こちらも会期終了まぎわのエントリになってしまいもうしわけありません。最終日、見に行ける方はぜひ。非常にバラエティに富んだ写真展です。
出品したのは、阿部重宣、石川ひと、黒澤久美子、黒澤真一郎、黒澤麗、友岡幸代、林玲二、廣島経明、山岸せいじの9氏。
筆者が行ったのは週末で、ごらんのとおり、訪れる人がひきもきらない状態。喫茶店のほうも盛況でした。
石川ひとさんは、2004年1月の「Sスクール写真展」以来、ひさしぶりの発表です。
なにげない光景をとらえた「オトの無い何かを感じることの連作」が3点。
多重露光の技法を用いた「傘さすことを覚えた夢遊病者」が3点です。
いずれもモノクロ銀塩で、作風もそれほど変わっていないように感じました。
筆者は、前者のうち、カーテンが風に揺れているのをとらえた1枚が好みです。
阿部さんの写真ははじめて見ましたが、組写真が3組で、いずれもドキュメンタリフォトとでもいうのでしょうか、身の回りをルポルタージュした多くの写真と説明文からなっています。
知的ハンディキャップがあって木工に従事している男性を追った「盤渓の糸鋸職人」が17枚。
昼は魚屋、夜は居酒屋というユニークな店とその主人の表情を写した「魚源日記」が40枚。
床屋さんが題材の「シマ理容院のばあちゃんは88歳」が14枚。
どれもデジタルのカラーです。
最後の「シマ…」は、おばあちゃんは亡くなってしまうし、店も閉店してしまい、余韻をのこす作品になっています。
ほんとに、みんなどこへ行っちゃったんでしょうか。
山岸さんは「福日和」と題したデジタルカラー150枚。
最近の「BOOKS ART展」「FIX MIX MAX ANNEX!」につづき、身近な光景をとらえたおびただしいショットです。(それらの画像と一部重複もしています)
その2回の展覧会と同様に、すべて正方形にトリミングしています。
「長方形だと安定した感じになってしまう。どちらかへ動いていくような感じを出したかった」
と山岸さん。こういう展示にあって、たてと横が混在するのを嫌ったという理由もあるようです。
近ごろこの手の展示が続いているのは、じつは、パソコンのハードディスクが壊れて、展覧会で使おうと思っていたデータが吹っ飛んでしまったのが原因だそうです。
そこで、なんとか間に合わせようと、コンパクトデジタルカメラをつねに持ち歩き、「いいなあ」と思った風景などをかたっぱしから撮っていったということです。
「こうしてならべると、自分が、どういうのがすきか、あらためてわかりますね。あんまり写真を撮っているという意識はなくて、まばたきするような、あるいは、呼吸するような感じでした」
と話していました。
それにしても、ほんとうに、見ていて心がほっとする写真群です。
写っているのは、並木だったりシャボン玉だったり、まったく何気ないものばかりなんですが。
林さんは、即興性と完成度の高さとを兼ね備えたようなドローイングのシリーズで知られていますが、写真を撮っていたというのは初めて知ったという人が多いようです。
今回は、廃品置き場で撮ったリバーサルフィルムを2、3枚重ねて焼くことで、ふしぎな空間を現出させています。
廣島さんは、あえてデジタルを使わずに、カラフルな抽象画のような幻想的な作品「光の彫刻」シリーズを作り出しています。
出品作約40点にすべて「星に願いを」「ゆらゆら」「光の滝」といった題がついており、美しいイメージが展開しています。
いちばん良い意味で意外だったのは、友岡さんではないでしょうか。
壁に展示してある写真も良かったですが、黒いファイルに収められたモノクロは、焼きも見事で、緊張感に満ちた光景をとらえていました。
写真に、真摯にむきあう姿勢が、つたわってきました。
11月11日(土)-30日(木)10:00-18:00(最終日-15:00)、火曜休み、
茶廊法邑(東区本町1の1-8-27)
■Sスクール写真展
□フォトエッセイコンペティション
出品したのは、阿部重宣、石川ひと、黒澤久美子、黒澤真一郎、黒澤麗、友岡幸代、林玲二、廣島経明、山岸せいじの9氏。
筆者が行ったのは週末で、ごらんのとおり、訪れる人がひきもきらない状態。喫茶店のほうも盛況でした。
石川ひとさんは、2004年1月の「Sスクール写真展」以来、ひさしぶりの発表です。
なにげない光景をとらえた「オトの無い何かを感じることの連作」が3点。
多重露光の技法を用いた「傘さすことを覚えた夢遊病者」が3点です。
いずれもモノクロ銀塩で、作風もそれほど変わっていないように感じました。
筆者は、前者のうち、カーテンが風に揺れているのをとらえた1枚が好みです。
阿部さんの写真ははじめて見ましたが、組写真が3組で、いずれもドキュメンタリフォトとでもいうのでしょうか、身の回りをルポルタージュした多くの写真と説明文からなっています。
知的ハンディキャップがあって木工に従事している男性を追った「盤渓の糸鋸職人」が17枚。
昼は魚屋、夜は居酒屋というユニークな店とその主人の表情を写した「魚源日記」が40枚。
床屋さんが題材の「シマ理容院のばあちゃんは88歳」が14枚。
どれもデジタルのカラーです。
最後の「シマ…」は、おばあちゃんは亡くなってしまうし、店も閉店してしまい、余韻をのこす作品になっています。
ほんとに、みんなどこへ行っちゃったんでしょうか。
山岸さんは「福日和」と題したデジタルカラー150枚。
最近の「BOOKS ART展」「FIX MIX MAX ANNEX!」につづき、身近な光景をとらえたおびただしいショットです。(それらの画像と一部重複もしています)
その2回の展覧会と同様に、すべて正方形にトリミングしています。
「長方形だと安定した感じになってしまう。どちらかへ動いていくような感じを出したかった」
と山岸さん。こういう展示にあって、たてと横が混在するのを嫌ったという理由もあるようです。
近ごろこの手の展示が続いているのは、じつは、パソコンのハードディスクが壊れて、展覧会で使おうと思っていたデータが吹っ飛んでしまったのが原因だそうです。
そこで、なんとか間に合わせようと、コンパクトデジタルカメラをつねに持ち歩き、「いいなあ」と思った風景などをかたっぱしから撮っていったということです。
「こうしてならべると、自分が、どういうのがすきか、あらためてわかりますね。あんまり写真を撮っているという意識はなくて、まばたきするような、あるいは、呼吸するような感じでした」
と話していました。
それにしても、ほんとうに、見ていて心がほっとする写真群です。
写っているのは、並木だったりシャボン玉だったり、まったく何気ないものばかりなんですが。
林さんは、即興性と完成度の高さとを兼ね備えたようなドローイングのシリーズで知られていますが、写真を撮っていたというのは初めて知ったという人が多いようです。
今回は、廃品置き場で撮ったリバーサルフィルムを2、3枚重ねて焼くことで、ふしぎな空間を現出させています。
廣島さんは、あえてデジタルを使わずに、カラフルな抽象画のような幻想的な作品「光の彫刻」シリーズを作り出しています。
出品作約40点にすべて「星に願いを」「ゆらゆら」「光の滝」といった題がついており、美しいイメージが展開しています。
いちばん良い意味で意外だったのは、友岡さんではないでしょうか。
壁に展示してある写真も良かったですが、黒いファイルに収められたモノクロは、焼きも見事で、緊張感に満ちた光景をとらえていました。
写真に、真摯にむきあう姿勢が、つたわってきました。
11月11日(土)-30日(木)10:00-18:00(最終日-15:00)、火曜休み、
茶廊法邑(東区本町1の1-8-27)
■Sスクール写真展
□フォトエッセイコンペティション
なるほど、暗室作業はプロ中のプロの手になるものなのですね。
堂々とした作品だったと思います。