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■鈴木悠高・個展-Evolution- vol.5 (10月23日まで)

2010年10月19日 00時02分17秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 札幌の若手画家鈴木悠高さんは、精力的に個展を開くほか、北海道抽象派作家協会の同人としても活躍している。さらに、道外も含めた若手のグループ展「loop」を組織するなど、活動ぶりはめざましい。

 濃淡の上に黄色を重ねた作品のみで会場を構成してきた鈴木さんだが、春の北海道抽象派作家協会展で、画面に変化の兆しが見られた。

 その後
「フォンタナのように、有機的な線を取り入れる試み」
にも取り組んだということだが、今回は、画面の上端から下端まで、おなじく黄色系統のストライプをひく作風で、全体を統一した。


 ストライプは幅数センチとやや太く、すべて画面に垂直に引かれている。
 また、画面を、左端から右端までほぼ覆っている。
 ただし、それぞれの帯の幅は微妙に異なる。
 さらによく見ると、画面の地と思えた部分が途中から帯になり、帯と思われた部分が地になるなど、地と図の関係が入れ替わっているところもある。

 画面に変化をつけている、下のレイヤー(層)の濃淡は、これまでのモノトーンから、やや緑色をおびているようである。
(鈴木さんの絵の色の濃淡は、黄色が濃かったり薄かったりしているのではない)

 垂直の帯という点では抽象表現主義のニューマンを思い出させるし、繰り返し引かれた線ということでは初期のフランク・ステラやドナルド・ジャッドを連想させる。
 ただし鈴木さんの絵がそれらミニマル・アートと根本的に異なっているのは、どこか手の痕跡のあたたかさを感じさせる点だと思う。
 彼はそれを
「デジタルへの抵抗感」
と表現していたが、もともとミニマルアートやコンセプチュアルアートには筆跡や筆触は不要なものである。幾何学的な「冷たい抽象」でもそれは同様だろう。
 幾何学的でありながら、どこかに人間的でアナログな要素を残そうとするのが、鈴木さんの絵画なのだと思う。


 出品作は次のとおり。
Yellow line 01
Yellow line 02
Yellow line 03
Yellow line 04
Yellow line 05
Yellow line 06
Yellow line 07
Yellow line 08=左上の画像=
Yellow line mini 01
Yellow line mini 02
Yellow line mini 03
Yellow line mini S01
Yellow line mini S02
Yellow line mini S03



2010年10月18日(月)~23日(土)10:00~6:00(最終日~5:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)


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