石狩管内新篠津村に「混沌窯」を構え、非常に精緻な練上技法の陶芸で知られる尾形香三夫さん(1949年生まれ)は、毎秋に個展を開いておられます。
色の異なる粘土を組み合わせて模様を作ります。
「単色の陶芸ならちょっと形が崩れても大丈夫ですが、これはそうはいかない。練上は制約の多い技法で、そこが難しいんです」
と尾形さんは話しますが、それがチャレンジのしがいでもあるのでしょう。
毎年のようにあらたなチャレンジをしている尾形さんに対して、筆者のほうは十年一日の書きっぷりでお恥ずかしいですが、その細かさには脱帽です。角度を変えながら見ていると、模様のもつ「うねり」と、造形そのものが有する「うねり」とがあいまって、代表作の題「眩暈」のとおり、めまいを起こしてきそうな感じがします。一種、オプアートにも通じるといえそうです。
尾形さんはニューヨークのギャラリーでもよく発表していて、今春は、魯山人や八木一夫、鯉江良二さんら名だたる陶芸家の作品と一緒に展示されたそうです。
今回は
「陶芸展は壁があくので」
という事情もあり、石狩市厚田にアトリエのあの金渕浩之さんの「月」などパステル画3点を展示しました。
金渕さんは、パステルとは思えないスーパーリアルな画風で、北海道の何気ない風景などを描いています。茶廊法邑や岩見沢市絵画ホールでは絵画展を開いていますが、札幌の都心部では初の発表とのことです。
手前は「練上縞壺 “淵”」。
肩から上部にかけて、粘土が内側にカーブしていますが、いったいどうやって整形しているのか…。焼成して変形したりしないのか。うむむ。
そのとなりの2点は花入の「月に降りる」。
宇宙船のアポロのような形です。底を平らにして自立していますが、伝統と未来が合体したようなシャープで不思議な造形です。
これも、壺自体の凹凸と、練り上げの模様の角度をずらしてあるので、見る角度によって微妙に変わってきます。
なお、尾形さんの「練上鎬壷“淵”」が、第1回日本陶磁協会 現代陶芸奨励賞 北海道展」で奨励賞を受賞し、10月15日(土)~11月13日(日)、札幌芸術の森工芸館で展示されています。
尾形さんはこれまで新篠津と岩見沢を往復して制作していましたが、近く新篠津を引き払い、岩見沢に拠点を移すそうです。
2016年10月18日~23日(日)午前10:30~6:30(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)
□スーパー練上・尾形香三夫 http://w01.tp1.jp/~sr10827001/index.html
□MIYUKI&KAMIOのブログ http://ameblo.jp/neriageworld/
■尾形香三夫陶芸展(2014)
■尾形香三夫作陶展 (2013年10月29日~11月3日、札幌)と、9mm parabellum bullet
【告知】尾形香三夫陶芸展 (2011)
■尾形香三夫陶芸展 (2009年)
■尾形香三夫陶芸展(2008年)
■尾形香三夫陶芸展(2007年)
■06年の個展
■03年の個展(画像なし)
■02年の個展