(承前)
チームラボの作品に大いに満足して、チケット(2500円)のもとは取れたと考えた筆者は、次に、おなじ北茨城市内で、五浦の天心記念美術館よりも山側にある「旧富士ケ丘小学校」に向かった。
会場は、ことし春に閉校になったばかりの小学校。
あたりはそれほどの僻地という感じではなく、小都市近郊の農村地帯といった趣だが、こういう地区でも小学校がなくなってしまうんだなあ。
県道に沿った場所にあるので、わかりやすいが、気がついたときには通り過ぎていた。
これが北海道なら、その場でひょいとUターンすれば済むのだが、本州は道路が狭い。
県道でのUターンが無理っぽいと思ってわき道に入ると、ますますUターンが難しい狭小道路になってしまう。
閉校になった学校が会場になっている場合、校舎裏手のグラウンドが駐車場になっていることが多いのだが、ここは正面から乗り付けるのが正解のようだ(ただし、土日などは、裏手も駐車場になっているのかもしれない)。
正門から車を入れるまで、しばし時間がかかってしまった。
ここでの出品作家でもっとも有名なのは、おそらく日比野克彦さん。
彼のことをいまだに「段ボールのアーティスト」と認識している人が多いようだが、それは1980年代の話であって、プロジェクト型アートにシフトしてからのほうがはるかに長い。
ここでは、1999年から茨城県で継続してきたプロジェクト「HIBINO HOSPITAL(日比野美術研究室付属病院放送部)」の芸術祭版ということで、これまでのワークショップなどの活動をまとめて提示していた。
パネルではなく、布にプリントしたものをつるしており、100枚ほどありそう。とても全部は読めない。
こういうワークショップって、近年すごく増えているような感覚があるけれど、参加する人の人生をどれほど変えているのだろうか、などということを、ぼんやりと考える。
会場の一角に、札幌のグランビスタギャラリーで開催中の、日比野さんの個展のフライヤーがあったので、パチリ。
振り返りとは別に、教室の窓から見える景色を、色紙の紙片を貼って表現してみよう―という部屋があり、筆者も緑色の紙を1枚貼ってきた(無難な選択。笑)。
筆者はこのとき、教室の窓から青空や山、緑が見えるということについて、なんとも思わなかったが、もしかしたら世の中には、高層住宅やビルディングが見えるという人が存外多いのかな。そういう人にとっては、新鮮なのかもしれない。
体育館には、冒頭画像の、林剛人丸さんの「今ここにある宙」。
真ん中には、青空を内側から投影した飛行船の模型がおかれていた。
これは本来、浮かんでいるのが正しい姿らしい。たしかに、そのほうが美しいような気はする。
暗い空間にまるい空が浮かぶ。
それだけで、いろいろなことを思い起こさせる。
はじめてなのに、なつかしさがある。
□県北芸術祭のサイト https://kenpoku-art.jp/artworks/c08/
暗くてよく見えないのだが、壁には、空の写真が貼ってあるようだ。
しかも、どうも朝日新聞の上に貼り付けてあるみたい。
You Tube に、越後妻有に出品した際とおぼしき映像があったので、参考までに。
GO FLIGHT AIRSHIP 林剛人丸
林さんは1968年北海道生まれ、茨城県在住とある。
しかし、筆者はこれまでまったく知らなかった。
ここでは、林さんの作品に限らず、少し古い小学校の校舎が、郷愁を感じさせ人の「記憶」を呼び起こす装置として働いていることがみてとれる。
そのこと自体が悪いとは思わないけど、ただ、もう何度も見てるなあ~という印象は否めず。
今後、廃校跡をアートに活用する試みは増える一方のはずで、そのことだけを売りにしても、もう何の得点にもならないだろうな。
ところで、校舎から体育館には渡り廊下を通っていくんだけど、道民にはこれが新鮮だった!
屋根があって壁が半分ほど無いタイプの渡り廊下。
テレビや映画、アニメでは見るけれど、北海道の学校には(たぶん)存在しない。
こんなのがあっても、雪と寒さで3学期はまったく使えないからね。
□日比野克彦公式サイト http://www.hibino.cc/
関連記事へのリンク
■越後妻有・莇平の日比野克彦作品 (2006)
チームラボの作品に大いに満足して、チケット(2500円)のもとは取れたと考えた筆者は、次に、おなじ北茨城市内で、五浦の天心記念美術館よりも山側にある「旧富士ケ丘小学校」に向かった。
会場は、ことし春に閉校になったばかりの小学校。
あたりはそれほどの僻地という感じではなく、小都市近郊の農村地帯といった趣だが、こういう地区でも小学校がなくなってしまうんだなあ。
県道に沿った場所にあるので、わかりやすいが、気がついたときには通り過ぎていた。
これが北海道なら、その場でひょいとUターンすれば済むのだが、本州は道路が狭い。
県道でのUターンが無理っぽいと思ってわき道に入ると、ますますUターンが難しい狭小道路になってしまう。
閉校になった学校が会場になっている場合、校舎裏手のグラウンドが駐車場になっていることが多いのだが、ここは正面から乗り付けるのが正解のようだ(ただし、土日などは、裏手も駐車場になっているのかもしれない)。
正門から車を入れるまで、しばし時間がかかってしまった。
ここでの出品作家でもっとも有名なのは、おそらく日比野克彦さん。
彼のことをいまだに「段ボールのアーティスト」と認識している人が多いようだが、それは1980年代の話であって、プロジェクト型アートにシフトしてからのほうがはるかに長い。
ここでは、1999年から茨城県で継続してきたプロジェクト「HIBINO HOSPITAL(日比野美術研究室付属病院放送部)」の芸術祭版ということで、これまでのワークショップなどの活動をまとめて提示していた。
パネルではなく、布にプリントしたものをつるしており、100枚ほどありそう。とても全部は読めない。
こういうワークショップって、近年すごく増えているような感覚があるけれど、参加する人の人生をどれほど変えているのだろうか、などということを、ぼんやりと考える。
会場の一角に、札幌のグランビスタギャラリーで開催中の、日比野さんの個展のフライヤーがあったので、パチリ。
振り返りとは別に、教室の窓から見える景色を、色紙の紙片を貼って表現してみよう―という部屋があり、筆者も緑色の紙を1枚貼ってきた(無難な選択。笑)。
筆者はこのとき、教室の窓から青空や山、緑が見えるということについて、なんとも思わなかったが、もしかしたら世の中には、高層住宅やビルディングが見えるという人が存外多いのかな。そういう人にとっては、新鮮なのかもしれない。
体育館には、冒頭画像の、林剛人丸さんの「今ここにある宙」。
真ん中には、青空を内側から投影した飛行船の模型がおかれていた。
これは本来、浮かんでいるのが正しい姿らしい。たしかに、そのほうが美しいような気はする。
暗い空間にまるい空が浮かぶ。
それだけで、いろいろなことを思い起こさせる。
はじめてなのに、なつかしさがある。
□県北芸術祭のサイト https://kenpoku-art.jp/artworks/c08/
暗くてよく見えないのだが、壁には、空の写真が貼ってあるようだ。
しかも、どうも朝日新聞の上に貼り付けてあるみたい。
You Tube に、越後妻有に出品した際とおぼしき映像があったので、参考までに。
林さんは1968年北海道生まれ、茨城県在住とある。
しかし、筆者はこれまでまったく知らなかった。
ここでは、林さんの作品に限らず、少し古い小学校の校舎が、郷愁を感じさせ人の「記憶」を呼び起こす装置として働いていることがみてとれる。
そのこと自体が悪いとは思わないけど、ただ、もう何度も見てるなあ~という印象は否めず。
今後、廃校跡をアートに活用する試みは増える一方のはずで、そのことだけを売りにしても、もう何の得点にもならないだろうな。
ところで、校舎から体育館には渡り廊下を通っていくんだけど、道民にはこれが新鮮だった!
屋根があって壁が半分ほど無いタイプの渡り廊下。
テレビや映画、アニメでは見るけれど、北海道の学校には(たぶん)存在しない。
こんなのがあっても、雪と寒さで3学期はまったく使えないからね。
□日比野克彦公式サイト http://www.hibino.cc/
関連記事へのリンク
■越後妻有・莇平の日比野克彦作品 (2006)
(この項続く)