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■森山誠個展 (2016年6月13~18日、札幌)

2016年06月15日 23時45分25秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 森山誠さんの絵が変わった。

 これまでは、どこかユーモアと空虚感をたたえた人物や、室内風景を、モノトーンで描く絵が多かった。

 しかし
「いつまでも人物やテーブルを描いてても仕方ない」
と、半ば抽象的な世界に舵を切った。

 今回の個展には昨年と今年制作した油彩21点を並べている。
 題は「2016-1」など、制作年を冠した素っ気ないものだ。
 昨年の作には、もともと室内を描いた絵にも要素として描かれていた観葉植物から発展したものが多い。
 緑の部分がどんどん増殖していくようなイメージだ。よく見ると、これまで灰色と黒に覆われていた森山さんの絵なのに、赤やベージュなどさまざまな色が隠し味のように置かれている。

 今年に入ってからの作品には、太い線の組み合わせが一見、荒涼とした山岳を描いた風景画のように見える作品もある(冒頭画像の左)。
 また、森山さんには珍しく、彩度の高い水色を配しつつ、キュビスム的にさまざまな面を組み合わせた小品もあり、このベテラン画家が、新しい絵画空間づくりに、さまざまな試行錯誤を重ねてきていることがうかがえる。この探究心には感服するしかない。



 「自分の絵には、神経質な線が多かった。これからは無神経な線を描きたい」
と笑いながら、ラフな画面づくりを目指す森山さんなのであった。
 透視図法による近代的な絵画空間を拒否するところから現代の絵画が出発するのだとしたら、森山さんの絵は、透視図法を排除しつつも、鋭い線を画面に走らせることで独自の空間を構成していたと思う。今回、鋭い線がなくなったことで、著しく平面的な、奥行きのない絵画世界が生まれつつあるが、そこにどんな空間を新たに構築するのか、森山さんの試行に注目したい。

 今後、7月には深川市のアートホール東洲館で個展があり、年末には道立近代美術館で「北の現代具象展」に参加する。この画風では「具象展」に出品するのはさしさわりがあるような気もするが、同展自体、今回が最後である。

 森山さんは1936年(昭和11年)生まれ。札幌在住、自由美術協会会員。


2016年6月13日(月)~18日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)



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