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千代明■PLUS ONE THIS PLACE (6)=9月26日で終了

2010年10月11日 22時03分11秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 日高管内で制作を続けている千代せんだい明さんの作品タイトルは
 「Pillar of time -時の柱-」。

 千代さんももともと平面を制作していましたが、5、6年前から立体に転じました。
 仕事で車の板金修理をしている関係で、金属に、自動車用の塗料で色をつけています。

 今回は、シカの角(頭骨)、卵を中心軸に、上下に配し、周囲にレインボーカラーに着色したたこ糸をめぐらせています。

「本郷新さんが亡くなられてもこの場所があって作品が残るということに、時間の流れを感じた」
と着想のもとを語る千代さん。
 全体のかたちは、鼓のように中央がくびれています。あるいは、三角錐をふたつ、頂点でつなぎあわせた-といえるでしょうか。
 「まんなかがビッグバン。そこから生と死をダブルイメージであわせた。ほんとうは、天井から床まで着くくらいに作りたかったが、計画通りできて良かった」

 展覧会を見にきた小学生が
「輪廻転生」
と言ったそうです。
 ある意味で、小学生にもわかるくらい、分かりやすすぎる作品といえるかもしれません。

 しかし、そのことがダメなことだとは、決して思いません。

 いろいろなタイプの作品がならんでいるなかで、相対的にわかりやすい作品があることで、その展覧会が鑑賞者にとってグッと身近になるかもしれません。

 それ以上に、千代さんの作品は、解釈を聞いて言わんとしていることがわかった時点で魅力がしゅるしゅるとしぼんでいくようなものではなく、それ自体ですっきりとした明快な美しさを持っていると思います。 


 宇宙、次元、DNA、自然界のエネルギーなどのインスピレイションを受け自分なりの解釈とイマジネーションにより作品を制作しています。近年は鉄を素材にしたオブジェ的作品に車の塗装に使用するウレタン系塗料をペイントした作品で曲線美を追及ママしています。
 今回この美術館での展示作品制作にあたり一番インスピレイションを受けたのは2階展示スペースに上がる途中の踊り場に立った時でした。
 左右に分かれる放射線状の階段、1階と2階の展示空間が同時に見渡せるような逆三角形構造、踊り場と1階フロアーの凹凸のある石状のそそり立つ柱のような壁を見た時の印象が今回の作品にイマジネーションを与えてくれました。
 全てが時間軸の中で生まれて来て、そしていつかは死に至る、ビッママバンによって生れたこの宇宙が始まった瞬間から脈々と流れる時間を表現してみました。


2010年9月11日(土)~26日(日)10:00am~5:00pm(入館は4:30まで)、月曜休み(月曜が祝日の場合は翌火曜休み)
本郷新記念札幌彫刻美術館本館(札幌市中央区宮の森4の12)
入場無料


関係するテキスト 
2010年3月閉校の日高・豊郷小児童 巨大壁画 思い出描いた OB千代明さんと共同制作
PLUS 1 Groove (2009年8月)
PLUS 1 +柴橋伴夫企画 空間の触知へ-連鎖の試み 千代明 秋山一郎 齋藤周 (2009年8月)
two members of PLUS 1 千代明・坂東宏哉(2008年8月)
PLUS1 groove(07年8月)
千代明個展(06年)
グループ・プラスワン展(06年)
5th グループ・プラスワン(04年)


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