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■山本美次展 262∞ (2018年10月20~25日、札幌)

2018年10月23日 21時02分32秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 「262」とは、般若心経の文字数。
 「色即是空」など、短い中に仏教の根本要理が説かれ、日本人に古来もっとも親しまれてきた経典のひとつです。
 個展を中心にさかんに活動している山本美次さんは、前回もヒエログリフを題材にした平面作品の個展をおなじ会場で開いていました。今回の素材は「梵字」。漢訳される前の般若心経を書いたサンスクリット語の文字です。



 大きめの作品のバックは、板に自ら柿渋を塗ったもの。
 山本さんによると、柿渋は塗ると、木目が引き立つそうです。
 中央部の円形は粘土です。アクリル絵の具と面相筆の一種で、漢字の般若心経を書いています。
 さらにその中に置かれたドーナツ型は、しょうぶ学園(鹿児島市)ですいた和紙で、これに墨で梵字を書きました。 
 この厚手の和紙が、創作のヒントになったと、山本さんは話します。

 作品は、漢字で「是」「波羅」「有」「佛」「明」「知」「法」「真実」「究」「老」「色」「即」「心」「大」「想」「般若」。



 般若心経というと、写経を思い出します。
 普通は和紙に墨で書き、むしろ書道の一分野として扱われるのでしょうが、山本さんは絵の具で書いているのがおもしろいところです。
 般若心経はあくまで素材なのですが、かといって、単なる素材にとどまるものでもなく、そこに含まれる仏教の知恵についても山本さんなりに言いたいことがこめられているのでしょう。

 他に例のない、ユニークな作品群だと思います。 


2018年10月20日(土)~25日(木)午前11時~午後5時
GALLERY kamokamo(札幌市南区真駒内幸町1)


関連記事へのリンク
山本美次展 ヒエログリフによるコンポジション (2016)
山本美次展 光りをあつめて(2015)




・地下鉄南北線「真駒内駅」から約690メートル、徒歩9分

・じょうてつバス「南区役所前」から約380メートル、徒歩5分。中央バス「南区役所前」から約220メートル、徒歩3分


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