清水淑枝さんは札幌の版画家。
いまは、朝日カルチャーセンターで講師を務めている。
版画をはじめたきっかけは、年賀状作りのために、道内版画界の大御所である大本靖さんの講座に通ったことだという。
その後、全道展では会友となり、また「アジアプリントアドベンチャー」などのグループ展にも出品し、札幌ではかなりの頻度で作品を目にする版画家の一人であった。
冒頭の画像は、そんな頃の清水さんの作品で、筆者が彼女の名前を聞いて真っ先に思い出した作品。
女性の体の一部分と抽象的な図形を組み合わせ(文字通りコラージュした作もある)たもの。
見ていると、「女性の自立」的な言説をしたくなる欲求にかられるのだけど、実際に清水さんにお会いしてお話をしていると、もっと大きな観点というか長い時間のスパンというか、そういう地点から作品づくりに取り組んでいるのではないか、そんな気がした。
左側は、版画を切り抜いて張り合わせたコラージュ作品。
右の2点は、初期の作品。
「最初、全道展に出したら落選して。おなじ作品を版画展(日本版画協会展)に出したら入選したの。なにそれ?って思った」
と清水さんは笑いながら振り返る。
いかにも木版らしさを残した花の作品。
それと女性のボディの組み合わせは、すでにこのころから始まっている。
なお、その後の作品は、木版と表示されていても、木版の素朴さをそぎ落としたシャープな作風になっていく。
また、カルチャーセンターで教えるためもあって、リトグラフやシルクスクリーンなど多彩な技法を取り入れていく。
それらは、札幌芸術の森の工房に通って根気強く習得したのだそうだ。
近年の作品。写真は、デジタルカメラではなく、ポジフィルムで撮ったものという。
清水さんと話していて意外だったのは、旧池北線や留萌線などの駅をスケッチしてまわっているということ。
幼い頃は、高島(十勝管内池田町)に住んでいたという。
それから釧路管内の弟子屈町に移ったが、家業の林業が振るわず、貧しい思いをしたと話しておられた。
駅を描くのは、母親の代わりに、母のぶんまで旅をしているという感覚なのだそうだ。
作品名に「胤」という文字が多く用いられているのは、世代から世代へと結ぶ血のつながりをあらわしているのだという。
家族、ふるさとに寄せる思いが、静かに、作品の中に折りたたまれている。
出品作は、つぎのとおり。
Heroine -Overture- 胤 (同題4点)
Heroine -Overture- (同題11点)
Heroine -Overture- the wald of 42° winter
Heroine -Overture- the wald of 42° summerrr
Heroine 胤(同題5点)
Heroine
挽歌
東の風 西の風
2012年6月6日~26日(火)10~5時、日曜休み
ギャラリー山の手(西区山の手7の6)
・地下鉄東西線「西28丁目」バスターミナルで、ジェイアール北海道バス「循環西21」「西21」にのりつぎ、「ふもと橋」降車、約140メートル、徒歩2分
・ジェイアール北海道バス「発寒橋」から、約750メートル、徒歩9分。小樽方面行きの都市間高速バス、および「ていねライナー」などの快速は通過
・北海道中央バス、ジェイアール北海道バス「西区役所前」から約1200メートル、徒歩16分(都市間高速バス、快速など全便が停車)
・地下鉄琴似駅、JR琴似駅からも「ふもと橋」行きのバスが出ています。
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