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■一水会 北海道出品者展 (2015年4月14~19日、札幌)

2015年04月25日 23時59分59秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 「一水会」とは、全国的な団体公募展の一つ。右翼団体とは関係ない。
 団体公募展の特徴や個性が失われたという批判が古くからあるなかで、一水会は、会の性格がはっきりしているといわれることが多い。絵画部門のみで、抽象画をいっさい認めていないからだ。

 北海道に関していえば、かつては、日展会員でもあり、道展に重きをなした伊藤正さんや、小樽出身の風景画家として知られる中村善策さんといった高名な画家が在籍していた。
 ここから書くことは伝聞であるので、あるいは正確さを欠くかもしれないが、一水会は組織改革を行う過程で、「会員」「会友」の名称をめぐって反発が起き、道内在住の会員や出品者のうち退会する人が少なくなかったらしい。

 筆者が知っている1990年代後半以降、一水会の北海道支部は、札幌の山川義雄さんなどを中心に、札幌市民ギャラリーで毎春開かれていた。
 ただし、一水会への出品者ではない道内在住者も一緒になって「水光社展」を併催しており、部外者にはどうにもわかりづらかった。

 山川さんがご高齢となったこともあって、北海道支部展がまったく開かれなくなり、昨年あたりから再び支部展への機運が高まってきたようだ。
 札幌にいささか偏っていた山川さん時代の支部展と、出品者の顔ぶれはがらりと変わり、旭川、釧路、北見、恵庭といった地方都市からの出品も目立つ。事務局を務める委員の佐藤道雄さん(旭川)によると、委員に推挙されたり、受賞を重ねているベテランから、近年新たに出品を始めた人までいるそうで、来年4月には北見の北網圏北見文化センターで第2回を開くことが決まっているとか。
 全道規模の展覧会や催しの大半が札幌で開かれる風潮が強い中、他の都市で支部展を開くというのは、とてもすてきなことだと思う。


 出品者展には15人が2点ずつ。東京での一水会展に出す100号クラスではなく、最大で50号である。
 佐藤道夫さんは「冬の静物」(M50)と「枯れ花」(F8)。道展でもおなじみの、オーカー系の色をじっくりと置いていった、独特のマチエールが目を引く静物画だ。明度のメリハリをつけないかわりに、物の存在感を根気づよく描き出そうとしているようだ。

 勝谷明男さん(北見)「農道待春」(F50)
 いつもは、写真よりもリアルといえそうな、かっちりした写実を描く勝谷さんだが、今回は筆触が分かるラフな感じが画肌に残る。それにしても、終わりに近づいた冬の空気感が見事に表現されている。ほかに「冬枯れの川辺」(F10)。

 阿部賢一さん(北見)「春の兆し」(F50)
 無加川か常呂川だろうか。こちらも冬の終わりの空気感がさりげなく描かれたオーソドックスな風景画。このオーソドックスさがいいのだ。ほかに「伏古の浜」(F10)

 扇谷章二さん(釧路)「丘への道」(F20)
 人物画の印象がある扇谷さんだが、この絵は、遠景が緩やかな上りになっている緑地がモティーフ。穏やかな景色で、視線が自然と奥へと導かれる。
 ほかに「釧路湿原」(F15)

 なお、故人の古屋五男さん(小樽)「運河夕陽 II」(F50)が特別出品されている。

 ほかの出品は次のとおり。
安達久美子(札幌) 雪解け(F50) クレマチス(F4)
荒谷 幸蔵(札幌) 雪原の切り株(F50) 塩谷の海(F8)
高間 恭子(札幌) 想う(P20) バラのリース(F10)
細貝 信子(札幌) 冬(F50) 人物(F20)
山本 孝子(札幌) オランダ人形(F6) 秋(F6)

安藤志津夫(北見) 芒のある風景(F30) 廃屋と林(F10)
岡崎 公輔(北見) 芋の花咲く(F50) 利尻の午後(P10)

高橋 康夫(釧路) オシャマップの海(F50) 朝日(F10)

田中 成利(旭川) オホーツクの春(F20) 緑氷(F10)
中村 哲泰(恵庭)  とどまることのない生命(いのち F50) 野の花(F10)
村元 道男(小樽) 北運河(F50) 茅芝岬秋景・祝津(F6)


2015年4月14日(火)~19日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
スカイホール(札幌市中央区南1西3 大丸藤井セントラル7階)

□一水会 http://www.issuikai.org/index.html

古谷五男さん死去(小樽の画家)
一水会道展・水光会展 (2007)

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