■第10回透明水彩展 コロコニ （2016年5月17～22日、札幌）

　水彩画家・イラストレーターとして活躍する4人によるグループ展「コロコニ」もこれが10回目。
　残念ながら今年は、伊藤延男さんが都合で出品を休みましたが、代表の湯淺美恵さん、小路七穂子さん、石垣渉さんが小品を5点ずつ展示し、小規模ながらも見ごたえのある展覧会となっています。

　「コロコニ」とは、フキノトウをさすアイヌ語。
　冒頭画像は小路さんの絵で、左は「江別のコロコニたち」。
　フキノトウは、それ自体はモティーフになりやすい半面、周囲との調和を取るのが難しかったりしますが、小路さんは絵の具の飛沫を散らすなどの工夫で、モティーフが周囲ととけあうような画面をつくっています。
　右は「モエレ沼公園初夏」。こちらも淡い色調が特徴です。
　ほかに「桜」「大通公園で見つけた」「真狩村初夏」。「大通－」は桜を見ていたとき、ふと足元に見つけた小さな花で、名前はわからないとのことでした。




　湯淺美恵さんの風景は、ますます無名なものになっているようです。言いかえれば、絶景を崇高に描くのではなく、ありふれた風景に、いとおしい感情をこめて表現しているように感じられるのです。
　右は「真鍋庭園」ですが、帯広の庭らしさをあえて強調したところはどこにもありません。
　中央は「夏の花」、左は「仲間が集う一本の木」と題されていますが、人間の姿は見えません。
　ほかに「六花の丘」「薔薇 I」。
　筆者が見ていたとき、どこかの女性が「薔薇の花を寝かせて描くなんて！」と感心していました。なるほど。




　女性2人にくらべると石垣さんは色調がクリアです。
「こんなに彩度の高い色を入れて、大丈夫かな」とも思うのですが、あえて挑戦しているのでしょう。
　左は「上野・弁天堂の桜」、右は「礼文島・遊歩道から」。
　「上野―」は最近本州からの注文も多い石垣さんらしい作。「礼文―」は、高低差の大きく、むずかしい画題をうまくまとめています。
　ほかに「春の蝦夷富士」「春を待つ畑」は、石垣さんにしてはラフなタッチ。「利尻富士より」も出品。


2016年5月17日(火)～22日(日)午前9時～午後7時（最終日～5時）
札幌市資料館（中央区大通西13）


□行雲流水 石垣渉 水彩画の世界　http://www.ishigaki-w.com/
□伊藤延男のスケッチ画集　http://tonsketchbook.web.fc2.com/
□小路七穂子ギャラリー　http://www.photobb.net/bbs.cgi?id=22137
□湯淺美恵の水彩画廊 花明かり　http://blog.goo.ne.jp/miechacha55

■透明水彩展コロコニ （2015）

【告知】透明水彩コロコニ (2011)
■2009年
■透明水彩展 コロコニ（2008、画像なし）





・地下鉄東西線「西11丁目駅」から約290メートル、徒歩4分。「西18丁目駅」から約560メートル、徒歩7分

・じょうてつバス「西11丁目駅前」から約330～390メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「教育文化会館前」から約260メートル、徒歩4分
（小樽方面行き都市間高速バス、小樽・手稲方面行き快速・普通のバス、北大経由小樽行きを除く全便が止まります）

・市電「中央区役所前」から約420メートル、徒歩6分。同「西15丁目」から約430メートル、徒歩6分

・ジェイアール北海道バス「51　啓明線」（札幌駅前―北1西4―啓明ターミナル）で「大通西14丁目」降車、約350メートル、徒歩5分。

※駐車場はありません。周辺にコインパーキングが何カ所かあります。