後志管内倶知安町のベテラン画家徳丸さんは、毎年5月ごろ、札幌時計台ギャラリーで個展をひらいています。ことしは、広いA室を会場にするため、時期を早めたということです(ご存知の方も多いでしょうが、同ギャラリーにはAからGまで7つの部屋がある)。北海道の自然の息吹を伝える作品がことしもならんでいます。
徳丸さんの絵の良さについてはもう何度か「北海道美術ネット」で書いてきました(いちばん下のリンク■を参照)。北国の厳しく美しい自然を、饒舌さを排した構図と、抑えた色づかいで表現した絵画世界は、静かな魅力に満ちています。
たとえば、下の絵は「山霧」と題された作品。
朽ちかけた老木を中心に据えたシンプルな画面は、荘厳な精神性を感じさせるといったら、大げさでしょうか。
背景は水色ではなく、青の上に、白い絵の具をうすく重ねています。
この作品に限らず、たいていは主調色とでもいうべき色が決まっていて、黒のほかには1色しか目に付きません。たとえば「林」はオレンジ(冒頭の写真の奥の絵です)、「トドマツ」は明るいピンクです。ピンクといっても派手なところがまったくないのが、おもしろいです。
ところで、パソコンが得意な徳丸さんは、今回もコンピュータグラフィクスの作品を並べています。
下の画像は、写真を元に加工して作った、版画ふうの作品です。
どちらも背景を白く飛ばし、黒一色で仕上げています。
右側は、じゃまな木や枝を削除したり、枝の角度を変えたり、いろいろな加工をほどこしています。
「大変な作業ですね」
と言ったら
「いやあ、絵を描くのにくらべたら」
と返されてしまいました。
3月27日(月)-4月1日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
□徳丸さんのサイト「STギャラリー」
■04年の個展(画像あり)
■03年10月の個展
■03年5月の個展(画像あり)
■02年の個展(25日の項)
徳丸さんの絵の良さについてはもう何度か「北海道美術ネット」で書いてきました(いちばん下のリンク■を参照)。北国の厳しく美しい自然を、饒舌さを排した構図と、抑えた色づかいで表現した絵画世界は、静かな魅力に満ちています。
たとえば、下の絵は「山霧」と題された作品。
朽ちかけた老木を中心に据えたシンプルな画面は、荘厳な精神性を感じさせるといったら、大げさでしょうか。
背景は水色ではなく、青の上に、白い絵の具をうすく重ねています。
この作品に限らず、たいていは主調色とでもいうべき色が決まっていて、黒のほかには1色しか目に付きません。たとえば「林」はオレンジ(冒頭の写真の奥の絵です)、「トドマツ」は明るいピンクです。ピンクといっても派手なところがまったくないのが、おもしろいです。
ところで、パソコンが得意な徳丸さんは、今回もコンピュータグラフィクスの作品を並べています。
下の画像は、写真を元に加工して作った、版画ふうの作品です。
どちらも背景を白く飛ばし、黒一色で仕上げています。
右側は、じゃまな木や枝を削除したり、枝の角度を変えたり、いろいろな加工をほどこしています。
「大変な作業ですね」
と言ったら
「いやあ、絵を描くのにくらべたら」
と返されてしまいました。
3月27日(月)-4月1日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
□徳丸さんのサイト「STギャラリー」
■04年の個展(画像あり)
■03年10月の個展
■03年5月の個展(画像あり)
■02年の個展(25日の項)
明日見に行きます。
深い精神性と対象を見極めた計算された画面構成が伝わってきます。
私は徳丸さんほど色が澄んでいないので、じっくり記憶にとどめたいと思います。
明日は、大通美術館の金澤巌さんと、時計台の徳丸茂さん、ユリイカの竹津さんの3本を見なければなりません。いや今日だ。
ごらんになった感想を聞かせてくださいね。
>stokuさま
こちらこそ、ありがとうございます。
大阪屋にCDがあるのは知りませんでした。こんどのぞいてこよう。
徳丸さんの個展にお邪魔してきました。徳丸先生お疲れ様でした。最終日にもかかわらず質問に親切にお答えくださいまして有り難うございました。
ヤナイさんが昨年の記事で書かれていらっしゃるように、非常に親切にマチエールの話やメディウムの話をしてくださいました。
私は薄い層の絵の具を重ねることで下の色を活かしながら微妙な空気感や色感を出して行くことを『グレージング』(グラッシ)という手法に分類できると思っております。
本来のグレージングは透明色を重ねる方法ですが、ホワイトは隠蔽力が非常に強いのでホワイトの含んだ層は絵の具の層の厚みを0.1ミリから0.01ミリ程度にすることによって下の層が少しずつ見えます。これがグレージングに非常に近似した考え方になると思います。
私の場合はその表現にローラーを使うのですが、徳丸さんは今はローラーは使わないそうです。ローラーの境面がどうしても微妙に色感が違うからだそうです。
それと、メディウムによる下地やメディウムによる顔料の均等配分によって顔料の境目から光が浸透して下地の色を反射することによる色の深みや複雑な色の輝きが出てくることも発見されているようです。
水分の浸透しないコート紙などを以前は使用して斑紋のような下地を作っていたのですが、現在は紙パレットの紙を使用しているそうです。(これ書いて良いのかな。徳丸先生すんません)
徳丸さんの絵の特徴は、白という隠蔽力が強い色を自在に透明色として制御できるという事になるかと思います。
今度制作現場を訪問する約束をしてきましたので、私の考えてきたことと徳丸先生の手法とを比較して教えを請うて、勉強して来ようと思います。
徳丸先生、よろしくお願いします。お伺いするのは多分5月の連休以後になると思います。(5月にグループ展出品のため)
どうも絵描きは絵の鑑賞よりも技術的な事に目が行っていけませんね。
作品は上写真右側の川の絵と川(2005年)の丸井雪が印象的です。中景の小さな丸い雪がアクセントとして効いています。
全体の絵ではバルールによる遠近表現の基本を堅持していることも勉強になりました。
徳丸さんの絵画技法の秘密を解き明かしていて、とても興味深く読みました。
筆者は自分で筆を執らないので実作のことはよくわからないのですが、たぶん川上さんは同じ白でもチタニウム系ではなくジンク系を多用してらっしゃるでしょうから、それでもなお「白は透過率が低い」というのですから(チタニウムよりはジンクのほうがいくらか透明なはず)、徳丸さんのホワイトのおつゆがきというのはまったく独特なのですね。
また徳丸さんはアクリルと油絵の具を併用されていますね。
それと、川上さんのカキコミにも関連しますが、ジェソなどの下地剤も活用されていると推察します。
アクリルで思い出しましたが、北海道にアクリルが入ってきたのは私が19歳頃でしたか?73年当時のリキテックスジェッソは油彩用キャンバスに下地塗りすると、はがれて来るという代物でした。(今は固着力が強い)
また、リキテックス(絵の具)も油彩とは相性が悪く、今のように親和性があるのではないかというほど相性が良くなると、自分も混合技法にしようかなあと真剣に考えてしまいます。(油彩にこだわって居るのですが、溶剤臭は正直つらいです)
当時同じ教室の女子学生に「アクリルって毛糸と同じ?」と聞かれたことが懐かしいです(笑)。それほど目新しいものでした。ナイロンブラシで背景を透明色で派手に刷毛目を残したイラストをデザイン屋さんに持ち込んだら珍しがられました。
アクリルは各種バーニッシュと言われるものとグロスメディウム、ジェルメディウム、マットメディウムなどのメディウム類を活用することが自分の表現を手に入れる鍵だと思います。この点はワニスを自在に使えるようになると油彩を自分の思うままに操れることと関連します。
ちなみに、私はパーマネントホワイトです。顔料はチタン白ですからチタニウムホワイトと同じなのですが粒子がより細かくなっているとホルベインの資料にはあります。だからワニスに富む画用液を多くした展開方法では下地の透過が良くなるのだと思います。お説のとおり隠蔽力はジンクの方が弱いのですが、後々はがれる原因になりますね。
パーマネントを薄い層にして10回ほど重ね塗りします。(その場合は主にローラーでその後にカラ刷毛をかけます)
徳丸さんにお聞きしたのですが、アクリルと油彩の順序は特に決めていないようです。いずれも下がマット面だと上にどちらを掛けてもはじかれるという恐れはないようです。
先ほどドラールの掲示板で見てきましたが、筆者の注目した一品(中景の円い雪が効いている)は「沼」でした。訂正します。
透明感のある色を出すには、それくらいやんなくちゃということでしょうか。
でも、楽しいですよ。思いがけない輝きや深みが出たときはやったーって感じです。
逆に意図した効果が出たときもやったね!てな感じです。