![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/7d/a4e04b68c7d1534cca2e8e7a053d35c6.jpg)
道内各地のプロ陶芸家による集まりである「北海道陶芸会」の、恒例の年1度の展覧会をギャラリー大通美術館で開いています。
この会場の、部屋がパーティーションで五つに分けられている特徴を生かし
・メインとなる大型の作品展
・食器、花器など小品を中心にした展示
・今年のテーマ「涼を楽しむ」
・提携している米国オレゴン州陶芸協会の陶板などの作品展
と、おおまかに分かれています。すっきりした見やすい構成で、どこから見始めてもかまいません。
メイン作品展はいわゆる「陶芸」の枠におさまらないような作品もあって、見応えがあり、また小品展はおおむね数千円の、比較的買いやすい価格のうつわが並んでいるので、品定めをするのも良いと思います。
以下、何枚か写真をのせますが、良い作品をピックアップしたということではなく、たまたま目についたものをあげているということをご承知おきください。ここに写っていないものにも力作がたくさんあります。
冒頭画像は会場風景です。
左は中村照子さんの陶板「無所有」。
道内女性陶芸家の草分けである中村照子さんは今年で89歳になりますが、庭の草花を見つめるまなざしの若々しいことには驚かされます。
中村照子さんは、シマエナガをあしらったかわいらしい香合なども出品しています。
右は東京在住の顧問、小山耕一さんの金彩の皿。
明るいピンク色など新たな釉薬の研究開発で成果をあげている小山さんらしい一作です。
左から田嶋裕子「旅する風と」、柴田睦子「壺」、齊藤千賀子「ランプシェード 波の奏」。
旅行好きで世界を飛び回っている田嶋さん。
自由な曲線を表現したオブジェ。
柴田さんは重厚な風合いの2点組み。
舟にも木靴にも見えるフォルムで、花器に用いることもできそう。
齊藤さんは、複雑なすかし模様が美しいです。
透かしといえば、小山七郎さん「晦冥に煌めく」も堂々の存在感でした。
これだけのすかしを、割れずに焼成するだけでもすごいなあと、素人くさいことを考えてしまいます。
続いては田中豊「平和を愛する人たちへ」。
砲弾を想起させる、塔のようなかたちが10本そびえ立ち、その間に「PEACE」と印字された陶片がおびただしく散らばっています。
ウクライナ情勢に触発されたとおぼしきインスタレーションで、陶芸の展示でこのようなタイプの作品は珍しいです。
右は、土居万里子「デザイン大皿 ~flow~」。
織部のようでいて明るめの緑がリズム感を生んでいます。
土居さんのような若手が在籍しているのは、頼もしいです。
左は伊丹裕子「FLOW」。
偶然、おなじような題の作が並びました。
流れるような文様が魅力的です。
左は中村裕「雪原四方花器」。
中村会長の、北国の雪景色を思わせる涼やかなデザインに、ますますみがきがかかっています。
奥に見える2点組みは森収吾「無題」。
森さんは小品コーナーに、建物をかたどった個性的なオブジェや、耳や足の形をしたペーパーウェイトを出品していて、異彩を放っています。
さらに高井秀樹「白磁内黒花器」。
流線型の美しい白い器の内側は真っ黒という、対照性がユニーク。
三角形の器を手がけていた高井さんはこの数年、磁器を制作しています。
左は尾形修一「壺」。
焼き締めの作品で、灰かぶりの景色は穴窯ならではの魅力です。
右は西村文子「花まとう・花咲く」。
西村さんは、花のオブジェ3個と、オブジェを貼り付けた平面作品との組み合わせ。
壁掛け平面は、小甲楠緒子さんも「crossing 9」を出品していました。
次の画像は小品コーナー。
花入れ、マグカップ、片口、ぐい呑み、ワイングラス、そばちょこ、皿、カップ…ぐらいは、どの陶芸展にもありそうですが、なにせ人数も点数も多いので、蚊取り線香入れ、水盤、ジョッキ、ピッチャーといったものも並んでいます。
阿妻一直さんの「冷麺鉢セット」は、盛岡冷麺というより、そうめんや冷麦を載せる穴あきの台皿と、そばちょこふうの器2点のセット。澄んだ青が涼しげです。
テーマに沿って、風鈴の競演です。
このほかのメイン会場の出品作は次のとおり。
もし誤字などがあれば、すみませんがご指摘ください。
多田昌代「あなたはわたしの希望」
前野右子「花生け―光と蔭―」
福盛田眞智子「蒼い山並み」
錦織宏「WORM」
種谷賢「菱形格子紋花器」
張浦華「夏の花入れ」
三津和広「色々な植木鉢」
阿妻一直「コスモス『宇宙観』」
石川雅昭「焼き締め南蛮銀淡文扁壺」
白戸孝行「糠灰釉花瓶」
三橋エリ「スリップウェア四方壺」
上田隆之「灰釉鉢」
塩入稔「ルリ釉組鉢」
山田祥子「茜彩どら鉢」
藤田明子「心の宙」
八谷弘美「織部花入」
山下洋子「花詰め花入れ―3」
原田昭「軟石の華」「軟石の華(緑)」
愛澤光司「多耳花立て」
2022年7月26日(火)~31日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)
ギャラリー大通美術館 (札幌市中央区大通西5 大五ビル)
□公式サイト https://hokkaido-pottery-society.jimdofree.com/
過去の関連記事へのリンク
【告知】2022北海道陶芸会展
【告知】2021 北海道陶芸会展
■北海道陶芸会50周年記念 陶・創造者たち-北の大地と共に ■続き (2018)
【予告】北海道陶芸会50周年記念「陶・創造者たち―北の大地と共に―」 (2018年6月23日~7月16日、札幌)
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【告知】北海道陶芸会45周年記念展 (2013)
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■北海道陶芸会40周年記念展(2008年)
■2006年の展覧会「環」 (画像なし)
■35周年展(03年)
■2002年の展覧会
この会場の、部屋がパーティーションで五つに分けられている特徴を生かし
・メインとなる大型の作品展
・食器、花器など小品を中心にした展示
・今年のテーマ「涼を楽しむ」
・提携している米国オレゴン州陶芸協会の陶板などの作品展
と、おおまかに分かれています。すっきりした見やすい構成で、どこから見始めてもかまいません。
メイン作品展はいわゆる「陶芸」の枠におさまらないような作品もあって、見応えがあり、また小品展はおおむね数千円の、比較的買いやすい価格のうつわが並んでいるので、品定めをするのも良いと思います。
以下、何枚か写真をのせますが、良い作品をピックアップしたということではなく、たまたま目についたものをあげているということをご承知おきください。ここに写っていないものにも力作がたくさんあります。
冒頭画像は会場風景です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/83/30cf5b59bcd9e02841e71ce51ac726b9.jpg)
左は中村照子さんの陶板「無所有」。
道内女性陶芸家の草分けである中村照子さんは今年で89歳になりますが、庭の草花を見つめるまなざしの若々しいことには驚かされます。
中村照子さんは、シマエナガをあしらったかわいらしい香合なども出品しています。
右は東京在住の顧問、小山耕一さんの金彩の皿。
明るいピンク色など新たな釉薬の研究開発で成果をあげている小山さんらしい一作です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/f7/a7384fa1b0e2c17547c5276bb22cba84.jpg)
旅行好きで世界を飛び回っている田嶋さん。
自由な曲線を表現したオブジェ。
柴田さんは重厚な風合いの2点組み。
舟にも木靴にも見えるフォルムで、花器に用いることもできそう。
齊藤さんは、複雑なすかし模様が美しいです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/61/9cd6c6c7e9af0b36ea07846112ed1829.jpg)
透かしといえば、小山七郎さん「晦冥に煌めく」も堂々の存在感でした。
これだけのすかしを、割れずに焼成するだけでもすごいなあと、素人くさいことを考えてしまいます。
続いては田中豊「平和を愛する人たちへ」。
砲弾を想起させる、塔のようなかたちが10本そびえ立ち、その間に「PEACE」と印字された陶片がおびただしく散らばっています。
ウクライナ情勢に触発されたとおぼしきインスタレーションで、陶芸の展示でこのようなタイプの作品は珍しいです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/9c/481294ea828ec1764249bebbfceadb4e.jpg)
右は、土居万里子「デザイン大皿 ~flow~」。
織部のようでいて明るめの緑がリズム感を生んでいます。
土居さんのような若手が在籍しているのは、頼もしいです。
左は伊丹裕子「FLOW」。
偶然、おなじような題の作が並びました。
流れるような文様が魅力的です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/05/9bd10e58cd9503da5031fdbadcf3e2db.jpg)
中村会長の、北国の雪景色を思わせる涼やかなデザインに、ますますみがきがかかっています。
奥に見える2点組みは森収吾「無題」。
森さんは小品コーナーに、建物をかたどった個性的なオブジェや、耳や足の形をしたペーパーウェイトを出品していて、異彩を放っています。
さらに高井秀樹「白磁内黒花器」。
流線型の美しい白い器の内側は真っ黒という、対照性がユニーク。
三角形の器を手がけていた高井さんはこの数年、磁器を制作しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/c7/2add4e9377a87ce225c8d07c8e2eaf5a.jpg)
焼き締めの作品で、灰かぶりの景色は穴窯ならではの魅力です。
右は西村文子「花まとう・花咲く」。
西村さんは、花のオブジェ3個と、オブジェを貼り付けた平面作品との組み合わせ。
壁掛け平面は、小甲楠緒子さんも「crossing 9」を出品していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/ef/52de160a044da1ce06d9e1adfb03d66f.jpg)
花入れ、マグカップ、片口、ぐい呑み、ワイングラス、そばちょこ、皿、カップ…ぐらいは、どの陶芸展にもありそうですが、なにせ人数も点数も多いので、蚊取り線香入れ、水盤、ジョッキ、ピッチャーといったものも並んでいます。
阿妻一直さんの「冷麺鉢セット」は、盛岡冷麺というより、そうめんや冷麦を載せる穴あきの台皿と、そばちょこふうの器2点のセット。澄んだ青が涼しげです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/79/0b3cffe185db1324dccb3ac97102131f.jpg)
このほかのメイン会場の出品作は次のとおり。
もし誤字などがあれば、すみませんがご指摘ください。
多田昌代「あなたはわたしの希望」
前野右子「花生け―光と蔭―」
福盛田眞智子「蒼い山並み」
錦織宏「WORM」
種谷賢「菱形格子紋花器」
張浦華「夏の花入れ」
三津和広「色々な植木鉢」
阿妻一直「コスモス『宇宙観』」
石川雅昭「焼き締め南蛮銀淡文扁壺」
白戸孝行「糠灰釉花瓶」
三橋エリ「スリップウェア四方壺」
上田隆之「灰釉鉢」
塩入稔「ルリ釉組鉢」
山田祥子「茜彩どら鉢」
藤田明子「心の宙」
八谷弘美「織部花入」
山下洋子「花詰め花入れ―3」
原田昭「軟石の華」「軟石の華(緑)」
愛澤光司「多耳花立て」
2022年7月26日(火)~31日(日)午前10時~午後6時(最終日~5時)
ギャラリー大通美術館 (札幌市中央区大通西5 大五ビル)
□公式サイト https://hokkaido-pottery-society.jimdofree.com/
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【告知】北海道陶芸会展 -絆- (2011)
■北海道陶芸会40周年記念展(2008年)
■2006年の展覧会「環」 (画像なし)
■35周年展(03年)
■2002年の展覧会