北海道美術ネット別館

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■第25回読売書法展北海道展 (11月23日で終了)

2008年11月30日 22時22分38秒 | 展覧会の紹介-書
 札幌市民ギャラリーを離れて以来、サッポロファクトリーホール→STVメディアパーク「スピカ」…と会場を移してきた読売書法展北海道展ですが、「スピカ」が取り壊しになってしまったため、ことしは、例年「北海道書道展」で会友作品が展示されている札幌パークホテルの地下になりました。これまでの会場にくらべ、かなりゆったりとしており、しばらくここに落ち着くのではないかという気がします。

 読売書法展がどういう書展かについては、過去のリンク先を参照してください。
 手短に言うと、「本格の輝き」を標榜していることもあってか、前衛書や墨象の部門はありません。漢字も多字数書が大半です。
 また、書道道展や毎日書道展でよくみられる、激しい運筆の「近代詩文書」はみられず、そのかわり、おだやかな「調和体」の作品が並びます。

 会場を入ってすぐの場所に、阿部和加子さんのかな書と石田壱城さんの行書がならんでいます。
 阿部さんのかなは、九条武子の歌
「死ぬまでを死にての後もわれといふものののこせる一すぢの道」
を書いたもの。
流れるような連綿体ではなく、直線の多い力強い線質でこちらに迫ってきます。かすれ具合に力を感じるのです。
 すこし離れたところにあった田上小華さんの正統派のかな書とは対称的です。歌人や自分の名を書き入れていないのも、おやっと思いました。

 石田さんは「大象三形」と書いています。
 右肩上がりの書体が、融通無碍な広がりを感じさせます。

 ほかに道内の入選者で土井一剛さんのかな書がすごいと思いました。
 端正かつ流麗な運筆と、文字の稠密に意を用いた散らしに、目を奪われました。

 役員では、栗原蘆水常任総務が国木田独歩「日の出」の一節を書いていて、目を引きました。
 この作品は、文学史では「通俗的」のひとことで片づけられていますが、筆者はけっこう好きだったりします。
 また、日比野光鳳常任総務が釈迢空の歌
「葛の花ふみ
 しだかれて色
 あたらしこの山道
 を行きし人あり」
を書いた作品もしみじみとして好きでした。

 以上、雑駁とした感想でした。


2008年11月19日(水)-23日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌パークホテル(中央区南10西3)

読売書法会創設25周年記念特別展「北海道を創った人たち」展
第24回
第23回


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