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■女抽象三人展 (2015年5月25日~30日、札幌)

2015年05月30日 08時05分21秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 野口秀子、丸藤真智子、赤石操の3氏による絵画展。
 いま「抽象・具象」というくくりに、どれだけの意味があるのかはさておいて、三者三様の絵画が楽しめる。

 野口さんは道展水彩の会員。
 丸藤さんは昨年、新道展で協会賞に輝き、いまは新道展会友。
 赤石さんは一昨年、新道展で協会賞。丸藤さんと同じく新道展会友である。


 冒頭画像は丸藤(がんどう)さんの「月の花」(左)と「アジアの中の小さな雨」。
 「アジア…」は数年前の作という。

 丸藤さんは以前、家族の名前のイニシャルからとった「MAG・まちこ」名義で個展を開いたり、北海道抽象派作家協会展に出品したりしていた。抽象画のベテラン、丸藤(まるふじ)信也さんの奥さんと誤解されることもあったためという。
 しばらく介護などで制作から離れていたが、この数年はまた活発に絵筆を執っている。

 彼女の絵の魅力は、ごわごわした独特のマチエールだろう。これは、写真ではなかなかわからない。
 「月の花」は、ほとんど絵の具の凹凸だけで画面が構成されている。
 また、ミロの影響も感じられる太い線も楽しい。

 これらの美質は小品よりも、サイズの大きな作品のほうで発揮されやすいと思う。
 ほかに「青いドレスの王女」「あそぼ」「青い雨」「黄色いマチ」「青い花」「土のカオ」。
 



 野口秀子さん。左から「かすかな虹」「いちごノート」。

 先日のスカイホールでの個展でも感じたのだが、野口さんは相当なテクニシャンである。

 かすれたような線、矩形などかたちの配置、色のバランス、どれをとっても、考え抜かれており、小さな画面の中に広い空間を感じ取れる作品が並ぶ。
 また「水とあそぶ」のように、はっと驚かされるような美しい、緑がかった青が広がっている絵もある。

 ほかに「フラワーガーデン」「水の森」(同題2点)、「あかり」「春さがし」「耳をすまして」。




 赤石さんは「風景」「seed」「a walk」(同題4点)の6点を出品。

 個人的には、水野スミ子さんが率いるグループ「千展」での、迫力ある大作の印象が強いので、額装された比較的小さなサイズの作品が並ぶと、いつもよりおとなしいな~という感想を抱いてしまう。
 淡い色で、モティーフとなる物体の本質的なものを手探りしつつ、現れた絵画は、物体の表面をなぞるのではない、抽象的なものになったというふうに、筆者は見たのだが、果たしてどうなのだろうか。


2015年5月25日(月)~30日(土)午前11時~午後7時(最終日~午後5時)
ギャラリーたぴお(中央区北2西2 道特会館)



抽象展 7(2014)
'04 第三十一回北海道抽象派作家協会展
=丸藤さん出品

第8回千展 流動……(2008)
第19回そらいろ展 (2007)
第7回 千展
第6回千展
=赤石さん出品


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