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■札幌デザイナー学院卒業展・続き (2月14日で終了)

2010年03月06日 22時13分30秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
承前

 冒頭画像は、角幡初実さん「Sea Prism」。

 海底をイメージしたインスタレーション自体は、それほど珍しくないのだが、近づいてみると…。





 な、なんと!
 魚の素材になっているのは、お寿司の出前やコンビニ弁当などでおなじみの、小さなしょうゆ入れなのだ(正式名称はわからない)。
 魚だけではなく、床の上の海藻みたいなものも、すべてがしょうゆ入れでできている。
 中に色のついた水を詰めているようだ。
 いったい何個を使っているのだろう。たいへんな労作だ。


 

 玉木夏子さん「公園遊具の提案「who used the biglight !?」。
 この角度から撮ると、童話のこびとになったみたい。
 遊具の提案は作っていても楽しいだろうし、見ていても童心に帰れる。




 井上歩美さん「あなたと小部屋の物語」。
 今回の卒展では、見る人のノスタルジーを刺戟しげきするインスタレーション型の作品が目についた。どれも力作だけど、いちばん先に、目にとまった作品から。
 古い板を活用した小屋の中に、ちいさな作品がならんでいる。単に懐かしいものを寄せ集めただけではない、作者なりの世界観が一貫しているのが良いと思う。


 


 ファッション学科の卒業制作から2点。
 黄色のモコモコがたのしい笠原麻也「Montblanc girl」。
 その名の通り、ケーキのモンブランを衣服にしてみたという、大胆な作。でも、ちゃんと服になっている。

 もうひとつは、猪股未佳子「Pair the pattern..」。
 この手のデザインは、スケッチブックにしじゅう鉛筆を走らせている人なら、一度は思いつくのではないかと想像するのだが、実際に型紙に起こして立体にまでしてしまうまでのハードルは、ひとつやふたつではないと思う。
 力業だなあ。




 最後は、作者の名前を出すのは差し控えた方がいいと思うのだが、まゆみさんの「拒食症と過食症サポート「おいしく、たのしく、たべたいね」。
 自ら拒食症と過食症に苦しんでいた人ならではの、やさしさに満ちた献立プランなのだ。
 個人的には、そのやさしさに、全作品のなかでいちばん感動を受けた。
 これが、「アート」であるかどうかは、どうでもいいことなのだ。
 このプランが、栄養の専門家の助言などを得て実現化すれば、救われる人がどれだけいるだろう。


 エントリのアップが大幅に遅れたことをおわびいたします。


2010年2月11日(木)~2月14日(日)10:00-7:00(最終日-3:00)
札幌デザイナー学院(中央区大通西9)


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