(承前)
すみません、ぼさぼさしていたら、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた非常事態宣言が北海道に出されたため、8月29日で展覧会は打ち切りになってしまいました。
この美術館はかつての本郷新のアトリエをもとにしたものです(ただし、向かって左側の本館は新築したもの)が、本郷以外にも多くの芸術家が拠点とした宮の森と、となりの円山西町をテーマにした展覧会です。
下に展示リストをコピー&ペーストしておきましたが、要するに本郷の小品と國松明日香の1点を除いてはすべて札幌芸術の森美術館から借りてきた作品です。
冒頭画像は、本郷の彫刻と、八木保次「作品・緑」。
八木保次の作品がまとまって見られるのは、かつて札幌芸術の森美術館が企画し開いた「八木保次・伸子展」以来ではないかと思われます。
八木夫妻は戦後しばらく東京・池袋にアトリエを構えていたのですが、札幌・宮の森に移ってきたのでした。
次は伸子さんの「二月の室内」。
彼女への、ボナールの影響はあるとは思うのですが、それを完全に咀嚼し、北海道の雪の白が色を封じ込めているように見えます。うまくいえないのですが、雪原が、華麗な色の数々をその下に隠しているような、そんな豊かさを見ているうちに感じてくるのです。
1. 本郷新《朝》1978年 ブロンズ 本郷新記念札幌彫刻美術館
2. 国松登《氷上のひと》1985年 油彩、キャンバス
3. 国松登《氷上のけものたち》1987年油彩、キャンバス
4. 本田明二《風の中のマント群像》1985年 木
5. 本田明二《マント -風-》1985年 木(タモ)
6. 本田明二《杜の守り神》1987年 木(カツラ)
7. 八木保次《黒の風景》1983年 油彩、キャンバス
8. 八木保次《季節風》1984年 油彩、キャンバス
9. 八木保次《作品・緑》1991年 油彩、キャンバス
10. 八木伸子《秋の野》1988年 油彩、キャンバス
11. 八木伸子《二月の室内》1991年 油彩、キャンバス
12. 大本靖《マッカリの山》1993年 木版、紙
13. 大本靖《沼の平》1976年 木版、紙
14. 大本靖《北の桜》1977年 木版、紙
15. 大本靖《樹氷の渓》1981年 木版、紙
16. 大本靖《ダケカンバ》1983年木版、紙
17. 大本靖《針葉樹》1987年 木版、紙
18. 大本靖《春陽》1987年木版、紙
19. 大本靖《ようてい》1993年 木版、紙
20. 阿部典英《オヨメサン ニ アキゲシキ》1993年 木、アクリル絵具、ニス
21. 阿部典英《オヨメサン ヘ ハルゴコロ》1993年 木、アクリル絵具、ニス
22. 國松明日香《秋霖》2006年 鉄、ステンレス鋼
23. 國松明日香《宵の明星》2009年 鉄、ステンレス鋼 個人蔵
国松登さんの2点。
左の「氷上のけものたち」は、暖色がかなり多く用いられており、他の「氷上」シリーズとはちょっと変わった感じがします。
その次は、大本さんの作品の中でも大きいほうに属する「沼の平」。
大雪山系をモティーフにしています。大きくとった余白が、この北海道の屋根である山岳地帯のスケール感を表現しているかのようです。
最後の画像は、小樽に拠点を移して80代のいまも精力的に制作を続ける阿部典英さんの作品です。
で、個人的にちょっとひっかかったことは、國松父子も阿部典英さんも、宮の森じゃなくて円山西町にアトリエを構えていたんですね。
どちらもいまは中央区西郊の閑静な高級住宅街というイメージなのですが、筆者のような老人札幌っ子からすると、宮の森は琴似町、円山西町は旧円山村じゃないのかという、まあ現代の人からみたらどうでもいいような違和感があるのです。
札幌が政令指定都市になって区制を敷くときも、もともと琴似町の範囲だった宮の森や盤渓が琴似区(西区の仮称)ではなくて中央区だということについて、すこし議論があったことを覚えておられる方もいるでしょう(いや、もうほとんどいないかな)。
いずれにしても、本郷新や八木夫妻が引っ越して来たときは、まだ付近に畑やスキーゲレンデがあったことでしょう(昔はリフトのないゲレンデというのが存在した)。
現在は、宮の森の中でもとりわけ美術館の周辺は、超高級住宅街になっています。もっとも、25年も美術館に足を運んでいるうち、すこしずつ家がたてかわり、巨大な邸宅がたっていた区画が売りに出されたりして、たたずまいは変わりつつあるようです
蛇足ながら。
宮の森にアトリエを一時構え、札幌芸術の森美術館にも所蔵品のある有名な彫刻家がいたのですが、なぜか今回は出品していないようですね。
2021年7月13日(火)~2021年8月31日(火)午前10時~午後5時(最終入館は午後4時30分まで)、月曜休み(ただし8月9日は開館し10日休館)→8月29日で打ち切り
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)
一般 500(400)円、65歳以上400(団体320)、高校・大学生 300(250)円、中学生以下 無料
※( )内は10人以上の団体料金
すみません、ぼさぼさしていたら、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた非常事態宣言が北海道に出されたため、8月29日で展覧会は打ち切りになってしまいました。
この美術館はかつての本郷新のアトリエをもとにしたものです(ただし、向かって左側の本館は新築したもの)が、本郷以外にも多くの芸術家が拠点とした宮の森と、となりの円山西町をテーマにした展覧会です。
下に展示リストをコピー&ペーストしておきましたが、要するに本郷の小品と國松明日香の1点を除いてはすべて札幌芸術の森美術館から借りてきた作品です。
冒頭画像は、本郷の彫刻と、八木保次「作品・緑」。
八木保次の作品がまとまって見られるのは、かつて札幌芸術の森美術館が企画し開いた「八木保次・伸子展」以来ではないかと思われます。
八木夫妻は戦後しばらく東京・池袋にアトリエを構えていたのですが、札幌・宮の森に移ってきたのでした。
次は伸子さんの「二月の室内」。
彼女への、ボナールの影響はあるとは思うのですが、それを完全に咀嚼し、北海道の雪の白が色を封じ込めているように見えます。うまくいえないのですが、雪原が、華麗な色の数々をその下に隠しているような、そんな豊かさを見ているうちに感じてくるのです。
1. 本郷新《朝》1978年 ブロンズ 本郷新記念札幌彫刻美術館
2. 国松登《氷上のひと》1985年 油彩、キャンバス
3. 国松登《氷上のけものたち》1987年油彩、キャンバス
4. 本田明二《風の中のマント群像》1985年 木
5. 本田明二《マント -風-》1985年 木(タモ)
6. 本田明二《杜の守り神》1987年 木(カツラ)
7. 八木保次《黒の風景》1983年 油彩、キャンバス
8. 八木保次《季節風》1984年 油彩、キャンバス
9. 八木保次《作品・緑》1991年 油彩、キャンバス
10. 八木伸子《秋の野》1988年 油彩、キャンバス
11. 八木伸子《二月の室内》1991年 油彩、キャンバス
12. 大本靖《マッカリの山》1993年 木版、紙
13. 大本靖《沼の平》1976年 木版、紙
14. 大本靖《北の桜》1977年 木版、紙
15. 大本靖《樹氷の渓》1981年 木版、紙
16. 大本靖《ダケカンバ》1983年木版、紙
17. 大本靖《針葉樹》1987年 木版、紙
18. 大本靖《春陽》1987年木版、紙
19. 大本靖《ようてい》1993年 木版、紙
20. 阿部典英《オヨメサン ニ アキゲシキ》1993年 木、アクリル絵具、ニス
21. 阿部典英《オヨメサン ヘ ハルゴコロ》1993年 木、アクリル絵具、ニス
22. 國松明日香《秋霖》2006年 鉄、ステンレス鋼
23. 國松明日香《宵の明星》2009年 鉄、ステンレス鋼 個人蔵
国松登さんの2点。
左の「氷上のけものたち」は、暖色がかなり多く用いられており、他の「氷上」シリーズとはちょっと変わった感じがします。
その次は、大本さんの作品の中でも大きいほうに属する「沼の平」。
大雪山系をモティーフにしています。大きくとった余白が、この北海道の屋根である山岳地帯のスケール感を表現しているかのようです。
最後の画像は、小樽に拠点を移して80代のいまも精力的に制作を続ける阿部典英さんの作品です。
で、個人的にちょっとひっかかったことは、國松父子も阿部典英さんも、宮の森じゃなくて円山西町にアトリエを構えていたんですね。
どちらもいまは中央区西郊の閑静な高級住宅街というイメージなのですが、筆者のような老人札幌っ子からすると、宮の森は琴似町、円山西町は旧円山村じゃないのかという、まあ現代の人からみたらどうでもいいような違和感があるのです。
札幌が政令指定都市になって区制を敷くときも、もともと琴似町の範囲だった宮の森や盤渓が琴似区(西区の仮称)ではなくて中央区だということについて、すこし議論があったことを覚えておられる方もいるでしょう(いや、もうほとんどいないかな)。
いずれにしても、本郷新や八木夫妻が引っ越して来たときは、まだ付近に畑やスキーゲレンデがあったことでしょう(昔はリフトのないゲレンデというのが存在した)。
現在は、宮の森の中でもとりわけ美術館の周辺は、超高級住宅街になっています。もっとも、25年も美術館に足を運んでいるうち、すこしずつ家がたてかわり、巨大な邸宅がたっていた区画が売りに出されたりして、たたずまいは変わりつつあるようです
蛇足ながら。
宮の森にアトリエを一時構え、札幌芸術の森美術館にも所蔵品のある有名な彫刻家がいたのですが、なぜか今回は出品していないようですね。
2021年7月13日(火)~2021年8月31日(火)午前10時~午後5時(最終入館は午後4時30分まで)、月曜休み(ただし8月9日は開館し10日休館)→8月29日で打ち切り
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)
一般 500(400)円、65歳以上400(団体320)、高校・大学生 300(250)円、中学生以下 無料
※( )内は10人以上の団体料金