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■共振芸術空間 佐々木秀明展+アート5<雫を聴く>5週間 (~8月28日) 釧路への旅(5)

2011年08月24日 21時25分31秒 | 展覧会の紹介-現代美術
承前

 佐々木秀明さんは札幌在住。
 水の光と影を素材にしたインスタレーションで知られています。
 今回は、佐々木さんにとって初の美術館での個展になりますが、通常の個展と異なるのは、ほぼ1週間ずつ、公募した多様な分野のアーティストと会場でコラボレートするという展覧会であることです。
 筆者が会場に行ったときは、札幌出身でいまは本州在住のサウンドアーティスト神谷泰史さんが「参加」していました。

 神谷さんの「drip:taransition」は、一般的な「音楽」とはいささかかけ離れた、音による作品づくりをしていますので、佐々木さんの作品世界への介入度合いも、かなりささやかで、ぼんやりしていると聞き漏らしてしまいそうなほどです。じっと耳を済ませていると、雫が落ちるタイミングとはずれて音が断続的に聞こえてくるのでわかるのですが。
 ほかの4人は、映像、写真、(クラシック)音楽、舞踏と、分野も経歴もさまざまですが、いずれにしても、あまり主張しすぎると佐々木さんの世界を損ねてしまい、かといって控えめすぎるとなんのためのコラボかわからなくなり、さじ加減のむつかしいところでしょう。

 佐々木さんの「雫を聞く」シリーズは、毎回それほど変化があるわけではありませんが、何度体験しても、神秘的で、心が洗われるようです。
 とりわけ今回は、これまでのどの会場よりもおそらく広くて、天井の高いスペースであることはまちがいなく、作品数も多くて、佐々木ワールドにどっぷりとひたることができます。
 会場が大きいということは、作品の形状もバラエティーに富んでいるということでもあります。
 いくつかの作品は、天井からしたたり落ちる水滴を受ける透明な皿が中空に固定され、たまった水の影が床の上に映っていました。

 このほか、もともと大学で佐々木さんが取り組んでいたモノクロ写真も展示されていたほか、一部(「無題」3点)は、窓のある明るい小部屋にも設置されていました。暗い会場でなくても展示できる作品は、近年の佐々木さんが模索を続けているもののようです。

 光のゆらぎに包まれた空間に身を浸していると、はるばる釧路まで来てよかったな~という気分になれたのでした。


道立釧路芸術館(釧路市幸町4)
一般500(400)円、高大生200(100)円、小中生100(50)円

・5回券は一般2000円、高大生500円、小中生250円
・( )内は、10人以上の団体、親子(高校生以下の子とその親)、リピーター割引(本年度の展覧会チケットを持参の方)
・障害者手帳などをお持ちの方は無料


告知の記事


半円形-ものがたり展(2011年5月)
2010年 個展「雫を聴く 水と光 波紋の投影による静謐な空間」(札幌・レッドベリースタジオ)
さっぽろフォトステージ (2008年)
北の彫刻展-心の中の自由な世界(佐々木さん出品。2008年。画像なし)
佐々木秀明個展 雫を聴く2007
渡辺博史・佐々木秀明写真展(07年5-6月)

2005年 うちのDEアート(新潟市) □ブログ □ブログ
2004年 ルレオ ウインタービエンナーレ(スウェーデン 、ルレオ)
2003年 ルレオ サマービエンナーレ(スウェーデン、ノルボッテン美術館)
2002年 北方都市会議INあおもり-AIR/北方都市美術展(国際芸術センター青森)
北の創造者たち2001

美登位創作の家アートプロジェクト2000 記憶の繭
1992年 映画「アンモナイトのささやきを聞いた」美術監督。札幌、東京で公開記念展
1991年 個展 Galerie Nord-Est(フランス、95、98年にも)
1987年 「イメージ・響 北海道の美術」(道立近代美術館)
1986年 ユリイカ賞展(札幌、ギャラリーユリイカ)出品。第2回ユリイカ賞受賞

遠くを聴く この言葉で繋がる7人の世界(2009年)
=神谷さん出品



・JR釧路駅から1.2キロ、約15分
・くしろバス「十字街」「十字街7丁目」から約5分
・フィッシャーマンズワーフ「MOO」(長距離バスのバス停あり)からすぐ


(釧路への旅、つづく


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