山本佳子さんは兵庫県西宮市さんに工房を構え、ガラス作品づくりに取り組んでいる。
今回は札幌圏では初の個展で、以前、帯広で、札幌拠点のマカオ出身の写真家シーズン・ラオさんと2人展を開いたことがあるという。
会場が、森の中にあり、大きなガラス窓越しに緑が見えるので、植物に近いかたちをした作品を中心に持ってきたという。
窓の手前に、インスタレーションふうに並ぶ作品は「Moon Seed Project -water scape 1-」「Moon Seed Project -Alsomitra-」。
全部で12本の花がすっくと立っている。
(帯広の2人展では、床の節穴に差し込み、床下から固定したとのこと)
背が高いが、上部の花にあたる部分ははすぽっと、茎にあたる部分から抜きはずせるようになっている。
花の部分だけ壁にかけて展示することも可能だし、また、ソケット状になっていて小さなLED電球を仕込むこともできるため電気スタンドとしても使えるそうだ。
それにしても、花弁の造形が、葉脈のように細かくて驚かされる。
これはもちろん吹きガラスではなく、ステンドグラスの制作とおなじ要領でガラスを細く切り、それをいくつか少しずつ重ねて並べてキルン(窯)で焼成すると、くっつくのだという。
サンドブラストをかけているので、手前は白っぽく、反対側は透明度が高くなっている。
繊細な文様は幻想世界の花のようだ。
ちょっと見ると、リアルな花に思われないこともないが、実際の植物に似せて作っているわけではない。
むしろ山本佳子さんは「どの作品でも、どこかに直線など、デザイン的なところを残している」という。
まあ、実物に似せるのでは、単なる造花になってしまい、わざわざ作る意味はないだろうと、筆者も思う。
人工の花だからこそ、北海道の大きな森と対峙できるのだろう。
次の画像は、案内状にもあった「Moon Seed Project -鳥になる種-」の3点。
ブロンズ鋳造とおなじ原理で作られているとのことで、粘土で作った原型に石膏をかぶせ、中にガラスをつめて焼成し、その後で石膏を取り除く。
透明なガラスの箱には小さな英文が印字されている。これはサンドブラストの技法を用いている。
「マスキングが大変でした」
と山本さんは笑うが、これがあるために、作品は時空を超えた標本箱のような不思議な雰囲気をたたえているのだと思う。
焼成の際にガラス分が縮むため、その補正にも苦労があるそうだ。
手前の小品コーナー。
動物の頭骨のような形状の作品もあり、山本さんが「植物系」ばかり作っているわけではないことがわかる。
ガラス瓶に入っている作品は「森の採集」。
手前の作品はパート・ド・テールという技法を用いていて、色の異なるガラスが組み合わされている。
花は散って、種になる。
種は風に乗ったり、鳥にくわえられたりして、遠くまで飛んでいき、そこでふたたび生命をつなぐ。
山本さんの言う「循環」とは、そういうことだと思う。
ガラスの植物が、まるでほんとうに命の繰り返しをうたっているように見えるのだ。
2018年7月9日(月)~18日(水)午前10時半~午後3時半、月火水のみ
黒い森美術館(北広島市富ケ岡509-22)
□ yamamotokeiko.net/
黒い森美術館へのアクセス
今回は札幌圏では初の個展で、以前、帯広で、札幌拠点のマカオ出身の写真家シーズン・ラオさんと2人展を開いたことがあるという。
会場が、森の中にあり、大きなガラス窓越しに緑が見えるので、植物に近いかたちをした作品を中心に持ってきたという。
窓の手前に、インスタレーションふうに並ぶ作品は「Moon Seed Project -water scape 1-」「Moon Seed Project -Alsomitra-」。
全部で12本の花がすっくと立っている。
(帯広の2人展では、床の節穴に差し込み、床下から固定したとのこと)
背が高いが、上部の花にあたる部分ははすぽっと、茎にあたる部分から抜きはずせるようになっている。
花の部分だけ壁にかけて展示することも可能だし、また、ソケット状になっていて小さなLED電球を仕込むこともできるため電気スタンドとしても使えるそうだ。
それにしても、花弁の造形が、葉脈のように細かくて驚かされる。
これはもちろん吹きガラスではなく、ステンドグラスの制作とおなじ要領でガラスを細く切り、それをいくつか少しずつ重ねて並べてキルン(窯)で焼成すると、くっつくのだという。
サンドブラストをかけているので、手前は白っぽく、反対側は透明度が高くなっている。
繊細な文様は幻想世界の花のようだ。
ちょっと見ると、リアルな花に思われないこともないが、実際の植物に似せて作っているわけではない。
むしろ山本佳子さんは「どの作品でも、どこかに直線など、デザイン的なところを残している」という。
まあ、実物に似せるのでは、単なる造花になってしまい、わざわざ作る意味はないだろうと、筆者も思う。
人工の花だからこそ、北海道の大きな森と対峙できるのだろう。
次の画像は、案内状にもあった「Moon Seed Project -鳥になる種-」の3点。
ブロンズ鋳造とおなじ原理で作られているとのことで、粘土で作った原型に石膏をかぶせ、中にガラスをつめて焼成し、その後で石膏を取り除く。
透明なガラスの箱には小さな英文が印字されている。これはサンドブラストの技法を用いている。
「マスキングが大変でした」
と山本さんは笑うが、これがあるために、作品は時空を超えた標本箱のような不思議な雰囲気をたたえているのだと思う。
焼成の際にガラス分が縮むため、その補正にも苦労があるそうだ。
手前の小品コーナー。
動物の頭骨のような形状の作品もあり、山本さんが「植物系」ばかり作っているわけではないことがわかる。
ガラス瓶に入っている作品は「森の採集」。
手前の作品はパート・ド・テールという技法を用いていて、色の異なるガラスが組み合わされている。
花は散って、種になる。
種は風に乗ったり、鳥にくわえられたりして、遠くまで飛んでいき、そこでふたたび生命をつなぐ。
山本さんの言う「循環」とは、そういうことだと思う。
ガラスの植物が、まるでほんとうに命の繰り返しをうたっているように見えるのだ。
2018年7月9日(月)~18日(水)午前10時半~午後3時半、月火水のみ
黒い森美術館(北広島市富ケ岡509-22)
□ yamamotokeiko.net/
黒い森美術館へのアクセス