自由部門に7059人、29741点、ネイチャーフォト部門に4609人、15154点の応募があった、国内最大規模のコンテスト。
これを見ていると、まだまだフィルムは生きている-という思いを強くします。
なお、今回の審査は、自由部門が齋藤康一、織作峰子の両氏、ネイチャーフォト部門が川口邦雄、中村征夫の両氏と、富士フイルム株式会社が行いました。
このような大きな規模のコンテストなので、道内からの上位入賞はなかなかむつかしいものがあります。
それなので、ことし自由部門で、道内の石島忍さんが、グランプリに次ぐ金賞の5点の中に入ったことは、快挙といって良いと思います。
石島さんの受賞作「惜春」は、地面の上と、駐車中の車の上に、桜の花びらがびっしりと散り敷いている様子をとらえた1枚。
ここまで花びらで被われている車というのは、あまり見かけません。函館ナンバーなので、石島さんは道南の方でしょうか。
画面の左上を黒い猫が歩きすぎているのが、グッドタイミングです。
考えてみれば、満開の桜の木にレンズを向ける人は大勢いますし、流れる水の上の花びらをスローシャッターで撮影するカメラマンも多いのですが、思い切って、散った後の花びらだけに焦点を絞った人は、意外と少ないのではないでしょうか。発想の転換の勝利だと思います。
なお、石島さんは、ネイチャーフォト部門でも「冬の丘」が優秀賞に選ばれており、ダブル受賞となりました。おめでとうございます。
「惜春」のとなりにあった、加藤寿俊さん(兵庫)「不測の事態」もユニークな作品です。
流鏑馬(やぶさめ)で、古典的な装束に身を包んだ男性が、バランスを失って馬から落ちようとする一瞬です。「まずい!」という感じの、男性の表情がなんともいえません。このコンマ数秒後に男性は地面に落下したのでしょう。
こちらも、発想の転換の勝利といえます。流鏑馬が成功した瞬間の写真は多くの人によって撮られているでしょうが、落馬直前というタイミングは、なかなかねらえないのではないかと思います。
筆者の好みでいえば、銀賞の、宮本香子さん(鳥取)「曼珠沙華」も佳作だと感じました。
夕方の田舎道で、後ろ手に曼珠沙華を持ったワンピース姿のはだしの少女が、こちらを振り向いています。
もし男性が撮っていれば、どうしても色気みたいのが出てしまうんでしょうけど、この撮影者は母親かな? とてもさわやかな写真です。
銅賞では、道内の塩谷洋次さん「校長先生のおはなし」も、目を引きました。
小さな体育館で、横一列になって校長先生(女性)の話を聞いている児童が6人、そのわきに先生2人と校務の方らしい男性が1人-という、ちょっとさびしい1枚です。児童6人のうち女の子が5人のようで、これは男子が気の毒だなあ。小さな学校らしく、いじめもなくて、元気に学び、遊んでいるのではないかと思うのですが。
これはどこの学校かなあ。
体育館の後ろにある地図からおして、海沿いの学校のようです。
さて、ネイチャーフォト部門は、北海道勢が強いのではないかと思われがちですが、そして実際、ことしの優秀賞は、都道府県別では北海道が最も多いのですが、グランプリや金賞は例年本州勢がかっさらっていきます。どう見ても道内で撮影したとおぼしき写真もあるのですが…。
ただ、全体的に(この種の展覧会で全体的な傾向を云々するのはあまり意味がないかもしれませんが)、既視感の漂う、教科書的な作品が多くて、たしかに見事なんだけれど、意外な驚きのようなものはあまり感じられませんでした。
08年7月25日(金)-30日(水)10:00-18:30
富士フイルムフォトサロン(中央区北3西3、札幌北三条ビル 地図A)
□富士フイルムフォトコンテスト http://www.fujifilm.co.jp/fpc/
■第46回
これを見ていると、まだまだフィルムは生きている-という思いを強くします。
なお、今回の審査は、自由部門が齋藤康一、織作峰子の両氏、ネイチャーフォト部門が川口邦雄、中村征夫の両氏と、富士フイルム株式会社が行いました。
このような大きな規模のコンテストなので、道内からの上位入賞はなかなかむつかしいものがあります。
それなので、ことし自由部門で、道内の石島忍さんが、グランプリに次ぐ金賞の5点の中に入ったことは、快挙といって良いと思います。
石島さんの受賞作「惜春」は、地面の上と、駐車中の車の上に、桜の花びらがびっしりと散り敷いている様子をとらえた1枚。
ここまで花びらで被われている車というのは、あまり見かけません。函館ナンバーなので、石島さんは道南の方でしょうか。
画面の左上を黒い猫が歩きすぎているのが、グッドタイミングです。
考えてみれば、満開の桜の木にレンズを向ける人は大勢いますし、流れる水の上の花びらをスローシャッターで撮影するカメラマンも多いのですが、思い切って、散った後の花びらだけに焦点を絞った人は、意外と少ないのではないでしょうか。発想の転換の勝利だと思います。
なお、石島さんは、ネイチャーフォト部門でも「冬の丘」が優秀賞に選ばれており、ダブル受賞となりました。おめでとうございます。
「惜春」のとなりにあった、加藤寿俊さん(兵庫)「不測の事態」もユニークな作品です。
流鏑馬(やぶさめ)で、古典的な装束に身を包んだ男性が、バランスを失って馬から落ちようとする一瞬です。「まずい!」という感じの、男性の表情がなんともいえません。このコンマ数秒後に男性は地面に落下したのでしょう。
こちらも、発想の転換の勝利といえます。流鏑馬が成功した瞬間の写真は多くの人によって撮られているでしょうが、落馬直前というタイミングは、なかなかねらえないのではないかと思います。
筆者の好みでいえば、銀賞の、宮本香子さん(鳥取)「曼珠沙華」も佳作だと感じました。
夕方の田舎道で、後ろ手に曼珠沙華を持ったワンピース姿のはだしの少女が、こちらを振り向いています。
もし男性が撮っていれば、どうしても色気みたいのが出てしまうんでしょうけど、この撮影者は母親かな? とてもさわやかな写真です。
銅賞では、道内の塩谷洋次さん「校長先生のおはなし」も、目を引きました。
小さな体育館で、横一列になって校長先生(女性)の話を聞いている児童が6人、そのわきに先生2人と校務の方らしい男性が1人-という、ちょっとさびしい1枚です。児童6人のうち女の子が5人のようで、これは男子が気の毒だなあ。小さな学校らしく、いじめもなくて、元気に学び、遊んでいるのではないかと思うのですが。
これはどこの学校かなあ。
体育館の後ろにある地図からおして、海沿いの学校のようです。
さて、ネイチャーフォト部門は、北海道勢が強いのではないかと思われがちですが、そして実際、ことしの優秀賞は、都道府県別では北海道が最も多いのですが、グランプリや金賞は例年本州勢がかっさらっていきます。どう見ても道内で撮影したとおぼしき写真もあるのですが…。
ただ、全体的に(この種の展覧会で全体的な傾向を云々するのはあまり意味がないかもしれませんが)、既視感の漂う、教科書的な作品が多くて、たしかに見事なんだけれど、意外な驚きのようなものはあまり感じられませんでした。
08年7月25日(金)-30日(水)10:00-18:30
富士フイルムフォトサロン(中央区北3西3、札幌北三条ビル 地図A)
□富士フイルムフォトコンテスト http://www.fujifilm.co.jp/fpc/
■第46回