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■米澤邦子展(4月14日まで)

2007年04月13日 06時43分07秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 7日に見たのにアップが遅れてすいません。

 米澤さんは全道展会員の画家。
 1944年室蘭生まれ、札幌在住ですが、かつて後志管内倶知安町に住んでいたとき、同町在住で道内画壇を代表する存在だった小川原脩さんに絵をまなび、その関係で全道展と麓彩会(倶知安在住とゆかりの画家のグループ)に出品するようになりました。
 全道展は1966年に初出品入選。71年と73年に奨励賞、74年に道新賞を得て同年会友。会員になったのは2003年です。
 また、1978、80、88、94、2004年に札幌時計台ギャラリーで個展をひらいているそうですが、筆者は一度も拝見していません。
 04年には小川原脩記念美術館(倶知安町)でも個展をひらき、65-2004年の油彩18点を並べています。

 さて、今回の個展には、100号2点をふくむ油彩14点がならんでいますが、メモを紛失してしまい、出品作のタイトルがわかりません。重ねてすいません。
 冒頭の絵は、昨年の全道展出品作「夜語り-花-」(F100)ですが、加筆してあります。
 加筆のいちばん大きなポイントは、絵に近づいてみるとわかるのですが、ペンによる細かい線がびっしりとくわえられていることです。
 拡大図の画像を附します。

         

 朱色の、細かい点線や、その上の花びらのような模様が、ペンによる線です。

         

 これも、ガーゼをコラージュしたように見えますが、ペンで縦横に線を書いています。

 ふつうのペン先とペン軸をつかっているそうです。
 黒や赤だけでなく、いろんな色のインクがあるのがわかります。

 米澤さんは
「ペンに出会って、やっとほしかった線が得られました。それまで、面相筆なども試してみたけれど、どうもピンとこなかった。ペンによる線は、陰影にもなるし、いいですよ」
と話しておられました。
 陰影というのは、文字通りの明暗という意味のほかに、広義の、画面全体に精彩を与えるという意味合いもあるのでは、と思います。

 米澤さんの絵は、幻想味がどこかパウル・クレーを思わせるところがありますが、クレーの絵の多くが小品なのに対し、100号クラスのもあります。全面的にペンによる線描をくわえるのは、相当な重労働でしょう。
 ペンを足すときは、キャンバスを床に寝せるそうです。
 ここに挙げた「夜語り-花-」以外の作品も、ペンの線が微妙な味わいをかもし出しているので、ごらんになってください。
 小品には、羊蹄山や、小さな子供をモティーフにしたものもあり、写実的で親しみやすい一面ものぞかせています。


4月2日(月)-14日(土)10:30-18:00(最終日-17:00)、日曜休み
Gallery粋ふよう(北区北26東1)


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