※再三、途中で切れたり、改行がなかったり、変なスタイルで投稿がなされ、すみませんでした。長文ですが、よろしく。
渡島管内長万部町のゆるキャラ「まんべくん」のツイッターが炎上し、運用を委託された会社による更新が中止されたというニュースは、全国的な話題となった。
ただ、新聞やテレビだけで報道に接していると、とくに過激でもない反戦論をつぶやいたとたんに町役場に抗議が殺到して閉鎖に追い込まれたという筋書きから、戦前の言論弾圧のようななんとなくイヤな感じを抱く人もいるかもしれないが、話はそんなに簡単ではない。
ここでは、その複雑なところについて述べるのが、最終的な目標である。
例によってアートとは関係ないが、まんべくんについて書きたくなったのである。
※目次
1.まんべくん誕生
2.2010年10月16日
3.炎上の深層
4. 町役場を非難できるか
(概要を伝える新聞記事)
1.まんべくん誕生
長万部町が2003年に町のイメージキャラクターを公募したとき、入選したのは「ホタテガニ」であり、「まんべくん」と「アイリスちゃん」は準入選であったことは、わりあいよく知られている。
しかし、これは長万部町の人に聞いた話だが、ツイッターを始める前から、町役場にあったキャラクターの着ぐるみは、まんべくんだけだったという。
なぜか。
上のリンク先を見ればわかる。
ホタテガニは、平面のデザインとしてはすぐれているが、着ぐるみ化することが非常に難しい。
人間が入れて動いたり走ったりできそうなのは、入選・準入選の三つのうち、まんべくんだけだ。
かくて、まんべくんは、長万部に最も多くの人が集まる行事である毎年6月の「毛がにロードレース・イン・おしゃまんべ」の最後の大会(2007年)に初登場した。
だが、その後は活躍の記録があまり残っていないようなのだ。
livedoorニュースの「まんべくんのTwitterが炎上するのは是か非か?」によると、「2010年6月に札幌で行われたYOSAKOIソーランのゆるキャラマルシェ」には登場していたらしい。
ちなみにこの記事は、今回の騒動に至る経緯をわかりやすくまとめたとても良い文章である。
2.2010年10月16日
まんべくんを一躍有名にしたのは、いうまでもなくTwitterである。
上の日付は、まんべくんがTwitterを始めた日だ。
じつは、筆者は、その翌日にまんべくんからフォローされている(すみません、自慢です。それにしてもリンク先にあるやりとりは、ある意味で、今回の事態の予言になっている)。
あと、これはもう時効だろうからばらすけれど、まんべくんのマスコミデビューは、北海道新聞の昨年11月2日夕刊社会面だと思うが、取材するよう現場の記者に依頼したのも筆者である。
この記事の時点では、フォロワーはまだ1300であった。
また、アイコンは全身像だった。
その後、首から上の像となり、さらに現在のような顔のアップ(冒頭画像は無断転載です)に変更となった。
これ以降の活躍については、くどくどと述べるまでもないだろう。
ただ、これは個人的な印象なのだが、以前から「毒舌キャラ」だったわけではないような気がする。もっと、無意味でおかしなキャラという感じだった。「朝起きたら、鏡に水嶋ヒロが写っていたッ!」とか。
「この海鮮野郎!」「うるせえっ」というやりとりを見てびっくりしてから、半年たっていないと思う。初期は、これほど口は悪くなかったのだ。
3.炎上の深層
じつは、まんべくんのアカウント( http://twitter.com/#!/manbe_kun )は17日夜現在削除されておらず、炎上騒ぎで注目されたことも手伝って、フォロワーは9万9千を超えている。瞬間風速で10万の大台に到達する可能性もありそうだ。
しかし、今回問題になったツイートは、一部をのぞいて削除されている。
削除される前に、まとめておいてくれた人がいるので、それを読んでみると…。
まんべくん『どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまり』→『炎上の後のペプシネックスは格別!』
「すべてのはじまり」かどうかはわからないが、日本があっちこっちに攻めに行ったことは歴史の事実であるので、こんなことで役場に抗議する人の神経は理解できない。
そもそも、livedoorニュースの「まんべくんのTwitterが炎上するのは是か非か?」にもあるとおり、長万部町がゆるキャラで公式発言するわけがなく、役場に問いただしても仕方ないだろう。
ただ、これが、まんべくんの信念から出た発言かどうかというと、ほんとの目的はあるいは別のところにあった可能性があるのだ。
一連のやりとりというかバトルが終わったあとの、まんべくんのツイートから三つ。
これらの発言は、先の反戦論が「釣り」であったことを示している。
つまり、2ちゃんねる住民らを挑発し、騒ぎを起こすことで、話題をつくり、さらにフォロワーを増やそうという狙いがあったとしか考えられないのだ。
まんべくんのフォロワーは、この騒ぎ以前は8万8千ほどであったはずだから、作戦は成功したといえるのだが、成功しすぎて、自らの首を絞める結果となってしまった。
従来もまんべくんは、2ちゃんねる住民などを刺戟するかなりきわどい発言をくりかえしてきた。たとえば初音ミクへの悪口などだ。今回は、長万部町役場への直接的な電話を引き起こしてしまい、とうとうこういう結果になってしまった。
4.長万部町役場を非難できるか
今回の騒動は、表向きに見れば、ネトウヨ?たちの電話攻撃に音を上げた長万部町役場が、これまでまったくの放置状態だったゆるキャラをあわてて封じ込めにかかったという図式になる。役場が、理不尽な言論圧殺に屈してとった措置としては、あまりになさけないともいえる。
ただ、それは建前で、筆者はあまり役場を責める気にはなれないのが正直なところだ。
だって、クレームの電話をかけてくる人って、ほんとにしつこいんだから。ほとんどの場合、論理的な会話は成立しない。こちらのいうことを聞く耳なんてはなから持ち合わせていないことが多いのだ。
大きい街ならいざ知らず、小さな長万部町役場にしてみれば、職員自らのやったことならともかく、こんなことで日常の業務が妨げられ、対応に忙殺されるのは、正直たまったものではないという気持ちもわかるのだ。
そもそも悪いのは、まんべくんでも役場でもない(筆者は、これまでまんべくんの毒舌を、あまり細かいことを言わずに見守ってきた役場の対応は基本的にいいと思っている)。
電話攻撃をかけてきたクレーマーたちのほうだ。
彼らは、言論の自由が保障された社会環境を享受しなから、言論の自由がなかった時代の日本を非論理的に賛美・称揚し、それに反対する意見を力ずくで圧殺しようとする、およそ考えられる限りサイテーの野郎どもである。
総括してみれば、原因はまんべくんの「釣り」にあったとはいえ、結果的には、ネトウヨの増長を許することになってしまったのは、否定できない。
「クレームがきそうだから、このことについては黙っていよう」
という風潮を助長することにつながってしまったのではないか。
なんだか、イヤ~な感じである。
最後に、概要を伝える北海道新聞のどうしんweb(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/312208.html)から記事を引用しておきます。
渡島管内長万部町のゆるキャラ「まんべくん」のツイッターが炎上し、運用を委託された会社による更新が中止されたというニュースは、全国的な話題となった。
ただ、新聞やテレビだけで報道に接していると、とくに過激でもない反戦論をつぶやいたとたんに町役場に抗議が殺到して閉鎖に追い込まれたという筋書きから、戦前の言論弾圧のようななんとなくイヤな感じを抱く人もいるかもしれないが、話はそんなに簡単ではない。
ここでは、その複雑なところについて述べるのが、最終的な目標である。
例によってアートとは関係ないが、まんべくんについて書きたくなったのである。
※目次
1.まんべくん誕生
2.2010年10月16日
3.炎上の深層
4. 町役場を非難できるか
(概要を伝える新聞記事)
1.まんべくん誕生
長万部町が2003年に町のイメージキャラクターを公募したとき、入選したのは「ホタテガニ」であり、「まんべくん」と「アイリスちゃん」は準入選であったことは、わりあいよく知られている。
しかし、これは長万部町の人に聞いた話だが、ツイッターを始める前から、町役場にあったキャラクターの着ぐるみは、まんべくんだけだったという。
なぜか。
上のリンク先を見ればわかる。
ホタテガニは、平面のデザインとしてはすぐれているが、着ぐるみ化することが非常に難しい。
人間が入れて動いたり走ったりできそうなのは、入選・準入選の三つのうち、まんべくんだけだ。
かくて、まんべくんは、長万部に最も多くの人が集まる行事である毎年6月の「毛がにロードレース・イン・おしゃまんべ」の最後の大会(2007年)に初登場した。
だが、その後は活躍の記録があまり残っていないようなのだ。
livedoorニュースの「まんべくんのTwitterが炎上するのは是か非か?」によると、「2010年6月に札幌で行われたYOSAKOIソーランのゆるキャラマルシェ」には登場していたらしい。
ちなみにこの記事は、今回の騒動に至る経緯をわかりやすくまとめたとても良い文章である。
2.2010年10月16日
まんべくんを一躍有名にしたのは、いうまでもなくTwitterである。
上の日付は、まんべくんがTwitterを始めた日だ。
じつは、筆者は、その翌日にまんべくんからフォローされている(すみません、自慢です。それにしてもリンク先にあるやりとりは、ある意味で、今回の事態の予言になっている)。
あと、これはもう時効だろうからばらすけれど、まんべくんのマスコミデビューは、北海道新聞の昨年11月2日夕刊社会面だと思うが、取材するよう現場の記者に依頼したのも筆者である。
この記事の時点では、フォロワーはまだ1300であった。
また、アイコンは全身像だった。
その後、首から上の像となり、さらに現在のような顔のアップ(冒頭画像は無断転載です)に変更となった。
これ以降の活躍については、くどくどと述べるまでもないだろう。
ただ、これは個人的な印象なのだが、以前から「毒舌キャラ」だったわけではないような気がする。もっと、無意味でおかしなキャラという感じだった。「朝起きたら、鏡に水嶋ヒロが写っていたッ!」とか。
「この海鮮野郎!」「うるせえっ」というやりとりを見てびっくりしてから、半年たっていないと思う。初期は、これほど口は悪くなかったのだ。
3.炎上の深層
じつは、まんべくんのアカウント( http://twitter.com/#!/manbe_kun )は17日夜現在削除されておらず、炎上騒ぎで注目されたことも手伝って、フォロワーは9万9千を超えている。瞬間風速で10万の大台に到達する可能性もありそうだ。
しかし、今回問題になったツイートは、一部をのぞいて削除されている。
削除される前に、まとめておいてくれた人がいるので、それを読んでみると…。
まんべくん『どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまり』→『炎上の後のペプシネックスは格別!』
どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです。ありがとうございました。
日本の犠牲者三百十万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数二千万人。
どんな理由であれ、人殺しちゃだめだろ!
応戦なら仕方ないけど、日本から仕掛けるのはどうかと思う。
「すべてのはじまり」かどうかはわからないが、日本があっちこっちに攻めに行ったことは歴史の事実であるので、こんなことで役場に抗議する人の神経は理解できない。
そもそも、livedoorニュースの「まんべくんのTwitterが炎上するのは是か非か?」にもあるとおり、長万部町がゆるキャラで公式発言するわけがなく、役場に問いただしても仕方ないだろう。
ただ、これが、まんべくんの信念から出た発言かどうかというと、ほんとの目的はあるいは別のところにあった可能性があるのだ。
一連のやりとりというかバトルが終わったあとの、まんべくんのツイートから三つ。
(^¬^≡^¬^)ピャーッ!今日は大漁!大漁!
今日は炎上した?
炎上の後のペプシネックスは格別だよーッ!(((^-^)))
これらの発言は、先の反戦論が「釣り」であったことを示している。
つまり、2ちゃんねる住民らを挑発し、騒ぎを起こすことで、話題をつくり、さらにフォロワーを増やそうという狙いがあったとしか考えられないのだ。
まんべくんのフォロワーは、この騒ぎ以前は8万8千ほどであったはずだから、作戦は成功したといえるのだが、成功しすぎて、自らの首を絞める結果となってしまった。
従来もまんべくんは、2ちゃんねる住民などを刺戟するかなりきわどい発言をくりかえしてきた。たとえば初音ミクへの悪口などだ。今回は、長万部町役場への直接的な電話を引き起こしてしまい、とうとうこういう結果になってしまった。
4.長万部町役場を非難できるか
今回の騒動は、表向きに見れば、ネトウヨ?たちの電話攻撃に音を上げた長万部町役場が、これまでまったくの放置状態だったゆるキャラをあわてて封じ込めにかかったという図式になる。役場が、理不尽な言論圧殺に屈してとった措置としては、あまりになさけないともいえる。
ただ、それは建前で、筆者はあまり役場を責める気にはなれないのが正直なところだ。
だって、クレームの電話をかけてくる人って、ほんとにしつこいんだから。ほとんどの場合、論理的な会話は成立しない。こちらのいうことを聞く耳なんてはなから持ち合わせていないことが多いのだ。
大きい街ならいざ知らず、小さな長万部町役場にしてみれば、職員自らのやったことならともかく、こんなことで日常の業務が妨げられ、対応に忙殺されるのは、正直たまったものではないという気持ちもわかるのだ。
そもそも悪いのは、まんべくんでも役場でもない(筆者は、これまでまんべくんの毒舌を、あまり細かいことを言わずに見守ってきた役場の対応は基本的にいいと思っている)。
電話攻撃をかけてきたクレーマーたちのほうだ。
彼らは、言論の自由が保障された社会環境を享受しなから、言論の自由がなかった時代の日本を非論理的に賛美・称揚し、それに反対する意見を力ずくで圧殺しようとする、およそ考えられる限りサイテーの野郎どもである。
総括してみれば、原因はまんべくんの「釣り」にあったとはいえ、結果的には、ネトウヨの増長を許することになってしまったのは、否定できない。
「クレームがきそうだから、このことについては黙っていよう」
という風潮を助長することにつながってしまったのではないか。
なんだか、イヤ~な感じである。
最後に、概要を伝える北海道新聞のどうしんweb(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/312208.html)から記事を引用しておきます。
【長万部】全国的な人気を集める渡島管内長万部町のご当地キャラクター「まんべくん」が、終戦記念日を前にインターネット上の単文投稿サイト「ツイッター」で行った戦争発言に対し、町に抗議が殺到し、町は16日、まんべくんのツイッターを閉鎖した。
癒やし系の「ゆるキャラ」として人気を集める、まんべくんのツイッターは、同町出身の札幌市のコンサルティング会社社長(29)が町の許可を得て行ってきた。
問題となったのは、この社長が14日に書き込んだ「日本の犠牲者310万人。日本がアジア諸国民に与えた被害者数2千万人」「どう見ても日本の侵略戦争が全てのはじまりです」などの内容。
町によると、同日からネット上で「左翼思想だ」などと批判が相次ぎ、「町の公式見解なのか」などの抗議や苦情が電話やメールで500件近く寄せられた。中には「職員を殺してやる」との電話もあったという。
町は16日、町のホームページ(HP)で「皆様に大変ご心配ご迷惑をおかけいたしましたことを、お詫(わ)び申し上げます」と陳謝。白井捷一町長はツイッター閉鎖について「さまざま意見がある問題で、町のキャラクターの名で個人的意見を表明したこと自体が不適切だ」としている。
この社長は「外務省のHPなどを参考にした発言で個人的に間違っていたと思わないが、町やファンに迷惑をかけ申し訳ない」と話している。
まんべくんのツイッターは昨年10月に始まり、「長万部は遊ぶところはない」などとゆるキャラに似合わない自由奔放な発言で人気となった。