この展覧会のシリーズは過去にも見たけれど、これまでの出品作家をかなり入れ替えた今回は、断然見ごたえがアップしたと思う。
札幌市資料館それ自体は、アマチュア画家の展覧会などがよく開かれているおなじみのギャラリーだけど、丸ごと借り切って、ふだんは展示には使われない玄関などにも映像作品などを展開したのが、とりわけ目を引いた。さらに、ライブ演奏や、横須賀令子さんたちの自主映画の発表もプログラムに組まれ(筆者は見る時間がありませんでしたが)、1年を締めくくる意欲的なイベントになっていた。
出品者は、石黒翔、川内優加、国松希根太、黒田晃弘、こんのあきひと、草月SYC、冨田哲司、NUKILLIZO、Barry Ashworth、本間タカフミ、MIN×MINとアトリエムラギャラリー。
(リンクは下の方に)
まず、通常は入り口としての機能しか果たしていない玄関部分に、冨田哲司さんの映像が投影され、国松希根太さんの木の立体が置かれている。
冨田さんは、マイブリッジ(史上初めて馬が走る様子を連続写真に撮影した人物)とモネを組み合わせたもので、人間と自然のかかわりあいに焦点を当てている。
国松さんは、2階ギャラリーでも2室を使って力作を発表していた。先日のギャラリー創での発表作が多いが、初めて見るものもあり、作者の意欲が伝わってくる。
ロビーの西側の空間には、石黒翔さんの映像が投影されている。
ここも、夏場に、裏庭へと続く扉が通じていることがあるぐらいで、通常はあまり使われていない場所。
この壁で、水色の光がもみ合うように動いているのがおもしろい。
最近、ものすごい勢いで写真を素材とした作品の発表を続けているこんのさんは、不織布とスライドを組み合わせた立体を、資料館両翼の階段につりさげた。
この部分は天井が高いので、それをフルに生かしていた。筒状の布が、外界と室内、過去と現在をつなぐトンネルのようだ。
さて、いちばん広い部屋で平面作品を展示していたのが、nukillizoさんと川内優加さん。
nukillizoさんのマーブリングを生かした鮮烈な絵画は、下のリンク先を見てもらうことにして、川内さんの絵に、初めて感じ入るところがあった。
作品自体は、CAI02での「ninin展」のときと同じなのに、受け入れる自分の側で機が熟してきたってことなのかもしれない。
川内さんの「帰路」と題された絵は、何の変哲もない住宅地や電柱などが題材になっている。
それだけなら、写真の世界には、川内倫子(偶然だけどおなじ姓だ)など、いくらでも作品にする人がいるような気がする。(おまえの写真だって、そういうところあるだろうと言われそうだ)
でも、絵画では、意外といないかもしれない。
白い樹脂板が支持体というのも独特だ。ピカピカしていて、個人的な思いのようなウエットな要素が吹っ飛んでしまっている。
「すごく絵の具の乗りがいいんですよ。写真っていうのは、選択肢になかったですね」
もちろん、絵は写真と違う。
こないだ、梅沢みほ展で書いたばかりだけど。
「おなじ風景でも、うれしい気持ちのときだと、違って見えたりもするじゃないですか」
と川内さん。
「その瞬間見てるのと、記憶の中にあってそれを描くのとも、違いますよね」
或る意味で普遍的ななつかしさ。しかし、それは、札幌の1980年代というバックボーンがあるような気がするし…。
風景ってなんだろう。
まだまだ考えたりないな、と思う。
2009年12月22日(火)-27日(日)9:00-7:00(25-27日は-8:00)
札幌市資料館(中央区大通西13)
□nukillizo http://nukillizo.blog95.fc2.com/
□こんのあきひと http://akihitokonno.soragoto.net/
□川内優加 http://www.yukakawauchi.com/
□国松希根太 www.kinetakunimatsu.com/
□黒田晃弘 http://jackuro.web.fc2.com/
□富田哲司のオンラインポートフォリオ http://tetsushitomita.com/
□Barry Ashworth http://www.o2images.com/index.html
■日常にARTを H.I.P-A 紀伊國屋プロジェクト(2008年7月)
■いすのゆめ(2009年11月)
■国松希根太展「HORIZON」(2009年9月)
■5人の彫刻家と現代漆のコラボレーション 彫刻家 つくる 家具 塗る 現代漆 展(2009年5月)
■New Point vol.6(2009年1月、画像なし)
■ART BOX 札幌芸術の森・野外ステージ(2008年)
■はしご展(2008年9、10月)
=以上国松さんが出品
■遠くを聴く この言葉で繋がる7人の世界(2009年11月、石黒さん出品)
■NUKILLIZO個展-酩酊文学少女-(2008年4月)
■夏展07 #4(2007年、川内さん出品)
■さっぽろフォトステージPart2 (2009年12月)
■500m美術館(2008年11月)
=以上こんのさん出品
札幌市資料館それ自体は、アマチュア画家の展覧会などがよく開かれているおなじみのギャラリーだけど、丸ごと借り切って、ふだんは展示には使われない玄関などにも映像作品などを展開したのが、とりわけ目を引いた。さらに、ライブ演奏や、横須賀令子さんたちの自主映画の発表もプログラムに組まれ(筆者は見る時間がありませんでしたが)、1年を締めくくる意欲的なイベントになっていた。
出品者は、石黒翔、川内優加、国松希根太、黒田晃弘、こんのあきひと、草月SYC、冨田哲司、NUKILLIZO、Barry Ashworth、本間タカフミ、MIN×MINとアトリエムラギャラリー。
(リンクは下の方に)
まず、通常は入り口としての機能しか果たしていない玄関部分に、冨田哲司さんの映像が投影され、国松希根太さんの木の立体が置かれている。
冨田さんは、マイブリッジ(史上初めて馬が走る様子を連続写真に撮影した人物)とモネを組み合わせたもので、人間と自然のかかわりあいに焦点を当てている。
国松さんは、2階ギャラリーでも2室を使って力作を発表していた。先日のギャラリー創での発表作が多いが、初めて見るものもあり、作者の意欲が伝わってくる。
ロビーの西側の空間には、石黒翔さんの映像が投影されている。
ここも、夏場に、裏庭へと続く扉が通じていることがあるぐらいで、通常はあまり使われていない場所。
この壁で、水色の光がもみ合うように動いているのがおもしろい。
最近、ものすごい勢いで写真を素材とした作品の発表を続けているこんのさんは、不織布とスライドを組み合わせた立体を、資料館両翼の階段につりさげた。
この部分は天井が高いので、それをフルに生かしていた。筒状の布が、外界と室内、過去と現在をつなぐトンネルのようだ。
さて、いちばん広い部屋で平面作品を展示していたのが、nukillizoさんと川内優加さん。
nukillizoさんのマーブリングを生かした鮮烈な絵画は、下のリンク先を見てもらうことにして、川内さんの絵に、初めて感じ入るところがあった。
作品自体は、CAI02での「ninin展」のときと同じなのに、受け入れる自分の側で機が熟してきたってことなのかもしれない。
川内さんの「帰路」と題された絵は、何の変哲もない住宅地や電柱などが題材になっている。
それだけなら、写真の世界には、川内倫子(偶然だけどおなじ姓だ)など、いくらでも作品にする人がいるような気がする。(おまえの写真だって、そういうところあるだろうと言われそうだ)
でも、絵画では、意外といないかもしれない。
白い樹脂板が支持体というのも独特だ。ピカピカしていて、個人的な思いのようなウエットな要素が吹っ飛んでしまっている。
「すごく絵の具の乗りがいいんですよ。写真っていうのは、選択肢になかったですね」
もちろん、絵は写真と違う。
こないだ、梅沢みほ展で書いたばかりだけど。
「おなじ風景でも、うれしい気持ちのときだと、違って見えたりもするじゃないですか」
と川内さん。
「その瞬間見てるのと、記憶の中にあってそれを描くのとも、違いますよね」
或る意味で普遍的ななつかしさ。しかし、それは、札幌の1980年代というバックボーンがあるような気がするし…。
風景ってなんだろう。
まだまだ考えたりないな、と思う。
2009年12月22日(火)-27日(日)9:00-7:00(25-27日は-8:00)
札幌市資料館(中央区大通西13)
□nukillizo http://nukillizo.blog95.fc2.com/
□こんのあきひと http://akihitokonno.soragoto.net/
□川内優加 http://www.yukakawauchi.com/
□国松希根太 www.kinetakunimatsu.com/
□黒田晃弘 http://jackuro.web.fc2.com/
□富田哲司のオンラインポートフォリオ http://tetsushitomita.com/
□Barry Ashworth http://www.o2images.com/index.html
■日常にARTを H.I.P-A 紀伊國屋プロジェクト(2008年7月)
■いすのゆめ(2009年11月)
■国松希根太展「HORIZON」(2009年9月)
■5人の彫刻家と現代漆のコラボレーション 彫刻家 つくる 家具 塗る 現代漆 展(2009年5月)
■New Point vol.6(2009年1月、画像なし)
■ART BOX 札幌芸術の森・野外ステージ(2008年)
■はしご展(2008年9、10月)
=以上国松さんが出品
■遠くを聴く この言葉で繋がる7人の世界(2009年11月、石黒さん出品)
■NUKILLIZO個展-酩酊文学少女-(2008年4月)
■夏展07 #4(2007年、川内さん出品)
■さっぽろフォトステージPart2 (2009年12月)
■500m美術館(2008年11月)
=以上こんのさん出品
楽しい空間になってました。
法廷の部屋にも生花の作品が
飾られていましたが、あんな
コトもできるんですね。
こんなイベントではなくても
壁や廊下を使えるのかな?
資料館は、おもしろい空間になっていましたね。前例のないことに挑んだのは、すごいなぁと思います。
普段は使わせてくれるのかなあ?