訃報です。
ギャラリーたぴお2代目オーナーで、北海道抽象派作家協会や個展で作品を発表し続けた林教司さんが11月5日夜、亡くなったというしらせが入っています。
通夜は7日午後6時半、告別式は8日午前9時。岩見沢市公益社メモリアルホール(2東17)です。
(※ この段落は、11月6日午後1時半に追記しました)
林さんの来し方については、2016年春、ギャラリーたぴおを閉じて、中央バス札幌バスターミナル地下の喫茶レ・ノールを引き継ぐにあたって、インタビューした記事が
「林教司さんに聞く、ギャラリーたぴおのことなど」
としてブログに載っています。
こちらとしては、林さんの新しい出発をことほぐとともに、これまでの「たぴお」の歩みについて聞こうとしたのであって、生きているあいだに貴重な話を―と思って、当ブログとしては珍しいインタビューを行ったのではありません。まさか、このあとわずか1年半でこの世を去るとは、思ってもみなかったし、それは林さんご本人もおなじことでしょう。
林さんというと、とりわけ若い世代には「たぴお」をしゃかりきになって運営していた―というイメージが強いと思います。
じっさい、竹田博さんオーナーの頃に色濃くあった「梁山泊」的な雰囲気を、時代に巧みに合わせて、「地下之会」メンバーなど若い世代が展覧会を開けるようなムードにして引き継いでいったのは、林さんの人柄と包容力あってのことでしょう。
忘れてはならないのは、林さんは美術作家でもあったということです。
全道展や新道展(のちに退会)、また最後まで同人として参加していた北海道抽象派作家協会、さらには「たぴお」での個展など、下記に記しただけでも膨大なものになります。
(そもそもヤナイがちゃんと記事を書いていない展覧会も多数あるのはまちがいないので、逐一挙げていけばたいへんな回数になる)
次にあげるのは、筆者が見たうちでは最後の、昨年9~10月に中央バスターミナル地下の「自由空間」で開かれていたグループ展の会場風景です。左側の壁にある3点は、林さんの作品です。
このほか、1986年に描いた「異郷にて」(下のほうに絵の画像をあげました)、90年代に新道展で発表した、黒鉛を塗りこめた平面の大作なども忘れられません。
その後、21世紀に入ってからは、札幌市民ギャラリーのいちばん大きな展示室にあっても巨大に見えるインスタレーションなども発表しています。
と思えば、コーネルふうのしゃれたボックスアートを作ってみたり、ひきだしの多い作家でした。
2002~09年に発表した「飽食」シリーズも忘れられないな。右手に持ったナイフが自分の左手に食い込むという、人間の業というか(現代社会、でもいいのですが)を鋭く批判したインスタレーションでした。
先のインタビューには掲載しなかったのですが、林さんのお父様は僧侶でした。
いささか型破りなお坊さんだったようで、室蘭民芸協会の集まりで、「棟方志功展を開きたい」という話になったとき、単身東京のアトリエに乗り込み、展覧会を開くと言ってくれるまではここを動かぬ―と強気一点張りで交渉して、ついに展覧会を開くにいたった、という話は、「棟方志功と室蘭」という記事に書きました。
林さんの作品には、仏教色はあまり強くありません。
しかし、人間共通の宗教性は、お父様から引き継いだものがあるのかもしれません。
「たぴお」から解放されて、マイペースで「自由空間」のとりまとめを行い、まさにこれから穏やかな日々をおくろう、としていたのではないかと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
関連記事へのリンク
■44th 北海道抽象派作家協会展 (2017年4月)
喫茶レ・ノールに行ってきた
■林教司さんに聞く、ギャラリーたぴおのことなど (2016)
■第43回北海道抽象派作家協会展 (2016年4月19~24日)
画廊喫茶レ・ノールが5月8日再開、そして、ギャラリーたぴおが4月限りで終了しない可能性
ギャラリーたぴお、4月限りで終了
■BOOKS ART 9th (2014)
■愉しき玩具展 (2014)
■第41回北海道抽象派作家協会展 (2014)
■林教司作品展 (2013)
■北海道抽象派作家協会、秋季展(2013年9月)
■summer wave 18th (2013年8月)
■置戸コンテンポラリーアート (2012年8月)
■第37回 北海道抽象派作家協会展
(2010年)
■林教司展(2009年)
■立体四人面白半分展(2009年)
■立体四人面白半分展(2009年4-5月)
■第36回北海道抽象派作家協会展(2009年4月)
■対磁 TAIJI-平面と立体による二人展-鈴木悠高 林教司(2009年2月)
■異形小空間14th(2008年12月-09年1月)
■第32回北海道抽象派作家協会秋季展(2008年10月)
■TEN展 II (2008年9月)
■BOOK'S ART展5(2008年8月)
■SUMMER WAVE展 13(2008年8月)
■林教司展(2008年6-8月)
■Film work EXHIBITION 写羅(08年5月)
■第三十五回北海道抽象派作家協会展 (2008年4月)
■BOX ART展(08年3月)
■寒桜忌展「歌人・今井和義 没後4年」 (08年2月)
■KYOCHO展(08年2月)
■たぴお記念25th + 13th 異形小空間 (07年12月-08年1月)
■林教司展(07年)
■自我の形象展 6(07年)
■Octob 1(07年10月)
■LEBENS(人生・生命)展 2 (07年6月)
■非・連結展 vol.8(07年5月)
■第三十四回北海道抽象派作家協会展 (2007年)
■多面的空間展 vol.9(07年4月)
■林教司作品展(07年3月、画像なし)
■寒桜忌展 うただより・今井和義へ<没後3年>(07年2月、画像なし)
■BOX ART展4 閉塞形状展(07年2月)
■林教司展(06年12月)
■2006年6月の「LEBENS展」(画像なし)
■第33回北海道抽象派作家協会展(2006年)
■第三十二回北海道抽象派作家協会展(2005年)
■第31回北海道抽象派作家協会(2004年)
■04年の「多面的空間展」(29日の項。画像なし)
■04年の「今井和義追悼展」(7・8日の項。画像なし)
■第二十七回北海道抽象派作家協会秋季展(2003年、画像なし)
■北海道立体表現展'03(画像なし)
■03年の「SUMMER WAVE」展(7日の項。画像なし)
■03年の「新・素材の対話展」 (22日の項。画像なし)
■北海道抽象派作家協会30周年記念展(2003年、画像なし)
■03年の回顧展(画像なし)
■02年の「閉塞形状展」 (18日の項。画像なし)
■くりさわ現代アート展(2002年、画像なし)
■02年の新道展(画像なし)
■02年の回顧展
■北海道抽象派作家協会第弐拾九回展
■01年の個展
■第二十五回北海道抽象派作家協会秋季展
■01年の「キャバレーたぴお」 (3日の項。画像なし)
■北海道抽象派作家協会第弐拾八回展
ギャラリーたぴお2代目オーナーで、北海道抽象派作家協会や個展で作品を発表し続けた林教司さんが11月5日夜、亡くなったというしらせが入っています。
通夜は7日午後6時半、告別式は8日午前9時。岩見沢市公益社メモリアルホール(2東17)です。
(※ この段落は、11月6日午後1時半に追記しました)
林さんの来し方については、2016年春、ギャラリーたぴおを閉じて、中央バス札幌バスターミナル地下の喫茶レ・ノールを引き継ぐにあたって、インタビューした記事が
「林教司さんに聞く、ギャラリーたぴおのことなど」
としてブログに載っています。
こちらとしては、林さんの新しい出発をことほぐとともに、これまでの「たぴお」の歩みについて聞こうとしたのであって、生きているあいだに貴重な話を―と思って、当ブログとしては珍しいインタビューを行ったのではありません。まさか、このあとわずか1年半でこの世を去るとは、思ってもみなかったし、それは林さんご本人もおなじことでしょう。
林さんというと、とりわけ若い世代には「たぴお」をしゃかりきになって運営していた―というイメージが強いと思います。
じっさい、竹田博さんオーナーの頃に色濃くあった「梁山泊」的な雰囲気を、時代に巧みに合わせて、「地下之会」メンバーなど若い世代が展覧会を開けるようなムードにして引き継いでいったのは、林さんの人柄と包容力あってのことでしょう。
忘れてはならないのは、林さんは美術作家でもあったということです。
全道展や新道展(のちに退会)、また最後まで同人として参加していた北海道抽象派作家協会、さらには「たぴお」での個展など、下記に記しただけでも膨大なものになります。
(そもそもヤナイがちゃんと記事を書いていない展覧会も多数あるのはまちがいないので、逐一挙げていけばたいへんな回数になる)
次にあげるのは、筆者が見たうちでは最後の、昨年9~10月に中央バスターミナル地下の「自由空間」で開かれていたグループ展の会場風景です。左側の壁にある3点は、林さんの作品です。
このほか、1986年に描いた「異郷にて」(下のほうに絵の画像をあげました)、90年代に新道展で発表した、黒鉛を塗りこめた平面の大作なども忘れられません。
その後、21世紀に入ってからは、札幌市民ギャラリーのいちばん大きな展示室にあっても巨大に見えるインスタレーションなども発表しています。
と思えば、コーネルふうのしゃれたボックスアートを作ってみたり、ひきだしの多い作家でした。
2002~09年に発表した「飽食」シリーズも忘れられないな。右手に持ったナイフが自分の左手に食い込むという、人間の業というか(現代社会、でもいいのですが)を鋭く批判したインスタレーションでした。
先のインタビューには掲載しなかったのですが、林さんのお父様は僧侶でした。
いささか型破りなお坊さんだったようで、室蘭民芸協会の集まりで、「棟方志功展を開きたい」という話になったとき、単身東京のアトリエに乗り込み、展覧会を開くと言ってくれるまではここを動かぬ―と強気一点張りで交渉して、ついに展覧会を開くにいたった、という話は、「棟方志功と室蘭」という記事に書きました。
林さんの作品には、仏教色はあまり強くありません。
しかし、人間共通の宗教性は、お父様から引き継いだものがあるのかもしれません。
「たぴお」から解放されて、マイペースで「自由空間」のとりまとめを行い、まさにこれから穏やかな日々をおくろう、としていたのではないかと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
関連記事へのリンク
■44th 北海道抽象派作家協会展 (2017年4月)
喫茶レ・ノールに行ってきた
■林教司さんに聞く、ギャラリーたぴおのことなど (2016)
■第43回北海道抽象派作家協会展 (2016年4月19~24日)
画廊喫茶レ・ノールが5月8日再開、そして、ギャラリーたぴおが4月限りで終了しない可能性
ギャラリーたぴお、4月限りで終了
■BOOKS ART 9th (2014)
■愉しき玩具展 (2014)
■第41回北海道抽象派作家協会展 (2014)
■林教司作品展 (2013)
■北海道抽象派作家協会、秋季展(2013年9月)
■summer wave 18th (2013年8月)
■置戸コンテンポラリーアート (2012年8月)
■第37回 北海道抽象派作家協会展
(2010年)
■林教司展(2009年)
■立体四人面白半分展(2009年)
■立体四人面白半分展(2009年4-5月)
■第36回北海道抽象派作家協会展(2009年4月)
■対磁 TAIJI-平面と立体による二人展-鈴木悠高 林教司(2009年2月)
■異形小空間14th(2008年12月-09年1月)
■第32回北海道抽象派作家協会秋季展(2008年10月)
■TEN展 II (2008年9月)
■BOOK'S ART展5(2008年8月)
■SUMMER WAVE展 13(2008年8月)
■林教司展(2008年6-8月)
■Film work EXHIBITION 写羅(08年5月)
■第三十五回北海道抽象派作家協会展 (2008年4月)
■BOX ART展(08年3月)
■寒桜忌展「歌人・今井和義 没後4年」 (08年2月)
■KYOCHO展(08年2月)
■たぴお記念25th + 13th 異形小空間 (07年12月-08年1月)
■林教司展(07年)
■自我の形象展 6(07年)
■Octob 1(07年10月)
■LEBENS(人生・生命)展 2 (07年6月)
■非・連結展 vol.8(07年5月)
■第三十四回北海道抽象派作家協会展 (2007年)
■多面的空間展 vol.9(07年4月)
■林教司作品展(07年3月、画像なし)
■寒桜忌展 うただより・今井和義へ<没後3年>(07年2月、画像なし)
■BOX ART展4 閉塞形状展(07年2月)
■林教司展(06年12月)
■2006年6月の「LEBENS展」(画像なし)
■第33回北海道抽象派作家協会展(2006年)
■第三十二回北海道抽象派作家協会展(2005年)
■第31回北海道抽象派作家協会(2004年)
■04年の「多面的空間展」(29日の項。画像なし)
■04年の「今井和義追悼展」(7・8日の項。画像なし)
■第二十七回北海道抽象派作家協会秋季展(2003年、画像なし)
■北海道立体表現展'03(画像なし)
■03年の「SUMMER WAVE」展(7日の項。画像なし)
■03年の「新・素材の対話展」 (22日の項。画像なし)
■北海道抽象派作家協会30周年記念展(2003年、画像なし)
■03年の回顧展(画像なし)
■02年の「閉塞形状展」 (18日の項。画像なし)
■くりさわ現代アート展(2002年、画像なし)
■02年の新道展(画像なし)
■02年の回顧展
■北海道抽象派作家協会第弐拾九回展
■01年の個展
■第二十五回北海道抽象派作家協会秋季展
■01年の「キャバレーたぴお」 (3日の項。画像なし)
■北海道抽象派作家協会第弐拾八回展
こちらのブログから、林教司氏の作品に惹かれて観ていました。 冒頭の画像は「ギャラリーたぴお」で最後に開いた個展の時の写真でしょうか?
奥の方で静かに座って考えておられた姿が、印象深く残っております。
お名前を見ては作品を楽しみに出かけていましたが本当に残念です。心からご冥福をお祈りいたします。
おっしゃる通り、最初の画像は、ギャラリーたぴおでの最後の個展の際に撮ったものです。
私はあまりインタビューなんてやらないんですが、まさかこんなことになるなんて思いもよりませんでした。
本当にざんねんです。