Retara Gallery 時代にはギャラリーの企画展として開かれていた「北海道のアーティスト」展。
貸し画廊となり有志がお金を出し合って出品する形式になって2度目ですが、40~80代の多彩な顔ぶれによる小品が並びました。
今回は1人2点(ただし彫刻・立体の作家は1点)という前例のない試みで、かなり見応えのある展示になりました。
冒頭画像の手前に見えていた伊藤隆弘さん「Next Stage」。
道内を代表する石彫家のひとりで、そのシンプルな形状は魅力的です。
少し視線を下げると、作品の上部に、穴があいているのがわかります。
ほんとうに、すごい技術の持ち主だなと感服します。
右は佐藤潤子「気配い」1、2。
2点は縦に並んでいることがほとんどですが、同じ傾向の作品を出している人と、異なる画風の作品を並べている人がいます。佐藤さんは前者のタイプで、勢いある筆の2点です。
その左側は十勝管内中札内村の鈴木隆さん「day and night insects」。
鈴木さんは次にどんな新作を出してくるのかまったく予想できない作家ですが、今度はガ、バッタ、羽虫など、実際の昆虫の死骸です。
確かに夜、郊外の道路を走っていると車にびっしりと昆虫の死骸が張り付きますよね。
そのとなりは阿地信美智さん「I Know You」。
彫刻(立体)は中央に1人1点ずつ並んでいます。
左から2点目はベテラン渡辺行夫さん(小樽)が近年取り組んでいるイタドリ彫刻「不条理な存在」。
首のようでも、動物のようでもありますが、角度を変えて見るとまったく違った形状に見えるのがすごいところ。
左は韮沢淳一さん「茨の上の悪玉」。
黒い釘を集めて球体にしたもので、社会に対するストレートな怒りのようなものを感じます。
そのとなりは大石俊久さん。
陶土による立体で、地層や時の集積のようでもありますが、中央が抜けた構造になっているので、窓や門を思わせるところもあります。
中央は阿部典英さん(小樽)「ネエダンナサン あるいは」。
写真がまずくて真っ黒に見えますが、これは小樽で昨年開かれた「WAVE」展に出品されていたのと同一のシリーズで、葉でしゃれこうべをつくって、下の方に配しています。
何年か取り組んできていた「疾風に勁草を知る」シリーズが白っぽい色に生へのきびしい姿勢を示したとすれば、こちらは死を濃厚にイメージさせ、見る人にいずまいを正させる力があります。
左は干場良光さん「okushiri 2021 1026」「20230407 stone」。
檜山管内奥尻島の海岸で拾ったものでしょうか。
干場さんは、20世紀を代表するフランスの文化人類学者レヴィ=ストロースの「ブリコラージュ」という概念にインスパイアされた作品を制作していますが、これもそのひとつなのでしょうか。
右は旭川と長野県の2拠点、荒井善則さんの「Soft Landing to Season」。
右側の立体は渡辺行夫さん「不条理な存在」。
近年取り組んでいる、イタドリによる彫刻です。
次の画像を見るとわかりますが、見る角度によって形状がまったく異なり、不思議としか言いようがありません。
そのとなりにある地球儀のような作品は野又圭司さん。
壁の高い位置に掲げてあるのが、西本久子さんの染色「彩雲 '24」。軽い布地に美しい色彩。
その左下は佐藤武さん「私の経路」。
さらにその左側は西田陽二さん「バレリーナ(少女)」「薔薇」。
おふたりともさすがの描写です。
手前は伽井丹彌さん「化蛹乳白の霧の中に…」。なんて読むのかわかりません。
その右は伊藤三千代さん「花のウツワ ~くもの糸~」。熱帯植物のようなユニークな形状です。
工藤悦子さん「刻の華 A」「刻の華 B」。
ギャラリー運営の泉修次さんによると、工藤さんから
「いつもと違う作風でいいか」
という問い合わせがあり、もちろんかまわないと答えたら、きた作品がこれだったとのこと。
花の生命力を、絵の具の根気強い塗り重ねで表現しているふだんの作風とは全く異なるコラージュで、80代とは思えない工藤さんの若々しさが伝わってきます。
そのとなりで、なんともいえない気配を漂わせているのは會田千夏さんです。
それ以外の出品作は次の通り。誤記があるようなので、ご指摘くださればありがたいです。
敬称略。
アップが遅れたことをおわびいたします。
駒澤千波 Winter Fairy
前川亜紀 季節の透き間
田村陽子 イエノキオク ハコノキオク
高橋靖子 無題
石本久美子 時のカケラ 母の手
斎藤 周 構築するA 構築するB
中村修一 Sporang num
島津明美 ヤマセミ 出芽
白鳥洋一 円山パラダイス
池田 緑 New York Masked マスクをかけたニューヨークのまち
前田育子 HAKUCHO / TORI
ミクニキョウコ Coffee Anteater
梅田マサノリ Premotion
あべみち子 いい天気 風にふかれて
高橋博明 生存 2024A 生存2024B
下沢敏也 Re-Birth 024-1 Re-Birth 024-2
柿崎 熙 うつろひ 乾坤
高野理栄子 Ame
内藤克人 飛ぶかたち一回帰 飛ぶかたち
Kit_A Vortex① Vortex②
石田眞理子 TAKAKU TAKAKU FUKAKU FUKAKU
朝地信介 あわい
永井美智子 惑星E 惑星M
八子直子 Shining Branches 輝く枝を作りました
末永直子 One day
谷口明志 rings 面と線
高橋佳乃子 グレーオブグレー2024 グレーオブグレーとエメラルドグリーン2024
塚崎聖子 月の音・森の声 I 月の音・森の声 II
赤石 操 A walk
丸藤眞智子 赤いつきのひとりごと
林 亨 心を浮かべて(みずのもり)
上嶋秀俊 夜明けの音
泉 修次 ポテトチップスの未来形
瀬川葉子 緋に蛍
加藤宏子 metal box
長澤裕子 air capsule
藤井忠行 MM XXIV 2024
藤本和彦 所在
2024年1月22日(月)~2月4日(日)午前11時~午後6時(最終日~4時)
Retara Space (札幌市中央区北1西28 Moma Place 3階)
貸し画廊となり有志がお金を出し合って出品する形式になって2度目ですが、40~80代の多彩な顔ぶれによる小品が並びました。
今回は1人2点(ただし彫刻・立体の作家は1点)という前例のない試みで、かなり見応えのある展示になりました。
冒頭画像の手前に見えていた伊藤隆弘さん「Next Stage」。
道内を代表する石彫家のひとりで、そのシンプルな形状は魅力的です。
少し視線を下げると、作品の上部に、穴があいているのがわかります。
ほんとうに、すごい技術の持ち主だなと感服します。
右は佐藤潤子「気配い」1、2。
2点は縦に並んでいることがほとんどですが、同じ傾向の作品を出している人と、異なる画風の作品を並べている人がいます。佐藤さんは前者のタイプで、勢いある筆の2点です。
その左側は十勝管内中札内村の鈴木隆さん「day and night insects」。
鈴木さんは次にどんな新作を出してくるのかまったく予想できない作家ですが、今度はガ、バッタ、羽虫など、実際の昆虫の死骸です。
確かに夜、郊外の道路を走っていると車にびっしりと昆虫の死骸が張り付きますよね。
そのとなりは阿地信美智さん「I Know You」。
彫刻(立体)は中央に1人1点ずつ並んでいます。
左から2点目はベテラン渡辺行夫さん(小樽)が近年取り組んでいるイタドリ彫刻「不条理な存在」。
首のようでも、動物のようでもありますが、角度を変えて見るとまったく違った形状に見えるのがすごいところ。
左は韮沢淳一さん「茨の上の悪玉」。
黒い釘を集めて球体にしたもので、社会に対するストレートな怒りのようなものを感じます。
そのとなりは大石俊久さん。
陶土による立体で、地層や時の集積のようでもありますが、中央が抜けた構造になっているので、窓や門を思わせるところもあります。
中央は阿部典英さん(小樽)「ネエダンナサン あるいは」。
写真がまずくて真っ黒に見えますが、これは小樽で昨年開かれた「WAVE」展に出品されていたのと同一のシリーズで、葉でしゃれこうべをつくって、下の方に配しています。
何年か取り組んできていた「疾風に勁草を知る」シリーズが白っぽい色に生へのきびしい姿勢を示したとすれば、こちらは死を濃厚にイメージさせ、見る人にいずまいを正させる力があります。
左は干場良光さん「okushiri 2021 1026」「20230407 stone」。
檜山管内奥尻島の海岸で拾ったものでしょうか。
干場さんは、20世紀を代表するフランスの文化人類学者レヴィ=ストロースの「ブリコラージュ」という概念にインスパイアされた作品を制作していますが、これもそのひとつなのでしょうか。
右は旭川と長野県の2拠点、荒井善則さんの「Soft Landing to Season」。
右側の立体は渡辺行夫さん「不条理な存在」。
近年取り組んでいる、イタドリによる彫刻です。
次の画像を見るとわかりますが、見る角度によって形状がまったく異なり、不思議としか言いようがありません。
そのとなりにある地球儀のような作品は野又圭司さん。
壁の高い位置に掲げてあるのが、西本久子さんの染色「彩雲 '24」。軽い布地に美しい色彩。
その左下は佐藤武さん「私の経路」。
さらにその左側は西田陽二さん「バレリーナ(少女)」「薔薇」。
おふたりともさすがの描写です。
手前は伽井丹彌さん「化蛹乳白の霧の中に…」。なんて読むのかわかりません。
その右は伊藤三千代さん「花のウツワ ~くもの糸~」。熱帯植物のようなユニークな形状です。
工藤悦子さん「刻の華 A」「刻の華 B」。
ギャラリー運営の泉修次さんによると、工藤さんから
「いつもと違う作風でいいか」
という問い合わせがあり、もちろんかまわないと答えたら、きた作品がこれだったとのこと。
花の生命力を、絵の具の根気強い塗り重ねで表現しているふだんの作風とは全く異なるコラージュで、80代とは思えない工藤さんの若々しさが伝わってきます。
そのとなりで、なんともいえない気配を漂わせているのは會田千夏さんです。
それ以外の出品作は次の通り。誤記があるようなので、ご指摘くださればありがたいです。
敬称略。
アップが遅れたことをおわびいたします。
駒澤千波 Winter Fairy
前川亜紀 季節の透き間
田村陽子 イエノキオク ハコノキオク
高橋靖子 無題
石本久美子 時のカケラ 母の手
斎藤 周 構築するA 構築するB
中村修一 Sporang num
島津明美 ヤマセミ 出芽
白鳥洋一 円山パラダイス
池田 緑 New York Masked マスクをかけたニューヨークのまち
前田育子 HAKUCHO / TORI
ミクニキョウコ Coffee Anteater
梅田マサノリ Premotion
あべみち子 いい天気 風にふかれて
高橋博明 生存 2024A 生存2024B
下沢敏也 Re-Birth 024-1 Re-Birth 024-2
柿崎 熙 うつろひ 乾坤
高野理栄子 Ame
内藤克人 飛ぶかたち一回帰 飛ぶかたち
Kit_A Vortex① Vortex②
石田眞理子 TAKAKU TAKAKU FUKAKU FUKAKU
朝地信介 あわい
永井美智子 惑星E 惑星M
八子直子 Shining Branches 輝く枝を作りました
末永直子 One day
谷口明志 rings 面と線
高橋佳乃子 グレーオブグレー2024 グレーオブグレーとエメラルドグリーン2024
塚崎聖子 月の音・森の声 I 月の音・森の声 II
赤石 操 A walk
丸藤眞智子 赤いつきのひとりごと
林 亨 心を浮かべて(みずのもり)
上嶋秀俊 夜明けの音
泉 修次 ポテトチップスの未来形
瀬川葉子 緋に蛍
加藤宏子 metal box
長澤裕子 air capsule
藤井忠行 MM XXIV 2024
藤本和彦 所在
2024年1月22日(月)~2月4日(日)午前11時~午後6時(最終日~4時)
Retara Space (札幌市中央区北1西28 Moma Place 3階)