福島靖代さんは札幌在住の新道展会員。「靖代」はのぶよ、とよみます。
本格的な個展はじつに8年ぶりのこと。ただ、それほど久しぶりという印象はありません。
この間、「カフェ展」と称して小さな個展を3度ほど開いていたり、新道展のほか、全国でも老舗の団体公募展である春陽会にも出品を始めていたり(現在は会友)、さらに女性画家グループ「8・6の会」にも出品していたため、あちこちで拝見していたからでしょう。
ただ、札幌時計台ギャラリーが昨年末限りで閉鎖したのにともない「8・6の会」が終了した上、毎年同ギャラリーで開かれてきた春陽会道支部展も今年はあたらしい会場が見つからず開かれないとのこと。それですこし時間ができたため
「今しかない、と思いまして」
と、個展の開催にこぎ着けた理由について、福島さんは話していました。
今回は、新作のほか、1995~2008年の作品にあらたに手を入れた絵も5点ほど出しています。
24展のうち旧作1点だけが青を基調にしていますが、残りはすべて福島さんのトレードマークともいえる輝かしい赤が主調色となっています。
まばゆいばかりの色合いですが、けばけばしくないのは、何度も筆を重ねては削り取るという作業を繰り返しているためでしょう。
この丁寧なマチエール(画肌)の表現は、新道展の主力作家の多くに共通します。
冒頭画像の左は新作「記憶の風化」(F50)。
タウシュベツ橋梁を思わせる、朽ちかけた古い橋をモチーフに、紙飛行機やキツネ、カラスなどを巧みに配しています。
2枚目の画像、手前は「賑やかな季節」(F50。1998~2017)。
祈りが込められているような近年の作品と異なり、どこかユーモラスを漂わせています。
F100号の大作「鳩は飛ばない」(2016)。
題名は、平和の実現しない世界を表しています。
絵の中には、ハトではなく、カラスの羽根が描かれているのです。
画面上方は、壊れかけた卵のような球体が占めています。これは「灯」などにも描かれているモチーフで、環境破壊の進む地球の暗喩になっています。
下の方の切り株も、地面に穴があいていて、いまにも奈落の底に落ちそうな不安定さです。
その上に載っているリンゴは、智慧や生命の象徴ともとらえられるでしょう。
「少しは何とかならないか」
という福島さんの現状への思いがこめられている作品です。情熱的な背景の赤が、生きているといえるでしょう。
出品作は次の通り。
RINNGO F20
私は知っている F50(2007)
鳥の夢 F20(1995~2017)
黒い蝶が飛んだ日 F130(2015)
三個の球体 F20(2005~17)
夜の食卓 F6(2007)
夜の指定席 F10(2008~17)
赤い月の夜は F4
賑やかな季節 F50(1998~2017)
リズム F4
遊 F4(2004~17)
灯 SM
魚の時間 SM
赤い帽子 F4
灯 F100
ミゼレーレII F20
黄昏の刻 F20
記憶の風化 F50
鳩は飛ばない F100
ミゼレーレI F20(2015)
戒め F4(2015)
雪降る頃 F4
華 F0
※記載のないのは2017年
2017年10月3日(火)~8日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)
参考
□北海道を彩るアーティスト http://saruuni.blog96.fc2.com/blog-entry-629.html
関連記事へのリンク
■8・6の会展 (2016)
■8・6の会展 (2015、画像なし)
■百花繚乱 女流展 (2014)=画像なし
■春陽会道作家展 (2013)=画像なし
■福島靖代カフェ展 (2009)
■福島靖代展(2008年6月)
■福島靖代個展(2004年)
■8.6の会展(2003年)
本格的な個展はじつに8年ぶりのこと。ただ、それほど久しぶりという印象はありません。
この間、「カフェ展」と称して小さな個展を3度ほど開いていたり、新道展のほか、全国でも老舗の団体公募展である春陽会にも出品を始めていたり(現在は会友)、さらに女性画家グループ「8・6の会」にも出品していたため、あちこちで拝見していたからでしょう。
ただ、札幌時計台ギャラリーが昨年末限りで閉鎖したのにともない「8・6の会」が終了した上、毎年同ギャラリーで開かれてきた春陽会道支部展も今年はあたらしい会場が見つからず開かれないとのこと。それですこし時間ができたため
「今しかない、と思いまして」
と、個展の開催にこぎ着けた理由について、福島さんは話していました。
今回は、新作のほか、1995~2008年の作品にあらたに手を入れた絵も5点ほど出しています。
24展のうち旧作1点だけが青を基調にしていますが、残りはすべて福島さんのトレードマークともいえる輝かしい赤が主調色となっています。
まばゆいばかりの色合いですが、けばけばしくないのは、何度も筆を重ねては削り取るという作業を繰り返しているためでしょう。
この丁寧なマチエール(画肌)の表現は、新道展の主力作家の多くに共通します。
冒頭画像の左は新作「記憶の風化」(F50)。
タウシュベツ橋梁を思わせる、朽ちかけた古い橋をモチーフに、紙飛行機やキツネ、カラスなどを巧みに配しています。
2枚目の画像、手前は「賑やかな季節」(F50。1998~2017)。
祈りが込められているような近年の作品と異なり、どこかユーモラスを漂わせています。
F100号の大作「鳩は飛ばない」(2016)。
題名は、平和の実現しない世界を表しています。
絵の中には、ハトではなく、カラスの羽根が描かれているのです。
画面上方は、壊れかけた卵のような球体が占めています。これは「灯」などにも描かれているモチーフで、環境破壊の進む地球の暗喩になっています。
下の方の切り株も、地面に穴があいていて、いまにも奈落の底に落ちそうな不安定さです。
その上に載っているリンゴは、智慧や生命の象徴ともとらえられるでしょう。
「少しは何とかならないか」
という福島さんの現状への思いがこめられている作品です。情熱的な背景の赤が、生きているといえるでしょう。
出品作は次の通り。
RINNGO F20
私は知っている F50(2007)
鳥の夢 F20(1995~2017)
黒い蝶が飛んだ日 F130(2015)
三個の球体 F20(2005~17)
夜の食卓 F6(2007)
夜の指定席 F10(2008~17)
赤い月の夜は F4
賑やかな季節 F50(1998~2017)
リズム F4
遊 F4(2004~17)
灯 SM
魚の時間 SM
赤い帽子 F4
灯 F100
ミゼレーレII F20
黄昏の刻 F20
記憶の風化 F50
鳩は飛ばない F100
ミゼレーレI F20(2015)
戒め F4(2015)
雪降る頃 F4
華 F0
※記載のないのは2017年
2017年10月3日(火)~8日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)
参考
□北海道を彩るアーティスト http://saruuni.blog96.fc2.com/blog-entry-629.html
関連記事へのリンク
■8・6の会展 (2016)
■8・6の会展 (2015、画像なし)
■百花繚乱 女流展 (2014)=画像なし
■春陽会道作家展 (2013)=画像なし
■福島靖代カフェ展 (2009)
■福島靖代展(2008年6月)
■福島靖代個展(2004年)
■8.6の会展(2003年)