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■画家たちのパリ (7月20日まで)

2009年07月02日 20時48分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 市立小樽美術館の開館30周年記念展。
 ふだんは、中村善策の絵画を展示している1階のスペースを、「第1部 青春の巴里」と題して、1910-20年代に小樽からパリに遊学し道内洋画壇の草分けとなった工藤三郎、小寺健吉、長谷川昇の3人の画業を特集。2階では、同時代のエコール・ド・パリの画家たちをとりあげている(一部、2階にも)。

 非常に見ごたえのある展覧会になっているが、ふだんから道立近代美術館に通っているようなコアな愛好家はわざわざ足を運ばないかもしれない。
 2階の「エコール・ド・パリの群像」の展示品は、白樺文学館の佐野力さんの所蔵品数点をのぞいて、すべて道立近代美術館から借りてきたものだからである。
 キース・ヴァン・ドンゲン、キスリング、シャガール、スーチン、ユトリロ、ローランサン、パスキンなど、「キンビ」のこれくしょん・ぎゃらりいでおなじみの絵がほとんどなのだ。
(藤田嗣治の絵が展示されていないのは、昨年夏のレオナール・フジタ展がまだ巡回中のためであろう)

 個人的に目を引いたのは、作品よりも、くだんの3人の資料類であった。
 昨年のフジタ展の目玉であった「争闘」を前に、おかっぱ頭の藤田が写っている写真や、書簡などが、当時の空気を運んできてくれるようだ。
 まだ欧洲へ行くのがたいへんな大事業であった時代に、3人もパリで絵を学んでいるということは、当時の小樽がいかに好景気に沸いていたかの証左だろう。

 3人の絵では、工藤「ビアンクール(セーヌ河)」がいちばん好きだ。
 水色の細い線で川と人々を描いており、しみじみとした情感が伝わってくる。
 この3人でけっきょく自分なりのスタイルを見つけえたのは工藤だけではないのかという気もする。
 工藤がいちばん早く世を去ってしまったのであるが…。

 道内で最も早い洋画グループ展は、小樽で渡仏前に3人が開いた「羊蹄画会」であったという。1907年であった。
 ここから北海道の近代美術が始まっていくわけで、この3人がまいた種は大きかったといえよう。  


2009年5月23日(土)-7月20日(月)9:30~17:00、月曜(最終日を除く)休み
市立小樽美術館(小樽市色内2)



一般1000円、高校生500円、中学生以下・障碍者無料、小樽市内の高齢者500円


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
旭川美術館? (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-05 18:57:52
たしかいまやってるヨーロッパ絵画展は、昨年大丸札幌店で開かれていたのと同じ内容だと思いますが…。
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Unknown (SH)
2009-07-05 11:26:14
もちろん、旭川美術館には行ってきましたが、あべさんが描いている瞬間にはお目にかかれませんでした。ご本人はいたので、ちょうど帰るか休憩に入るタイミングだったようです。
富貴堂もいかず、初めての彫刻美術館に行ってきました。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-04 16:23:53
うーん、もちろん、白樺文学館とか佐野力さんの所蔵品もあるのですが、ほとんどはキンビのものなので、SHさんは物足りないかも。

ところで、旭川は、あべ弘士さんの行動展示(笑)ですか?
買物公園の富貴堂の小池暢子版画展はまだやっているのでしょうか。
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Unknown (SH)
2009-07-04 06:34:21
>すべて道立近代美術館から借りてきたものだからである

ヤナイさん、こんにちは。
ああっ、やっぱりですか。行こうかどうしようか、迷っていたんですよ。
とりあえず、今日は旭川に行ってきます。
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