油彩の藤山由香さん、版画の阿部有未さん、紙粘土の立体などの樋口尚美さん、金属の立体の牧野秀昭さんによる初の4人展。
いずれも30歳前後(?)の若手で、団体公募展には属していません。
以前からお互いに知り合いだったのではなく、藤山さんが声を掛けて実現したのだそうです。
このうち藤山さんと牧野さんはギャラリーミヤシタで個展などを重ねています。阿部さんはつい先ごろ、札幌時計台ギャラリーで2人展をひらいたほか、グループ展にも積極的に出品しています。
樋口さんは、会場の略歴をみると、札幌厚別高の美術コースから武蔵野美術短大の通信制へ進学。これまで2004年の札幌厚別高校OB展が唯一の発表歴のようです。
その樋口さんは、粘土で作った、きのこ型の色とりどりな小さな部品を組み合わせた物体を床にならべてインスタレーション「わたしをかたちづくるもの」を展開していました。
さらに、ペン画とペインティングの数点ずつを展示していました。いずれも小さな作品です。
筆者は、ペインティングの「深い森」に引きこまれました。金箔のような、きらきらと光る画材を混ぜているようですが、それが嫌味にならず、かえってひそやかな感じを高めていると感じられました。
牧野さんは芦別在住。先だって「ミヤシタ」で個展をひらいたばかりです。
金属の長短の棒を組み合わせた作品は、どこかユーモラスです。40代以上の人には、横棒の多かった昔の電信柱を想起させることでしょう。
薄く細い部材で、量感や空間の感覚を表現する-というのは、けっして易しいことではありません。この会場で見て、前回のミヤシタでの個展ではわからなかった、牧野さんの彫刻作品の、チャレンジングな要素にはたと気づきました。
阿部さんは、先日の2人展と作品が一部重複しています。人体をもとにして、自由に表現したものが多いとお見受けしました。
藤山さんも、寒色系をメーンにした抽象のペインティング。凹凸のある不安定なマティエールです。
このコンチネンタルギャラリーには、中央に隠し小部屋のようなスペースがあり、そこにも作品が展示されていました。
入り口にあった、貝殻を白く塗ってコラージュした小品は、藤山さんの手になるものだそうです。
あえて4人の共通点をさがすとすれば、作品が小さいことでしょうか。団体公募展で100号を出品する必要がないことも背景にあるでしょう。
小品といっても、「売り絵」というのとはもちろんちがいます。団体公募展の作品がどんどん大きくなっていったのが高度成長期と重なっていることを思うと、近年の若手の作品が「ささやか」で「つつましやか」であることが多いのは、どこかで現代日本社会を反映しているような気もします。
出品作は次の通り。
藤山由香
「UNTITLED」(同題8点)
阿部有未
「W-abouts」
「ventana」
「evening Sw...」
「m-s-t」
「spring」
「p-r」
「depth」
「sou-」
「leap-」
「14」
樋口尚美
「わたしをかたちづくるもの」
「月がみている」
「やさしく照らす」
「雪あかり」
「ROSE」
「緑のカーテン」
「AQUA」
「深い森」
「37-0422」
「37-0409」
「38-1019」
「38-1014」
「38-1010」
2008年11月4日(火)-9日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11 コンチネンタルビル地下)
■藤山由香絵画展「風の音」(2007年)
■藤山由佳個展 Unlimited(同)
■阿部有未・武田輝子版画展(08年10月)
■牧野秀昭・間笑美2人展(02年、画像なし)
いずれも30歳前後(?)の若手で、団体公募展には属していません。
以前からお互いに知り合いだったのではなく、藤山さんが声を掛けて実現したのだそうです。
このうち藤山さんと牧野さんはギャラリーミヤシタで個展などを重ねています。阿部さんはつい先ごろ、札幌時計台ギャラリーで2人展をひらいたほか、グループ展にも積極的に出品しています。
樋口さんは、会場の略歴をみると、札幌厚別高の美術コースから武蔵野美術短大の通信制へ進学。これまで2004年の札幌厚別高校OB展が唯一の発表歴のようです。
その樋口さんは、粘土で作った、きのこ型の色とりどりな小さな部品を組み合わせた物体を床にならべてインスタレーション「わたしをかたちづくるもの」を展開していました。
さらに、ペン画とペインティングの数点ずつを展示していました。いずれも小さな作品です。
筆者は、ペインティングの「深い森」に引きこまれました。金箔のような、きらきらと光る画材を混ぜているようですが、それが嫌味にならず、かえってひそやかな感じを高めていると感じられました。
牧野さんは芦別在住。先だって「ミヤシタ」で個展をひらいたばかりです。
金属の長短の棒を組み合わせた作品は、どこかユーモラスです。40代以上の人には、横棒の多かった昔の電信柱を想起させることでしょう。
薄く細い部材で、量感や空間の感覚を表現する-というのは、けっして易しいことではありません。この会場で見て、前回のミヤシタでの個展ではわからなかった、牧野さんの彫刻作品の、チャレンジングな要素にはたと気づきました。
阿部さんは、先日の2人展と作品が一部重複しています。人体をもとにして、自由に表現したものが多いとお見受けしました。
藤山さんも、寒色系をメーンにした抽象のペインティング。凹凸のある不安定なマティエールです。
このコンチネンタルギャラリーには、中央に隠し小部屋のようなスペースがあり、そこにも作品が展示されていました。
入り口にあった、貝殻を白く塗ってコラージュした小品は、藤山さんの手になるものだそうです。
あえて4人の共通点をさがすとすれば、作品が小さいことでしょうか。団体公募展で100号を出品する必要がないことも背景にあるでしょう。
小品といっても、「売り絵」というのとはもちろんちがいます。団体公募展の作品がどんどん大きくなっていったのが高度成長期と重なっていることを思うと、近年の若手の作品が「ささやか」で「つつましやか」であることが多いのは、どこかで現代日本社会を反映しているような気もします。
出品作は次の通り。
藤山由香
「UNTITLED」(同題8点)
阿部有未
「W-abouts」
「ventana」
「evening Sw...」
「m-s-t」
「spring」
「p-r」
「depth」
「sou-」
「leap-」
「14」
樋口尚美
「わたしをかたちづくるもの」
「月がみている」
「やさしく照らす」
「雪あかり」
「ROSE」
「緑のカーテン」
「AQUA」
「深い森」
「37-0422」
「37-0409」
「38-1019」
「38-1014」
「38-1010」
2008年11月4日(火)-9日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11 コンチネンタルビル地下)
■藤山由香絵画展「風の音」(2007年)
■藤山由佳個展 Unlimited(同)
■阿部有未・武田輝子版画展(08年10月)
■牧野秀昭・間笑美2人展(02年、画像なし)
ご来場ありがとうございました。
また、作品に関するコメントもいただきうれしいです。
「深い森」のきらきらと光る感じは、ラメ系アクリル絵の具やパール系パステル、キラキラが入った色付きのり(小学生の女の子が喜びそうなシロモノです)を使って表現してみました。
「深い森」はラメを使っていたんですか。
ふつう、キラキラする画材を使うと、なんだか軽薄な感じになると思うのですが、あの作品は逆で、神秘的な深さがありました。
また機会があったらよろしくおねがいします。