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北海道書道連盟創立50周年記念展(11月7日まで)

2006年11月06日 00時07分59秒 | 展覧会の紹介-書
 道内およそ250の書の団体の代表者の作品をあつめた展覧会。いやー、おもしろかったです。社中もあれば、地方の連盟もあり、社中を超えたグループもあり、全国規模の団体の北海道支部もありで、漢字、かな、近代詩文、墨象、篆刻、前衛と、じつに多彩です。

1.かなについて

 もともと帖や手紙に用いられ優美さを旨とするかなは、展覧会芸術になりにくいという根本的な難問を抱えているというのが、筆者の私見ですが、それを超えるべくさまざまな試行にとりくんでいる作品が多く、スリリングささえ感じました。
 滑志田方苾(くさかんむりに「必」)は、大字の額にちいさな文字の作品を組み合わせ、
 大門玉泉(苫小牧)や菅原京子は、幅のことなる2枚の紙を左右に配し、
 大川壽美子は、短歌の4句め途中である「たがへぬ星合の空」から上へと散らす、いささかアクロバティックな散らしを試み、
 長内敬子は、中村汀女の俳句の、最後の「月」一文字を左上にぽつんと散らし、
 反対に阿部和加子は、北原白秋の短歌のはじめの一文字「耳」を離して書いています。まさに、百花繚乱です。
 阿部は、かなの特徴である連綿体を逆手にとって字と字のあいだを直線でつなぎ、力強さを出しているのではないかと思います。
 一方で、長佐古良子や長縄沙恵子は、一文字一文字を区切って書き、流麗さに流れない書法です。
 また、垂木美穂子は若山牧水と山口誓子、木村征子は木下利玄と芭蕉といったふうに、作者のことなる歌句を1枚に書いていたのですが、こういうことはよくあるのでしょうか。

2.近代詩文

 かなにくらべると、もっと個性ゆたかに展開できそうなものですが、意外とバリエーションにとぼしかったのが惜しまれます。
 そんな中では、
飛沫が雨粒のように見える井川静芳、
余白が生かされ、さわやかな櫻井愴海(稚内)、
英語で「PianoMAN」と書いた山田起雲、
やはり余白を生かした辻井京雲
といったあたりが目を引きました。
 平田鳥閑は「もっと光を下さい(ゲーテのことば)」と書きましたが、余白のとりかたが大胆で、字の配置もユニークです。「下さい」をつけたのもおもしろい。
 
3.良寛問題

(以下別項)

(文中敬称略)

10月29日(日)-11月7日(火)
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D

北海道の書道の歴史をかんたんにまとめた「i word」のファイル


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