亀井さんは札幌在住の新道展会員。柴崎さんは伊達にお住まいの二科展会友で、新道展にも出品しています。
ふたりとも室蘭の出身なのにくわえ、以前は二科展にも出品していたことから、4年ぶりの2人展が実現しました。
「2人展」といっても、亀井さんが下のフロア、柴崎さんが上のフロアで、実態はふたつの個展になっています。
亀井さんは21点を出品。うち4点がインスタレーションで、のこりが絵画です。
すべて題名はついていません。
モノクロームで、人間の体の部分をクローズアップして描くことで、人間存在の内奥に迫ろうとしているようです。
以前、二科展に出していたときは、もっとはなやかな画風だった亀井さん。
でも、それは「無理をしていた」と振り返ります。
もっと人間を突き詰めるには汚い物も描かなくてはと、或る年、トイレを大きく描いたら落選。
「でも、それで吹っ切れました」
と言う。
人間のほか、鳥を描いた小品もならんでいます。
亀井さんは
「売り絵みたいで…」
と謙遜していましたが、カラスのいる光景を、ポジとネガを反転させて描いたような画面は、なんだか凄絶ささえ帯びているようです。
柴崎さんは、船のたくさんある港の風景を、激しく素早い直線の集積で描く、独特の画風で知られています。
一見、黒の線が力いっぱい何本も引かれているだけのように見えるのですが、ちょっと離れてみると、船団が姿を現すのです。
今回は個展なので、山や海岸を描いた風景画の小品もあります。
直線の集まりではないのですが、きびしい線は、柴崎さんらしいと思います。
出品作は次のとおり。
「荒涼」
「イワオヌプリ」
「冬の風」
「冬のウトロ」
「北の空(遥か国後)」…3枚組
「船溜まり」(同題2点。上の画像)
「赤い船ある風景」
「霧多布岬」
「冬の能取岬」
「地球岬」
「花」
「大黒島(室蘭)」
「初冬の恵庭岳」
「斜里岳と湖」
07年11月22日(木)-27日(火)10:00-18:00(最終日-16:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階
地図A)
※以下、おもに亀井さんの過去の展覧会へのリンク
■亀井由利 心象世界(07年4月)
■BOOKS ART展(06年11月。画像なし)
■06年9月の個展
■LEBENS展(06年6月。画像なし)
■新道展50周年記念展(05年。画像なし)
■柴崎康男・亀井由利2人展(04年。画像なし)
■北海道二科支部展(02年。画像なし。3月16日の項)