■福岡幸一アンモナイト版画展（遠友学舎3月14日で終了、北大総合博物館4月18日まで）

　石狩にアトリエを建てた版画家の福岡幸一さんは、アンモナイトの研究者でもある。
　以前は、葉を落とした冬の樹木などを題材にしていたが、この数年は、アンモナイトをひたすら写実的に描写している。
　筆者はずっとこれが不思議だった。写真に撮ったり、標本を見れば済むものを、どうして版画にするのだろう、と。

　あるとき気がついた。
　化石というのは、つねに完全な形で出土するとは限らないのだ。
　一部が欠けたり、岩に附着したままだったりする場合も多い。
　しかし、絵であれば、ふたつの個体を合体させて描くのも自由だ。

　これまで、三笠や深川、上川管内中川町、北広島など、各地でアンモナイトの版画を発表してきた。
　今回は、筆者の知るかぎり初めて、福岡さんの版画と、元になった実物の化石を同時にならべている。
　作品は51枚の額に147点。大半は銅版画だが、フロッタージュやリトグラフもある。
　また、アンモナイト以外に、エゾミカサリュウや恐竜のつめなどを描いた作品もならんでいる。
　化石は60点あまり。大半が福岡さんが自ら発掘し所蔵しているものだが、北大総合博物館や三笠市立博物館、中川町エコミュージアムの所蔵品もある。

　また、遠友学舎には、版画37点が展示されていた。
　2004～09年の作である。

　いわゆる渦巻き貝の形をしたものもあれば、線虫みたいな形もあり、ひとくちにアンモナイトといってもさまざま。
　まあ、白亜紀は8000万年以上も続いたのだから、さまざまに種が分かれ、進化していったのも道理だろう。

　ただ、今回、実物と見比べて版画の唯一の弱点だなと思ったのは、版画では大きさが分からないこと。
　展示されている化石は、版画よりも大小の差があった。
　もっとも、三笠の博物館に展示されているような巨大な化石は、今回は並んでいないが。

　なお、版画展は1階だが、3階に行くと、もっと大きなアンモナイトや恐竜の化石もあるので、足を運んでみるのもおもしろい。


アンモナイト銅版画展：2010年2月16日(火)－4月18日(日)10：00－4：00、月曜休み（祝日は開館し翌火曜休み)、2月25日(木）・3月12日(金）休み、北海道大学総合博物館1階「知の統合」コーナー（北区北10西8）




福岡幸一アンモナイト版画展：3月1日(月)－14日(日)9：00am－9：00pm、12日休み、北海道大学遠友学舎（北区北18西6）
　
■福岡幸一版画展(2007年）　●同展のおしらせ
■福岡幸一版画展　～北の樹、果樹～(2003年）
■福岡幸一版画展（2003年）
■福岡幸一版画展（2002年）
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