たった2日間の、Nikkaさんの初個展。
ものしずかな、若い女性である。
これまでグループ展に参加したことが1度あるが、自作をこれほど多く展示するのは初めてという。
絵画およそ25点、人形の形をした立体が8点ほど。
ひとことで言うと、おどろおどろしい世界である。
目を背けたくなるような、でも、見たくなるような。
そんな不気味でおぞましい、幻想的な感じは、多くの作品に共通している。
変形した人体。宙に浮かぶ顔。その口から飛び出すピンク色の腕もしくは胸…。
かといって、いわゆるホラーとかスプラッタの世界観とは異なる。
Nikkaさんは「恐怖のための恐怖」を目的にしているのではないからだ。
西洋の宗教的儀式を背景に持つ、サタニズム(悪魔主義)などとは、どこかで通底しているように思えるが、やはり相違点も多い。黒がメーンのゴスロリ(ゴシックロリータ)とも重ならない。
じぶんの内面をなぞるように筆を走らせているのだろうか。
最初からこういうかたちやものを描こう-と決めて描きはじめるが、そのうち筆が進んでいくのだ-という意味のことを話していた。
「聖母子像」を意識して描いた-という作品「無題」。
(ちなみに、絵画はほとんどが「無題」となっている。題がついているのは1点だけだった)
メスやはさみを手にした、緑の服と帽子を身に着けてマスクを装着した2人のあいだに、胸を裂かれた裸の女の、体の一部が見える。避けた胸からは紫色のブドウのような粒粒が立ち上り、その上にはもうひとつの世界が、白い衣を着けた母子を中心に広がっている。
だが、赤子はひたいから角を生やし、その周囲では虫?とおぼしき生き物が、大きな待ち針で胸を貫かれたり、異様につめの長い両手の指先から伸びる糸によって開腹手術をされたりしている。
しかし、こんなふうに絵を説明したところで、あまり意味があるとも思えない。
Nikkaさんの絵が、オリジナルなものかは、筆者にはよくわからない。
すくなくても、アートの世界ではほとんど見たことのない表現である。
むしろ、アート以外のところにある図像が、アートの世界に侵略してきたような印象を受ける。
それはたとえば、アール・ブリュットのようでもあるし、少年のころ悪夢を見た後でそれを記録しようとしてノートの片隅にかいた走り書きのようでもある。あるいは、ロックのレコードジャケットなどには似たテイストのデザインがあるような気もするし、まったくないようにも思う。
筆者は、Nikkaさんが盗用しているといいたいわけではない。ここにある絵に隠された心性が、けっして孤立したものではないように思われるからこそ、どこかに、似たような図像があるような気がしてならないのだ。
ちょっと見には、ダリにも共通点があるように思われるが、ダリは超絶技巧で見せる側面もあるのに対し、失礼ながらNikkaさんはそれほど「巧い」というのではない。
ただ、巧いだけの絵よりは、はるかに個性的である。
スケッチブックを破った水彩画が多いのは、いささかビンボーくささもあるが、これもドローイングっぽくていいかも。
(3月1日一部追記)
額縁を自作しているのはおもしろい。アクリル板に、はんだごてを使って焦げた穴をたくさんあけているものもあった。
いろいろなイメージがてんこ盛りの絵にくらべ、人形のほうは作家性が出ているというか、作風がばらけていないように感じた。どれも、ウサギをデフォルメしている。周囲には恐竜化石の模型が散らばったり、鳥かごが置かれていることもある。
上の画像は「自殺志願者」。
顔をのぞき込むと、非常に暗鬱な気分になる。
こちらは、会場中央の卓上に寝そべっている「ジャンキードランカー」。
お尻には…。
人形はほかに「ウジ虫野郎ウージー」「無題」「腰痛生理レッドブラッド」「きのたん」「視線恐怖症」「成金欲深」。
四谷シモンからインスパイアを受けているらしいが、シモンよりも病的な感じが強い。
若さゆえの絶望感や焦り。世界への不信。そして高揚感。
そういったものをすらすらと表現できる期間というのは、じつはそれほど長くないのが普通だし、とくに表現しないまますごしてしまう人だって多い。
Nikkaさんは、筆を手にしてしまったのだから、描けるだけ描いてほしいと思う。
狂った世界に対峙するには、描き続けるしかないのだ。たぶん。
ところで「Nikka」とは、姓からつけたニックネーム。
「ウイスキーとは関係ありません。お酒は飲むけど、ウイスキーは飲めないんです」
とのこと。
2009年2月27日(金)、28日(土)11:00-19:00
ART-MAN Gallery(中央区南4東4)
□http://sky.geocities.jp/xxx1988620/
・地下鉄東西線「バスセンター前」駅7番出口から徒歩6分
・地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅1番出口から徒歩9分
・中央バス「南4東1」から徒歩3、4分(市民会館前の「北1条」、ジュンク堂近くの「南1条」から乗ると、大半の便で数分で着きます)
ものしずかな、若い女性である。
これまでグループ展に参加したことが1度あるが、自作をこれほど多く展示するのは初めてという。
絵画およそ25点、人形の形をした立体が8点ほど。
ひとことで言うと、おどろおどろしい世界である。
目を背けたくなるような、でも、見たくなるような。
そんな不気味でおぞましい、幻想的な感じは、多くの作品に共通している。
変形した人体。宙に浮かぶ顔。その口から飛び出すピンク色の腕もしくは胸…。
かといって、いわゆるホラーとかスプラッタの世界観とは異なる。
Nikkaさんは「恐怖のための恐怖」を目的にしているのではないからだ。
西洋の宗教的儀式を背景に持つ、サタニズム(悪魔主義)などとは、どこかで通底しているように思えるが、やはり相違点も多い。黒がメーンのゴスロリ(ゴシックロリータ)とも重ならない。
じぶんの内面をなぞるように筆を走らせているのだろうか。
最初からこういうかたちやものを描こう-と決めて描きはじめるが、そのうち筆が進んでいくのだ-という意味のことを話していた。
「聖母子像」を意識して描いた-という作品「無題」。
(ちなみに、絵画はほとんどが「無題」となっている。題がついているのは1点だけだった)
メスやはさみを手にした、緑の服と帽子を身に着けてマスクを装着した2人のあいだに、胸を裂かれた裸の女の、体の一部が見える。避けた胸からは紫色のブドウのような粒粒が立ち上り、その上にはもうひとつの世界が、白い衣を着けた母子を中心に広がっている。
だが、赤子はひたいから角を生やし、その周囲では虫?とおぼしき生き物が、大きな待ち針で胸を貫かれたり、異様につめの長い両手の指先から伸びる糸によって開腹手術をされたりしている。
しかし、こんなふうに絵を説明したところで、あまり意味があるとも思えない。
Nikkaさんの絵が、オリジナルなものかは、筆者にはよくわからない。
すくなくても、アートの世界ではほとんど見たことのない表現である。
むしろ、アート以外のところにある図像が、アートの世界に侵略してきたような印象を受ける。
それはたとえば、アール・ブリュットのようでもあるし、少年のころ悪夢を見た後でそれを記録しようとしてノートの片隅にかいた走り書きのようでもある。あるいは、ロックのレコードジャケットなどには似たテイストのデザインがあるような気もするし、まったくないようにも思う。
筆者は、Nikkaさんが盗用しているといいたいわけではない。ここにある絵に隠された心性が、けっして孤立したものではないように思われるからこそ、どこかに、似たような図像があるような気がしてならないのだ。
ちょっと見には、ダリにも共通点があるように思われるが、ダリは超絶技巧で見せる側面もあるのに対し、失礼ながらNikkaさんはそれほど「巧い」というのではない。
ただ、巧いだけの絵よりは、はるかに個性的である。
スケッチブックを破った水彩画が多いのは、いささかビンボーくささもあるが、これもドローイングっぽくていいかも。
(3月1日一部追記)
額縁を自作しているのはおもしろい。アクリル板に、はんだごてを使って焦げた穴をたくさんあけているものもあった。
いろいろなイメージがてんこ盛りの絵にくらべ、人形のほうは作家性が出ているというか、作風がばらけていないように感じた。どれも、ウサギをデフォルメしている。周囲には恐竜化石の模型が散らばったり、鳥かごが置かれていることもある。
上の画像は「自殺志願者」。
顔をのぞき込むと、非常に暗鬱な気分になる。
こちらは、会場中央の卓上に寝そべっている「ジャンキードランカー」。
お尻には…。
人形はほかに「ウジ虫野郎ウージー」「無題」「腰痛生理レッドブラッド」「きのたん」「視線恐怖症」「成金欲深」。
四谷シモンからインスパイアを受けているらしいが、シモンよりも病的な感じが強い。
若さゆえの絶望感や焦り。世界への不信。そして高揚感。
そういったものをすらすらと表現できる期間というのは、じつはそれほど長くないのが普通だし、とくに表現しないまますごしてしまう人だって多い。
Nikkaさんは、筆を手にしてしまったのだから、描けるだけ描いてほしいと思う。
狂った世界に対峙するには、描き続けるしかないのだ。たぶん。
ところで「Nikka」とは、姓からつけたニックネーム。
「ウイスキーとは関係ありません。お酒は飲むけど、ウイスキーは飲めないんです」
とのこと。
2009年2月27日(金)、28日(土)11:00-19:00
ART-MAN Gallery(中央区南4東4)
□http://sky.geocities.jp/xxx1988620/
・地下鉄東西線「バスセンター前」駅7番出口から徒歩6分
・地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅1番出口から徒歩9分
・中央バス「南4東1」から徒歩3、4分(市民会館前の「北1条」、ジュンク堂近くの「南1条」から乗ると、大半の便で数分で着きます)
そのタイトルで座布団一枚で、行きたかったです。
さて今回の個展、写真を見て、、、、、、。
興味は大変そそられますが、足が足が二の足をー
(この言い回しあってるのかな?)
さて今日はお芝居に行ってきます。
毎回森迫さんがチラシやポスターを
手がけている人気の劇団、千年王國。
ちなみに劇団関係者からはですね、
「森迫王子」と呼ばれているそうです。
Nikkaさんの個展は初日と最終日だけで終わってしまいました。またスキルを上げて再登場することを願っています。
チョコは、まあ男が行ってもうれしくねえだろー、と思っていたこともあり、とうとういけませんでした。
さて、森迫くんですが、たしかにカワイイ顔してますもんね。「王子」と呼ばれるの、わかります。
でも、キャラクターが王子というわけではないですね。
Nikkaさんの初個展を告知するポスター発見!!
DMを大きくしたものですが、古本屋さんと
知り合いなのかな?
先日トオンギャラリーに寄ったら、
美専の生徒さんがしきりに「森迫先生」と
連呼されていました。
その口ぶりには尊敬の念が溢れています。
おおっ、かっこいいぞ。
エゾ三毛猫さんがトオンカフェにも出入りしていることを知り、わたしとけっこう同じ行動範囲なのにもかかわらず、いちどもお会いしたことがないというのがますます不思議に感じられる今日このごろです。