北広島の上ノさんは陶芸家だが、やきもの以外の発表をしているほうが多いような気がする。
木を使ったり、竹を組み合わせたり、素材にこだわらない人なのだ。
今回のインスタレーションは、昨年の道銀本店らいらっく・ぎゃらりいでの個展と同様、竹ひごで制作した。
竹ひごは約1500本。すだれとして売られているものを、ほぐしたのだそうだ。
これを会期前半の6日間をかけて、会場いっぱいに組み上げた。
茶廊法邑の端から端までという巨大さ。
スケール感で、見る人を圧倒する。
数学にくわしい人なら「非ユークリッド幾何学」とかナントカ曲面などという言葉が出てくるのだろうし、ワームホールとかメビウスの輪なども思い出す。
ところどころで会場を引き締めている8個の四角形は、フェンスなどに使われる金網かと思いきや、これは、木枠を自作して白く塗り、竹ひごを組み合わせたもの。
この枠内で金網のように直線で規則的に交差していた竹ひごは、奥に進むにつれて曲線となり、のたうつ龍の胴体のような形で、会場内をうねる。
龍の胴体は、太くなったり細くなったり、二筋に分かれたりふたたび合流したり。
天井からつり下がった電球が5個。
それが影を作り出し、周囲の壁に映って、空間がますます複雑になる。
「昭和のSFみたいでしょ」
と上ノさんは笑う。
「内側の空間には気を遣いました」
上ノさんは、今年に入ってから、帯広の美術作家たちとともに米シカゴに滞在し、似た方法論でインスタレーションを制作した。
これは現地の人々を驚かせ、当初は展示期間が終われば撤去するはずだったが、いま保存に向けて検討しているという。
今回の作品は、いくつかの部分を「あかり」として再利用する予定だが、やはり取り壊すという。
もったいない話だが、いつまでも茶廊法邑の空間を占拠するわけにもいくまい。
技倆やコンセプトも人の心をとらえるが、スケールも人を感動させるに足る要素であることを、あらためて認識させられた個展だった(もちろん、それだけではないのだが)。
2018年10月3日(水)~14日(日)午前10時~午後6時、うち10日までは公開制作
茶廊法邑 (札幌市東区本町1の1)
関連記事へのリンク
■平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
■第26回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 上ノ大作々品展 (2017年1月)
■帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
■上ノ大作 器展 (2015)
■、ノ記 上ノ大作作品展 (2014)
■木が語る (2014年5月)
■防風林アートプロジェクト (2014)
■上ノ大作 作品展―森の生活― (2013)
■上ノ大作「ムノウノ人」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
■あな展(2010年)
■花のある暮らし 身近な自然と暮らし(2009年)
■新茶を愉しむ 旅する茶器(2009年)
■第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
■第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
■上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)
木を使ったり、竹を組み合わせたり、素材にこだわらない人なのだ。
今回のインスタレーションは、昨年の道銀本店らいらっく・ぎゃらりいでの個展と同様、竹ひごで制作した。
竹ひごは約1500本。すだれとして売られているものを、ほぐしたのだそうだ。
これを会期前半の6日間をかけて、会場いっぱいに組み上げた。
茶廊法邑の端から端までという巨大さ。
スケール感で、見る人を圧倒する。
数学にくわしい人なら「非ユークリッド幾何学」とかナントカ曲面などという言葉が出てくるのだろうし、ワームホールとかメビウスの輪なども思い出す。
ところどころで会場を引き締めている8個の四角形は、フェンスなどに使われる金網かと思いきや、これは、木枠を自作して白く塗り、竹ひごを組み合わせたもの。
この枠内で金網のように直線で規則的に交差していた竹ひごは、奥に進むにつれて曲線となり、のたうつ龍の胴体のような形で、会場内をうねる。
龍の胴体は、太くなったり細くなったり、二筋に分かれたりふたたび合流したり。
天井からつり下がった電球が5個。
それが影を作り出し、周囲の壁に映って、空間がますます複雑になる。
「昭和のSFみたいでしょ」
と上ノさんは笑う。
「内側の空間には気を遣いました」
上ノさんは、今年に入ってから、帯広の美術作家たちとともに米シカゴに滞在し、似た方法論でインスタレーションを制作した。
これは現地の人々を驚かせ、当初は展示期間が終われば撤去するはずだったが、いま保存に向けて検討しているという。
今回の作品は、いくつかの部分を「あかり」として再利用する予定だが、やはり取り壊すという。
もったいない話だが、いつまでも茶廊法邑の空間を占拠するわけにもいくまい。
技倆やコンセプトも人の心をとらえるが、スケールも人を感動させるに足る要素であることを、あらためて認識させられた個展だった(もちろん、それだけではないのだが)。
2018年10月3日(水)~14日(日)午前10時~午後6時、うち10日までは公開制作
茶廊法邑 (札幌市東区本町1の1)
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