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■第40回高書研展 (2015年1月8~11日、札幌)

2015年01月14日 23時59分59秒 | 展覧会の紹介-書
 道内の高校で書道を教える先生とそのOBによる、毎年新年恒例の展覧会。
 札幌市資料館のミニギャラリー全室を使い、ことしは79人が出品している。
 道展や毎日展は、点数がものすごく、じっくり見るとなかなかくたびれるので、普通に鑑賞する分にはこれぐらいがちょうどいい。もちろん、作品の水準も高い。

 全般的な傾向を言えば、漢字と近代詩文が多く、かなは数人しかいない。
 また、美術にくらべれば、書道教員は多いのではないかという気がする。美術は用具をそろえるのにいくらか費用がかかることもあって、各高校の生徒数が減少する中で、選択科目から外されているのかもしれない。

 いちばん驚いたのは、小原道城さんが出品されていることである。
 いまや札幌の都心に自らの名を冠した書道コレクションの展示会場を有する道内書壇の大御所だが、元は札幌啓北商で教えていたのか。
 出品作は水墨画。狩野派のような、山水である。

 本間孤峰「蔵暉」。淡墨によるやわらかい線質がすてき。
 須田硬充「五風十雨」。スリムな「風」、絵文字のような「雨」。ユニークな形。

 今田朋美さんは、後藤正文の詩とあるから、ロックバンド、アジアンカンフージェネレーション(略してアジカン)の歌詞だろうか。小さい作品だが、文字はエナメルを混ぜたように黒々と光り、ぎらぎらとした存在感がある。

 太田幽琳「望羊」。中央に大きな印が押してある。それは「望羊」とは読めないので、篆刻の作品というわけでもないらしい。珍しい構成の作品。

 小西広恵さんの作は字釈に「善風に逢う」とあったが、「逢善風」と3文字による大文字書。とてもバランスが良い。「善」の上2画で、しっかりと小休止し、「風」のさわやかな線と潤渇の調子が印象的だ。

 諸橋めぐみさんは、リルケの詩より。「私は生命を夢みる」とある。字にごく薄い影があるようで、ふしぎな立体感のある小品だ。


2015年1月8日(木)~11日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市資料館(中央区大通西13)

第35回高書研(北海道高等学校書道教育研究会・展覧会)展 (2010)
第32回高書研展 (2007)

参考:毎日新聞北海道版の記事 http://mainichi.jp/feature/news/20150110ddlk01040156000c.html


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