アラブの春の余波でエジプトでの開催が困難になり、一方で東日本大震災からの復興をアピールしたい日本の思惑から来週、IMF・世銀総会が日本で開かれるが、今回は、国際政治の影響を強く受けたものになりそうだ。中国の銀行が尖閣諸島問題で早々と欠席を決め、中国当局もどう出るかまだ判らない。日本の面子をつぶすべく、嫌がらせとして欠席することになりそうだ。また、イランは核兵器開発に対する米欧の経済制裁の影響で通貨リアルが暴落しており、その鬱憤晴らしの場として活用することも予想される。
もとより、各国の元首クラスが参加する国際会議ではないし、また、わずか数日の会議で実質的な決定ができるわけでもなく、もはや国際機関であるIMF/世銀がその存在を忘れ去られないようにするために既定事実のいくつかを演出してみる儀礼的な場となっている。総会の場は世界中からピンストライプの背広に身を包んだ銀行・証券会社員が集まり、融資や起債のための営業の場になっているので、中国の欠席もイランの中銀総裁の演説も国際政治の面ではさほどの波風を立てることもなさそうだ。ただ、2万人以上の参加者という事で、リーマンショック以降、低迷している東京の観光業界・ホテル業界にとっては干天の慈雨になるだろう。