北海道美術工芸協会が主催する団体公募展。例年より会期を若干遅らせて、ことしは大型連休中の開催となった。
道展と全道展にはそれぞれ工芸部門があるが、美工展は工芸部門のみ。道展や全道展では見られないタイプの作品も多い。
ただし、以前は、会場の壁から離れたところに籐や陶芸などの大作がいくつも並んで、活気が感じられたが、この数年で作品数が減って、いささか寂しい感じがするのは否めない。
今年はほとんどの作品が壁際や壁に置かれ、会場ががらんとして見える。
最高賞である「協会賞」は、該当者なし。
それに続く佳作賞に、城浦光希「抽斗(ひきだし)の再考 I」(木工)、永井優花里「Blume」(染色)、吉村穂貴「蓮庵」(木工)の3氏。いずれも札幌。
木工の2人は、いずれも精緻なつくりで、まじめな姿勢が感じられた。
永井さんも、個展の際のポップな感じとはやや異なり、黒が入って力強さがある。
新人賞は、いずれも織で、塩田能子(函館)「草原の風」、常本幸子(札幌)「初夏のさざ波」の両氏。
奨励賞は、安保悦子さん(札幌)の組紐「つづみ」。
安保さんと、やはり組紐の瓜生幸さん(札幌)、織の大井マチ子さん(恵庭)の3人が新たに会員に推挙された。
また、城浦さんと永井さん、それに、押花の桑原英里子(美唄)、染色の佐藤美智子(札幌)、組紐の根岸緑(同)の計5氏が、新会友に推挙された。
作品の中では、高木晶子さん(札幌、会員)「秋景」に圧倒された。
皮革の壁掛け型の大作なのだが、重厚な抽象画の趣がある。茶系の色の重なりが、美しい。
染色の近藤香代子さん(同)と、籐の空友子さん(同)が、いずれも「旅立ち」という題名で出品していたのがおもしろかった。
近藤さんは、種が空へ飛んでいくさまを描き、春の後半のさびしさを漂わせる。
空さんは、三つの部分を斜めに並べた壁掛けタイプの大作。いつもスケールの大きな作品を出す人である。
染色は、道都大勢がすでに会員になっているので、伝統的な作品とポップな作品があっておもしろい。
木彫は、いつのまにか会員の出品が片岡敏子さん(札幌)だけになっているが、一般の2人は上川管内音威子府村からとなっていたから、おそらく同村の高校生であろう。
木工の箱崎陽一さん(北広島)「シーラカンス coelacanth」がとにかくでかい。幅は2メートル以上あるだろう。魚の実物大なのだろうか。
なんだか、魚拓の代わりに、板を彫ったという趣である。作品が巨大であるということは、板もでかいということで、よくこんなの手に入ったなと感服する。
しかし、これがアートかと言われると、なんだかビミョーである。
なにかの文脈に組み込まないと、アートには見えないような気がする。ただし、その理由を正面切って問われると、うまいこと説明ができないようにも思う。
なお、分野別の作品数は次のとおり。
染色12 会員6、会友1、一般5
木工9 会員2、一般7
押花7 会員2、会友2、一般3
織6 会員3、会友1、一般2
組紐6 会員3、会友2、一般1
陶芸6 会員5、一般1
籐5 会員5
和紙絵5 会員4、会員1
ペーパークラフト4 会友2、一般2
木彫3 会員1、一般2
金工、皮革=2 会員2
刺繍、ボビンレース、葉彩画=1 会員1
ガラス、その他=1 一般1
2015年4月29日(水)~5月3日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
□北海道美術工芸協会 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/
【告知】第42回美工展
■第37回 美工展 ■続き (2010)
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
道展と全道展にはそれぞれ工芸部門があるが、美工展は工芸部門のみ。道展や全道展では見られないタイプの作品も多い。
ただし、以前は、会場の壁から離れたところに籐や陶芸などの大作がいくつも並んで、活気が感じられたが、この数年で作品数が減って、いささか寂しい感じがするのは否めない。
今年はほとんどの作品が壁際や壁に置かれ、会場ががらんとして見える。
最高賞である「協会賞」は、該当者なし。
それに続く佳作賞に、城浦光希「抽斗(ひきだし)の再考 I」(木工)、永井優花里「Blume」(染色)、吉村穂貴「蓮庵」(木工)の3氏。いずれも札幌。
木工の2人は、いずれも精緻なつくりで、まじめな姿勢が感じられた。
永井さんも、個展の際のポップな感じとはやや異なり、黒が入って力強さがある。
新人賞は、いずれも織で、塩田能子(函館)「草原の風」、常本幸子(札幌)「初夏のさざ波」の両氏。
奨励賞は、安保悦子さん(札幌)の組紐「つづみ」。
安保さんと、やはり組紐の瓜生幸さん(札幌)、織の大井マチ子さん(恵庭)の3人が新たに会員に推挙された。
また、城浦さんと永井さん、それに、押花の桑原英里子(美唄)、染色の佐藤美智子(札幌)、組紐の根岸緑(同)の計5氏が、新会友に推挙された。
作品の中では、高木晶子さん(札幌、会員)「秋景」に圧倒された。
皮革の壁掛け型の大作なのだが、重厚な抽象画の趣がある。茶系の色の重なりが、美しい。
染色の近藤香代子さん(同)と、籐の空友子さん(同)が、いずれも「旅立ち」という題名で出品していたのがおもしろかった。
近藤さんは、種が空へ飛んでいくさまを描き、春の後半のさびしさを漂わせる。
空さんは、三つの部分を斜めに並べた壁掛けタイプの大作。いつもスケールの大きな作品を出す人である。
染色は、道都大勢がすでに会員になっているので、伝統的な作品とポップな作品があっておもしろい。
木彫は、いつのまにか会員の出品が片岡敏子さん(札幌)だけになっているが、一般の2人は上川管内音威子府村からとなっていたから、おそらく同村の高校生であろう。
木工の箱崎陽一さん(北広島)「シーラカンス coelacanth」がとにかくでかい。幅は2メートル以上あるだろう。魚の実物大なのだろうか。
なんだか、魚拓の代わりに、板を彫ったという趣である。作品が巨大であるということは、板もでかいということで、よくこんなの手に入ったなと感服する。
しかし、これがアートかと言われると、なんだかビミョーである。
なにかの文脈に組み込まないと、アートには見えないような気がする。ただし、その理由を正面切って問われると、うまいこと説明ができないようにも思う。
なお、分野別の作品数は次のとおり。
染色12 会員6、会友1、一般5
木工9 会員2、一般7
押花7 会員2、会友2、一般3
織6 会員3、会友1、一般2
組紐6 会員3、会友2、一般1
陶芸6 会員5、一般1
籐5 会員5
和紙絵5 会員4、会員1
ペーパークラフト4 会友2、一般2
木彫3 会員1、一般2
金工、皮革=2 会員2
刺繍、ボビンレース、葉彩画=1 会員1
ガラス、その他=1 一般1
2015年4月29日(水)~5月3日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
□北海道美術工芸協会 http://www.geocities.jp/hokkaidou_bikouten/
【告知】第42回美工展
■第37回 美工展 ■続き (2010)
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
今回の展示は、なるべく壁面に作品を置いて、床面を大きく開けることを意識的に行いました。従来の展示と比べて私たちには新鮮に感じられ、仲間内では概ね好評だったので、「がらんとして見える」のは意外でした。
そう言われてみると、すべての作品を壁面に置けたのも作品数がやや少ないからで、ご覧いただく方には寂しい感じがするのでしょうね。ご指摘ありがとうございます。
相変わらず縦横に各地を駆け回っている様子、unbelievable ! です。
いつもご案内ありがとうございます。
う~ん、たしかに、「工芸の大作は会場の真ん中に置いてあるもの」という固定観念に私がとらわれていたのかもしれません。
来年からはもう少し柔軟に見るようにしたいと思います。
あるいは、種類別で、陶芸や籐工芸が減って染色などの割合が増えたため、壁面向けの作品が相対的に多くなったということなのかもしれませんね。