開をみせています。

 本展は、当館収蔵作品をはじめ、両作家の新作を交えて展示することで、それぞれ異なる手法で鉄材と対峙する鈴木・多和両名の造形作家をご紹介するものです。彫刻家と鉄の、途方もなく長く険しい関わりの結果生み出された作品は、得も言われぬ迫力を備えていますが、それは写真や映像といった情報では伝わりにくいものです。実際に展示空間に身を置き、両作家の作品群が放つ気配を実感していただければ幸いです。

 

 
2012年6月2日(土)~8月5日(日)午前10:30~午後6:30(入館~6:15) 会期中無休
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館ステーションギャラリー(JR旭川駅 東コンコース) 無料


ワークショップ「たたいて作ろう トライアングル」
=7月14日(土)10:30~2:30 小中学生対象で無料。
申し込みは6月20日から彫刻美術館0166・52・0033へ。

関連展覧会 「鈴木久雄・多和圭三彫刻展」
7月14日(土)~8月5日(日)11:30~6:30 火曜休み
ギャラリーシーズ(旭川市旭町2の3)


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